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メルセデス・ベンツ、全車2.2リッターターボディーゼル採用の新型「Vクラス」発表会

先代の3.5リッターV6搭載車から最大125%向上の15.3km/Lを実現。全長の異なる3タイプを用意

2015年10月10日発表

535万円~730万円

 メルセデス・ベンツ日本は10月10日、3列シートを備える7人乗りミニバンとなる新型「Vクラス」を発表。同日から受注を開始した。発売は2016年1月を予定しており、全車右ハンドル仕様で価格は535万円~730万円。

モデルエンジン変速機駆動方式価格
V 220 d トレンド直列4気筒DOHC 2.2リッター直噴ディーゼルターボ7速AT2WD(FR)5,350,000円
V 220 d6,200,000円
V 220 d アバンギャルド ロング6,950,000円
V 220 d アバンギャルド エクストラロング7,300,000円
新型「Vクラス」
直列4気筒DOHC 2.2リッター直噴ディーゼルターボエンジン「651」は、最高出力120kW(163PS)/3800rpm、最大トルク380Nm(38.7kgm)/1400-2800rpmを発生。「C 220 d」と同じく「AdBlue」と呼ばれる尿素水溶液を利用して窒素酸化物を窒素と水に還元して排出する

 フルモデルチェンジを行って3代目となった新型Vクラスに与えられた最大の特徴は、従来まで搭載していたV型6気筒の3.5リッター自然吸気エンジンに替え、9月にCクラスに追加された「C 220 d」でも採用する651型の直列4気筒DOHC 2.2リッター直噴ディーゼルターボエンジンを導入し、エンジン排気量の大幅なダウンサイジングを行っていること。パワートレーンとしてはトランスミッションに「7G-TORONIC」と呼ばれる7速ATを組み合わせ、後輪を駆動させるFRレイアウトを採用している。

 エンジンパワーはC 220 dからわずかに下げ、最高出力120kW(163PS)/3800rpm、最大トルク380Nm(38.7kgm)/1400-2800rpmに設定。従来型のV型6気筒エンジンと比較すると、最高出力は95PS下がったが、最大トルクは40Nm上まわっている。この新しいパワートレーンを手に入れたことにより、JC08モード燃費は全車15.3km/Lを達成。先代比で最大125%アップという飛躍を果たしている。さらにディーゼルエンジン規制の「ポスト新長期規制」にも適合し、エコカー減税によって自動車取得税と自動車重量税が免税(100%減税)となる。

 また、ボディータイプは全長などが異なる3タイプを用意。コンパクトなサイズとなる「V 220 d トレンド」と「V 220 d」では全長が4905mm、ホイールベースが3200mmとなり、「V 220 d アバンギャルド ロング」ではリアオーバーハングを800mmから1045mmに拡大し、全長を5150mmに延長。さらに「V 220 d アバンギャルド エクストラロング」ではホイールベースが230mmアップとなる3430mmとして、全長は5380mmまで伸ばしている。なお、このほかの全幅1930mm、全高1880mmという数値は共通となっている。

「V 220 d」。ボディーカラーは「ジュピターレッド」
全長4905mm、ホイールベース3200mmとなるV 220 d
リアオーバーハングを245mm延長して全長が5150mmとなる「V 220 d アバンギャルド ロング」
1045mmに延長されたリアオーバーハングに加え、ホイールベースを230mm拡大して全長5380mm、ホイールベース3430mmとする「V 220 d アバンギャルド エクストラロング」。ホイールベースはメルセデス マイバッハ Sクラスを上まわり、日本国内で販売されるミニバンで最長になるという
V 220 dのタイヤサイズは225/55 R17
V 220 d アバンギャルド ロングオプション設定される245/45 R19タイヤ。標準装着品のタイヤサイズは245/45 R18となる
上下の間口が広い新型Vクラスのラゲッジスペース。左はレール後端まで下げたところ、右は乗員のレッグスペースを残しつつ、シートを前方に寄せてラゲッジスペースを拡大したところとなる。ラゲッジネットは「V 220 d トレンド」以外に標準装備
ラゲッジスペースにはゴルフバッグを縦に載せることも可能。コンパクトなサイズのV 220 dでは乗員スペースは必要最小限となってしまう
リアゲートに備える「開閉式リアウインドウ」もV 220 d トレンド以外に標準装備となる
リアコンビネーションランプは縦型の導光タイプ
メルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長 兼 CEO 上野金太郎氏

 東京 お台場・船の科学館駅周辺などで開催されている「東京モーターフェス2015 with みんモー」の会場内で開催された記者発表会では、メルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長 兼 CEO 上野金太郎氏から。新型Vクラスの商品概要や新たに与えられた魅力などについて解説が行われた。

 まず上野氏は、この発表会場にお台場を選んだ理由として「クルマの楽しさとテクノロジーを体験してもらおうというコンセプトで本日午後から開幕する“東京モーターフェス2015 with みんモー”を盛り上げ、ひいては自動車業界全体の活性化に微力ながらも貢献したいという思いと、週末をショッピングやスポーツなどでアクティブに過ごす方々が集まるこのお台場という場所が、新型Vクラスを発表する場としてふさわしいと考えたからです」と解説。Vクラスについては「私たちメルセデス・ベンツ日本は、1998年にヨーロッパのミニバンとして初めてVクラスを日本に導入しました。ワイドでスクエアなスタイリングと、広く上質な室内空間。自在にアレンジできるシートを備えた初代Vクラスは『プレミアムミニバン』というセグメントを作り出しました」とする。

