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ルノー、「メガーヌ ルノー・スポール トロフィー」発表会にF1のパストール・マルドナド選手登場
陸上競技選手の為末大さんとともに“最速”について語る
(2014/10/1 11:56)
- 2014年9月30日開催
ルノー・ジャポンは9月30日、同日発表したメガーヌ ルノー・スポールの台数限定モデル「トロフィー(限定90台)」「トロフィーS(限定60台)」「トロフィーR(限定60台)」の発表会を開催した。トロフィーRはニュルブルクリンクサーキットで7分54秒36を記録し、量産FF車最速となるモデル。発表会では現役F1ドライバーであるパストール・マルドナド選手(ロータス・ルノーF1)と、陸上400mハードルで現日本記録保持者の為末大さんが“最速”について語った。
タイムアップはコーナースピードを落とさないこと
発表された3モデルは、いずれもメガーヌ ルノー・スポール シャシーカップがベース。5000rpm以上でのトルクの落ち込みを従来よりも抑えたエンジン特性としたことで、コーナリング中のシフト操作を減らすことが可能になり、その結果タイムアップに成功した。5000rpm以上での性能をチューニングすることで、低回転域を主に使う通常走行時の燃費やCO2排出量に影響を与えていないことも特徴の1つになっている。
トロフィーS、トロフィーRではオーリンズ製ダンパーや、ミシュランと共同開発した外側がソフトコンパウンド、内側がハードコンパウンドとなる「パイロットスポーツカップ2」を採用。さらにトロフィーRは乗車定員を従来の5名から2名にするといった軽量化が行われている。
これらの説明を行ったルノー・ジャポン マーケティング部チーフプロダクトマネージャーのフレデリック・ブレン氏は、ニュルブルクリンクでタイムを縮めるにはコーナリングスピードを上げる必要があると説明し、「エンジンのピークトルクは変えていない。5000rpmまでと、それ以上の回転域でもトルクが減らないようにECUを設定を変えたり、可変バルブタイミングの設定を変えた結果、8PS上がった」とエンジンの変更点を解説した。
その結果、「2速に落とさないといけないコーナーを3速で走れる、高速コーナーなら4速だったものが5速のままいける。高いトルクで早くコーナーを抜けられる」と、170以上のカーブがあるといわれるニュルブルクリンクでのタイム短縮の理由について説明した。
ちなみに、もっとも“尖ったモデル”となるトロフィーRの日本への割り当ては60台。世界で250台しかないうちの60台という台数は、本国のフランスに次いで多い数となっており、これはイギリスの倍の台数であることが説明されるとともに、価格についても「500万を切る、なんと499万円!」とブレン氏は買い得さについても強調した。
発表会で展示された「トロフィーR」は、実際にニュルブルクリンクでタイムアタックを行った実車。量産前のプロトタイプで、通常より16kg軽量というリチウムイオンバッテリーを搭載するなど、いくつか市販アクセサリーでチューニングしているが、ほぼ市販版のスペックだという。
最速×最速のトークショー
発表会ではF1で優勝経験もあるパストール・マルドナド選手と、現役時代は400mハードルで活躍、現在も日本記録を持つ為末大さんが“最速”をテーマにトークショーを実施。
為末さんは400mハードルのコーナーについて解説。「直線とコーナーは違い、コーナーは必ずゆがみが生まれ、直線につなげる感覚の切り替えが重要。僕らもクルマ風に“立ち上がりをふかす”と表現をするが、まさに自動車のレース映像を見るとイメージできるものがある」と述べ、コーナーと直線のつながりの重要さを強調した。
マルドナド選手は今週末に鈴鹿サーキットで行われるF1日本グランプリについて話し、「鈴鹿はチャレンジングなサーキットで集中力が必要。ファーストセクターは、ハイスピードで精密さも要求されバランスも必要」と、鈴鹿のコーナーの難しさを指摘した。
また、速さを極めるためにはどうすればよいかという質問に、為末さんは「23歳で海外へ出て、“そこでなんとか生き残らないといけない”と思ったときに成長した」と、新しい環境に置くことの重要さを説くとともに、「ブレイクスルーは陸上にもあり、1600m走は4分を切れないと言われた時代が長く続いたが、1人のイギリス人が4分を切るとその翌年に23人の選手が4分を切った。誰かが突破するとそれが常識になる。ブレイクスルーを起こし続けることは全体のレベルアップに重要となる」と述べた。
マルドナド選手は「常にオープンマインドでいくこと」と答え、ドライバーをやっていく上で、クルマ、チームは常に変わり、あちこちに遠征もするので、「いろいろな場所で常に自分を適応させていくことが重要」とした。