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スズキ、軽量化とダウンサイジングエンジンで生まれ変わった新型「エスクード」

従来モデルも「エスクード 2.4」の車名で継続販売

2015年10月15日発売

212万7600円~234万3600円

 スズキは10月15日、新型コンパクトSUV「エスクード」を発売した。新しいエスクードは全車ハンガリーの「マジャールスズキ」で生産され、日本市場では輸入販売となる。価格は212万7600円~234万3600円。なお、この新型エスクードの発売後には、従来モデルとなる直列4気筒2.4リッターエンジン搭載車は「エスクード 2.4」と車名を改めつつ継続販売となる。エスクード 2.4は車名以外にとくに変更はない。

モデルエンジン変速機駆動方式価格
エスクード直列4気筒DOHC 1.6リッター6速AT2WD(FF)2,127,600円
4WD2,343,600円

 新型エスクードは、2013年9月に開催されたフランクフルトモーターショーに出品されたコンセプトモデル「iV-4」がベースとなっており、2014年8月のパリモーターショーで新型「VITARA(ビターラ)」として世界初公開。2015年1月からマジャールスズキでの生産がスタートしてすでに欧州市場を中心に各国の市場で販売が行われている。

 これまでエスクードは、軽自動車の「ジムニー」、小型車の「ジムニーシエラ」などと同じ本格派クロカンタイプのモデルとしてスズキ車で頂点に位置するモデルとなってきたが、1.6リッターエンジンを搭載する新しいエスクードは、2015年2月に発売されたクロスオーバーモデル「SX4 S-CROSS」と本格派クロカンタイプのあいだをカバーするSUVタイプのモデルとして位置づけられている。

 エクステリアデザインは、すでに新型ビターラとして公開されているように、スズキのSUVデザインで伝統的に用いられる「クラムシェル形状のボンネットフード」「ボンネットフード後端に設定されたフェンダーガーニッシュ」といったデザインモチーフを踏襲。安定感を強調する前後バンパーやメッキタイプのフロントグリルなどで力強さを表現し、LED仕様のヘッドライト(ロービーム)やフロントバンパー内のイルミネーションランプなどを使って先進性をアピールしている。

 ボディーカラーはブラックの2トーンルーフを持つ新色「アトランティスターコイズパールメタリック ブラック2トーンルーフ」をラインアップする4種類。

新型エスクード。ボディーサイズは4175×1775×1610mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2500mm。車両重量は2WD(FF)が1140kg、4WDが1210kg
新色の「アトランティスターコイズパールメタリック ブラック2トーンルーフ」
「ギャラクティックグレーメタリック」
「コスミックブラックパールメタリック」
「クールホワイトパール」

 ボディーサイズは従来型(現エスクード 2.4)からひとまわりコンパクトな4175×1775×1610mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2500mmとなっているが、それ以上にスズキが推し進めている軽量化を徹底追究。最大で1500MPa級となる高張力鋼板を重量比で全体の50%まで使い、優れた衝突安全性を兼ね備えつつ軽量ボディーを実現。これまでの1600kg級から、車両重量を2WD(FF)で1140kg、4WDで1210kgまで引き下げている。

 足まわりはフロントをストラット式、リアにトーションビーム式を採用。フロントサスペンションではピストン径の最適化を行ってストラットの横剛性を強化し、ステアリングギヤボックスをサスペンションフレームに直接固定して操縦安定性を高めている。リアサスペンションではSX4 S-CROSSなどにも導入している「パイプ潰しトーションビーム」を使い、軽量化と高い剛性を両立。ボディーのロールを抑制してコーナーでの安定感を向上させた。

高張力鋼板の多用などで軽量化を追究
足まわりはフロントをストラット式、リアにトーションビーム式を採用。オンロード走行の操縦安定性とオフロード走行での走破性を両立させる
M16A型ガソリンエンジン