 新型Vクラスの魅力としては、前出の新世代クリーンディーゼルによる動力性能よ燃費、3種類のボディータイプを用意して快適な室内空間を備えることなどに加え、駆動方式を後輪駆動のFRとしたことにより、高いハンドリング性能と前輪切れ角の大きさによる取りまわしのよさ、多人数乗車などによる高負荷時でも路面に駆動力を伝えやすく、走行安定性が高いこともメリットであると紹介した。

 このほかに走行安全性では、ミリ波レーダーセンサー5個とカメラを組み合わせて活用し、緊急ブレーキ機能斜線逸脱防止機能などによって乗員を守る安全運転支援システム「レーダーセーフティパッケージ」を採用するほか、走行中に強い横風を受けたときに車両片側のブレーキを効かせて直進性を維持する「クロスウインドアシスト」、70以上のパラメーターからドライバーの眠気や疲労を検知して注意力低下を警告する「アテンションアシスト」といった新装備を全車に標準装備している。

発表会の冒頭で、新型Vクラスの2列目シートを脱着アレンジした「6人乗りリムジンモード」で登壇した上野氏。「走行性能と快適性に加え、安全性能や質感などあらゆる面で格段に進化。“最新のメルセデス・ベンツのミニバン”という呼び方にふさわしい圧倒的なプレミアム感を備えて生まれ変わりました」とアピール
メルセデス・ベンツ日本では新型Vクラスの発売によって国内最多となる11車種のクリーンディーゼル車をラインアップ。このうち9車種が2015年に導入したばかりの最新モデルとなっている
発表会の途中で、日本各地でのライブ活動などの移動に従来モデルのVクラスを利用しているという歌手の倖田來未さんがビデオ出演。レザー内装に高級感があり、パッションを感じさせて気持ち高める雰囲気を持っていることが気に入っていると語り、今のクルマも気に入っていて、次の移動車としてもぜひVクラスに乗りたいとアピールした
V 220 dのインパネ
本革ステアリングを全車標準装備
260km/hスケールのスピードメーター(左)と4200rpmからレッドゾーン表示となるタコメーターを設定
メーターパネル中央に高精細表示のカラーマルチファンクションディスプレイを全車標準装備。新装備の「アテンションアシスト」や「BlueTEC」のクリーンディーゼルエンジンで使う尿素水溶液(AdBlue)の残量表示、エンジンオイル量の自動測定など多彩な機能を持つ
ペダルはアクセルとブレーキの2つのみ。ステアリングコラム右下側に電動パーキングブレーキのボタンをレイアウトする
センターコンソールにインフォテインメントシステム「COMANDシステム」のコントローラーを配置。ディスプレイサイズは8.4インチで、カーナビや空調などを一元的に表示
V 220 d アバンギャルド エクストラロング
V 220 d アバンギャルド ロング
V 220 d アバンギャルド ロングとV 220 d アバンギャルド エクストラロングはシート表皮に本革シートを標準装備。エクストラロング(右)ではナッパレザーシート表皮をセットオプションとして設定している
2列目と3列目のシートは取り外せる脱着式シートとなっており、外してフロアを広く使ったり前後を入れ替えて固定して、ゆったりとした対座シートレイアウトにもできる
2列目シートはシートバックを水平に畳んだり、前方にタンブルさせて3列目シートの乗降性を高めることも可能
「収納式センターテーブル」は60万円高の「ナッパレザーエクスクルーシブパッケージ」にセットオプション
10.1型ワイドXGAフリップダウンモニターや地上デジタルTVチューナー、DVDプレーヤーなどで構成する「リアエンターテインメントシステム」は34万5600円高のセットオプション
小物入れが設定され、広いラゲッジスペースの使い勝手を高める「ラゲッジルームセパレーター」はV 220 d アバンギャルド ロングとV 220 d アバンギャルド エクストラロングに標準装備
会場となった「東京モーターフェス2015 with みんモー」では、参加各メーカーの最新モデルの公道試乗を実施。試乗車には日野自動車の「デュトロ ハイブリッド」も用意されていた
「ダイハツ車両展示ゾーン」には、「妖怪ウォッチ」とコラボした「妖怪ドライブ計画」で製作された「妖怪カー」も展示されている
ミライースをベースとした「コマじろうカー」
ミライースをベースとした「コマさんカー」
タントの妖怪ウォッチラッピング車両も展示
運転席の乗車体験も実施される「日野レンジャー GT」
映画「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」に登場する「98式AVイングラム」「レイバーキャリア」の展示では、午前と午後にデッキアップも実施される
ホンダブースでは、固定されたトライアルバイクにまたがって迫力のウイリーやジャックナイフを体験できる展示も実施

(編集部:佐久間 秀)