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メルセデス・ベンツ、クリーンディーゼル+9速ATの「C 220 d」を国内導入

「安心いただいてメルセデスのクリーンディーゼルを購入いただければと考えている」と上野社長

2015年9月28日開催

559万円~679万円

C 220 dの前に立つ、メルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏

 メルセデス・ベンツ日本は9月28日、Cクラスの追加モデル「C 220 d」の受注を開始した。直列4気筒2.2リッターディーゼルターボ「BlueTEC」エンジンを搭載し、トランスミッションはCクラスとして初めて9速ATを採用。セダンとステーションワゴン、さらにスポーツ装備を充実させた仕様をステーションワゴンに設定し、ステアリング位置はいずれも右のみ。価格はセダンが559万円、ステーションワゴンが595万円~679万円。発売は10月1日。

モデルエンジン変速機駆動方式価格
C 220 d アヴァンギャルド直列4気筒DOHC 2.2リッターディーゼルターボ9速AT2WD(FR)5,590,000円
C 220 d ステーションワゴン アヴァンギャルド5,950,000円
C 220 d ステーションワゴン Sports6,410,000円
C 220 d ステーションワゴン Sports (本革仕様)6,790,000円

2.2リッターディーゼルターボと9速ATの組み合わせ

 C 220 dのパワートレーンは、4モデル共通で直列4気筒DOHC 2.2リッターディーゼルターボエンジンと新採用の9速AT「9G-TORONIC」の組み合わせ。他のCクラス同様、後輪を駆動するFRレイアウト。

 エンジンはピエゾインジェクターを用いた最新のコモンレールシステム。大きさの異なる2つのターボチャージャーへの排気の流れを可変フラップで制御することで、ターボラグを解消しながらブースト圧を確保する2ステージターボチャージャーなどを採用し、最高出力は125kW(170PS)/3000-4200rpmを、最大トルクは400Nm(40.8kgm)/1400-2800rpmを発生する。9速AT「9G-TORONIC」は変速段数を多くし、1つのギヤの回転域を狭めることで変速ショックの低減とエンジン回転の上昇を抑え、燃費と静粛性に優れるという。また、アルミ化などにより7速AT「7G-TORONIC PLUS」に比べて1kgの軽量化を果たしている。

 燃費はセダンのC 220d アヴァンギャルドが20.3km/L(JC08モード燃費)、ワゴンのC 220 d ステーションワゴン アヴァンギャルドが19.6km/L。4モデルすべてがエコカー減税等の優遇対象となり、重量税と取得税の免税(100%減税)と、翌年度の自動車税75%減税、さらにクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金の交付がある。

 装備等はガソリンエンジンモデルの「C 200」と同等。オーディオ&ナビゲーションのCOMANDシステムや、歩行者検知付きの衝突軽減ブレーキなどの安全装備を含んだ「レーダーセーフティーパッケージ」も同様に標準装備。

 そのほか、ステーションワゴンのみ設定されるC 220 d ステーションワゴン Sports、C 220 d ステーションワゴン Sports(本革仕様)は、連続可変ダンパーとエアサスペンションを電子制御した「AIRMATICサスペンション」や18インチAMG5スポークアルミホイールなどを装備する。

C 220 d アヴァンギャルド。ボディーサイズは4690×1810×1435mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2840mm
リアのエンブレムに「d」の文字が備わる
C 220 d アヴァンギャルドは17インチアルミホイール(タイヤサイズ:225/50 R17)が標準装備される
最高出力125kW(170PS)/3000-4200rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/1400-2800rpmを発生する直列4気筒2.2リッターディーゼルターボエンジン
尿素水溶液「AdBlue(アドブルー)」は燃料と同じところ、ブルーのキャップを外して補充。燃料はグリーンのキャップだ
タコメーターのレッドゾーンは5000rpmと低い
シートをはじめ、装備などは基本的に既存のC 200に準ずる。写真はセダンのC 220 d アヴァンギャルドに「AMGライン」をオプション装備したモデル
C 220 d ステーションワゴン アヴァンギャルド。こちらのボディーサイズは4705×1810×1450mm(全長×全幅×全高)

BlueTEC技術を強調

AdBlueを手にするメルセデス・ベンツ日本 商品企画部 商品企画1課マネージャー 木下潤一氏

 9月28日に都内で行われた発表会では、C 220 dの実車の公開とともに、採用するクリーンディーゼル技術の説明が行われた。

 Cクラスのプロダクトマネージャーであるメルセデス・ベンツ日本 商品企画部 商品企画1課マネージャーの木下潤一氏は、日本と欧米の環境基準の変遷を説明するとともに、NOx(窒素酸化物)とPM(粒子状物質)はトレードオフの関係にあり、メルセデス・ベンツではそのトレードオフを解消するため「エンジン内部の燃焼の最適化とあわせ、化学反応で排出ガスを浄化するBlueTECを開発した」と説明。

 BlueTECではAdBlueと呼ばれる尿素水溶液を用いるが、木下氏は容器に入った実物のAdBlueを示しながら説明を行い、「1000kmあたり約1Lの消費。タンク容量は24.5Lなので、1年ごと、または1万kmの弊社指定点検の際に補充するだけで日常のメンテナンスは必要なし。また、AdBlueもメルセデスケアの対象で、初回車検まで無償で補充される」と、メンテナンスや費用のデメリットが少ないことを強調した。

AdBlueの消費量は1000km走行で約1L。メルセデスケアで無償補充が可能
TV-CMではクリーンディーゼルと9速ATを訴求する
代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏

 一方、メルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長の上野金太郎氏は、今回のディーゼル車の導入について「弊社のSNSサイトに直接メッセージをいただいたり、メルセデスコールにお問い合わせをいただいたり、私自身が直接リクエストいただいたり、販売の現場からも同様の声をいただいていた」と、ユーザーからの要望が多かったことを紹介。

 また、Cクラスのモデルチェンジから少し遅れての導入となった理由については、「Cクラスに9速ATを組み合わせるのは、この日本仕様のC 220 dが世界初となる。クリーディーゼルに静粛性を求める日本のお客様の高い期待に応えるため、お客様を少々おまたせすることになった」と説明するとともに、比較的上の価格帯だけだったディーゼルエンジンモデルがCクラスに導入されたことに期待を寄せ、販売比率はCクラス全体の3割か、人気が出ればそれ以上になるとの予測を発表している。

 また、上野氏は一連のディーゼルエンジン問題に関連して「(メルセデス・ベンツ)はディフィートデバイスは一切使ってない。従来から世界各国の燃費や公的基準を満たす開発を行っている。安心いただいてメルセデスのクリーンディーゼルを購入いただければと考えている」とコメント。今後もクリーンディーゼル車の導入を継続して行うとし、店舗などでのキャンペーン等も変更ないとした。

 ディーゼルエンジンについて、実際に販売店やメルセデスコールに「メルセデス・ベンツはどうなっているんだ?」という質問があったとしているが、「法令遵守をしながら各国の排ガス規制に準拠して開発している。これは一貫して同じで、お客様には安心して購入検討を続けてください、と話している」とした。

メルセデス・ベンツ日本の販売を牽引するCクラス
ディーゼルエンジン搭載車への要望がSNSやメルセデスコール、販売店に寄せられた
世界に先駆け9速ATを組み合わせるCクラスを導入
Cクラスのディーゼルエンジンモデルの歴史
メルセデスでは、国内最多となる10車種のクリーンディーゼル車を投入する
今回導入されるC 220 dのラインアップ

(正田拓也)