 エンジンは「スイフト スポーツ」やSX4 S-CROSSで採用する直列4気筒DOHC 1.6リッターの「M16A」を搭載し、スズキの国内モデルとして初採用となる新開発の6速ATと組み合わせる。

スペックは最高出力86kW(117PS)/6000rpm、最大トルク151Nm(15.4kgm)/4400rpmでSX4 S-CROSSと同じ数値となっており、停車時のアイドリングストップシステム、CAE(Computer Aided Engineering)を駆使したボディーの空力性能、前出の軽量化の追究などにより、JC08モード燃費は2WD(FF)で18.2km/L、4WDで17.4km/Lを実現している。

 走行関連のメカニズムでは、SX4 S-CROSSから国内導入が開始された4WDシステム「ALLGRIP」を、SUVタイプの新型エスクードに合わせて改良を施して採用する。「新型エスクード専用制御」では、オフロード走行時に発生しがちな対角線上の前後2輪のグリップ力が失われるような状況下で、電子制御カップリングの制御によって空転していないタイヤにより多くのトルクを伝えて走破性の向上を実現。SX4 S-CROSSでも「LOCKモード」を選択すれば同様の効果が得られるが、新型エスクードのALLGRIPでは積極的な脱出支援を行うようになっている。また、新型エスクードのLOCKモードではこれまで以上に強力なブレーキによる空転輪に対する制御を行い、悪路走行時に高い走破性を発揮する。

 先進装備では、ミリ波レーダー方式による衝突被害軽減システムである「レーダーブレーキサポートII」を、内容を進化させて全車標準装備。自動ブレーキ機能の作動速度域を、これまで「約5km/h~約30km/h」としていたところを、新たに「静止車両に対して約5km/h~約30km/h、移動車両に対して約5km/h~約100km/h」に拡大したほか、移動車両に対して衝突する危険性が大きいと判断した場合に弱いブレーキの作動でドライバーに注意喚起する「前方衝突警報ブレーキ」が新たに追加されている。

 これに加え、ミリ波レーダーで前方を走る車両との車間距離や速度差を測定して約40km/h~約100km/hの設定速度内で追従走行を行う「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」を標準装備している。

6速ATでは変速比幅をワイドに設定。低速時の加速性を高め、高速巡航時の静粛性と低燃費性能を手に入れる
ステアリングの右側スポークに「ACC」の操作スイッチを設定。約40km/h~約100km/hの設定速度内で追従走行する
新型エスクードのインパネ。ステアリングには6速ATをマニュアル変速するパドルシフトを装備

 インテリアではシンプルなライン構成のインパネでSUVらしい力強さを表現。インパネ中央には丸形デザインのエアコン吹き出し口と並べてアナログ時計を配置する。メーターパネルは大型2眼式で視認性を高め、中央に平均燃費などの情報を表示できるマルチインフォメーションディスプレイを設定している。ステアリングには上下の高さ調節を行うチルト機能に加え、前後位置を調節するテレスコピック機能も備える。シートは本革&スエード調表皮を採用し、フロントシートには2段階調節可能なシートヒーターを内蔵している。前後のドアトリムには1.5Lのペットボトルまで対応するドリンクホルダーを設置。

 ラゲッジスペース容量は定員乗車時の通常モードでも375Lを確保。リアシートは6:4分割可倒式となっており、フロアを上下に分割するラゲッジボードによって使い分けに対応。タイヤハウス後方のスペースを小物入れにする仕切り板は、取り外してパーセルシェルフ裏側に固定しておけるよう工夫されており、仕切り板を取り外せば9.5インチのゴルフバック2個の横置きが可能になる

視認性を重視したメーターパネル。中央にマルチインフォーメーションディスプレイが用意されている
ラゲッジスペース容量は通常モードでも375Lとなり、特大サイズのスーツケース2個を収納可能。運転席側が小さい6:4分割可倒式を採用する

(編集部:佐久間 秀)