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【インタビュー】自動運転機能で世界をリードするテスラモーターズのCTO(最高技術責任者)JB Straubel氏に聞く

テスラモーターズの大阪 心斎橋ショールームを訪れたJB Straubel氏

 テスラモーターズは2016年1月、同社のフラグシップモデル「モデルS」に自動運転機能を付加するアップデートソフトウェアの配布を開始した。このソフトウェアを適用することで、初期のモデルSを除き、多くの車両が自動運転機能を使えるようになった。クルマの根本に係わる機能がソフトウェアアップデートで向上し、自動運転時代も幕を開けたことになる。

 そのテスラモーターズの技術を統括するのがCTO(最高技術責任者)のJB Straubel氏。今回、そのJB Straubel氏にお話をうかがう機会があったので、主に自動運転に絞って、テスラモーターズとしての考えを聞いてみた。

――テスラが考える自動運転のメリットは何ですか?

JB Straubel氏:安全性はもちろんですが、便利さにあると思います。また、効率のよい運転もできることから時間の節約にもつながります。(クルマに運転を任せることによって)疲れも少なくなると思うので、さまざまなメリットがあります。

 渋滞のときとか、ストップ&ゴーが続くような混雑時においても自動運転は役立ちます。もちろん、衝突防止ということにおいても自動運転機能は非常に役立っています。

――モデルSには、高速道路のレーン内における自動走行、進路変更の意思表示をした際の自動レーンチェンジ、そして自動駐車の3つの機能があります。現在の自動走行機能の品質には満足していますか?

JB Straubel氏の自動運転に対するビジョンは明快だ

JB Straubel氏:これからも機能を追加していきますが、このくらいでよいというように満足することはないでしょう。これからも進化させ、最終的には完全自動運転(自律自動運転)の領域までいきたいと考えています。現状は完全な自動運転ではありませんが、安全性や自動レーンチェンジ機能の品質においては、ほかと比べても優れているものになっています。

 いろいろな方がいろいろな形でクルマを使うと、クルマが学習し、知識ベースにデータが蓄積されます。それにより、より品質の改善を進めていけます。その改善した品質をアップデートとして提供することができます。

――アップデートとして品質を向上させるとのことですが、完全な自律自動運転の領域までアップデートしていくのでしょうか?

JB Straubel氏:クルマの完全自動運転はいずれ実現すると思います。現在、次のモデルを開発していますが、そのモデルでは自動運転機能がさらに向上するでしょう。今のモデルSについても、センサーの機能をすべて引き出しているわけでなく、(アップデートで)まだまだ向上の余地があります。

――完全自律の自動運転が実現するのはいつ頃だと考えていますか?

JB Straubel氏:それは難しい質問ですね。やはり時間はかかってしまうと思います。ただ、自動運転の実現はSFの世界のことと考えられており、100年後とも言われていました。それから考えると、皆さんが思っているよりも早く実現すると思います。ただそれは、何年後とか、何カ月後とか約束できるものでもありません。

――日本では先日、亡くなったドライバーのクルマが暴走する事故が起きました。このような事故に関しては、ドライバーモニタリングの機能が有効とも言われています。テスラとして、ドライバーモニタリングに関する考え方を教えてください。

JB Straubel氏:モデルSには周囲の認識機能があります。周囲を認識し、前方に自転車が走っていたり人が歩いていたりということを認識すると、まず速度を落とし、必要であれば自動ブレーキをかけます。障害物を認識することが一番大事です。自動運転状態にすることが可能であれば、センサーの認識で、減速したり止まったりすることができます。

 ドライバーモニタリングについては、着座センサー、シートベルトセンサー、ドアの開閉センサーなどは見ており、ドライバーがいないなどの場合、自動で走ることはありません。ただ、人間の動きをどこまで検出し、どのように自動運転に反映させていくのかは、まだまだ微妙なところがあります。

――これも日本での話ですが、先日、スバル(富士重工業)が運転支援システム「アイサイト(ver.2)」搭載車で事故率6割減というデータを発表しました。同様にテスラモーターズでも、自動運転車の事故率低下のデータなどはあるのでしょうか?

JB Straubel氏:現在、データは収集している最中で、公表可能なものはありません。ただ、明らかに自動運転機能で安全になっています。言うまでもないことですが、自動運転機能がないよりもあったほうが安全な走りができるためです。その安全な部分が、世界の人々がモデル Sを利用したがる要因となっています。

――ディープラーニング技術を自動運転に応用していくことが話題となっています。ディープラーニング技術についてはどのように考えていますか?

JB Straubel氏:自動運転には画像認識が大切です。自転車、クルマ、トラックなどの認識です。マシンラーニングで、どのように理解し、それをどのように利用していくかが1つ目のポイントです。もう1つは、多くのクルマが走り、データを共有する際の利用が考えられます。

――テスラ「モデルS」の自動運転機能はいろいろ体験し、その高い完成度は素直に驚きました。自動運転機能の1つとして自動駐車機能がありますが、この機能は自動で駐車スペースに駐車はできますが、自動で駐車スペースから出てくることはありません。このような機能は搭載しないのですか?

JB Straubel氏:アメリカとほかの国では異なるのですが、アメリカでは、自動で駐車する機能、ガレージと連動してドアを開けて駐車する機能、ガレージからドアを開けて自動で出てくる機能は実装されています。ただ、縦列駐車の場合ですと、もっと周囲を認識しなければならないので、それはこれからです。ガレージと連動する機能は日本で実装されていません。

――日本ではなぜそれらの機能が実装されていないのですか?

JB Straubel氏:それぞれの国の法律や認可の問題があります。新機能に対する安全性や理解、検証が必要です。ただどこの国であっても安全な運転につながる機能だと考えています。

――最後に、テスラモーターズのクルマ、自動運転機能に興味のある方にメッセージをお願いします。

JB Straubel氏:多くの人に自動運転機能を体験して理解してほしいです。ヨーロッパや米国に比べると、日本ではテスラモーターズはそれほど知られていません。言葉では説明できないことが多いので、(モデルSの持つ)驚異的な技術をもっと多くの人に体験してほしいです。30分、45分、1時間と試乗していただければと思います。


 テスラモーターズのモデルSは、0-100km/hを3.0秒という圧倒的なパワー、そして効率よく運転すれば約500kmの航続距離を実現するポテンシャルを持っている。そのうえ、世界最先端の自動運転機能を持ち、さらにアップデートによってその自動運転機能を進化させていくとJB Straubel氏は語る。

 間もなく発表される、テスラ第3のモデルも同等以上の自動運転機能を持つといい、現在のオートクルーズ並みに自動運転機能は普及していくことだろう。テスラモーターズのショールームは、東京 青山と大阪 心斎橋にあるので、現在の最先端となる自動運転機能をぜひ試乗によって体験していただきたい。

(編集部:谷川 潔)