写真で見るアストンマーティン「ラピード」


 アストンマーティン「ラピード」(Rapide)は2006年のデトロイトモーターショーでコンセプトモデルが初公開され、2009年9月に開催されたフランクフルトモーターショーで正式発表された4ドアスポーツカー。「世界でもっともエレガントな4ドアスポーツカー」をコンセプトにしている。溶接せずにスペースフレームを組み立てるVHプラットフォームを採用。エクステリアは、エレガントで流れるようなデザイン受け継いだとしている。

 その特徴となる、白鳥が羽を広げたかのような4つの「スワンウイング」ドアは、ヒンジに12度の角度がつけられ、やや上方に向かって開く。これにより、段差のある歩道にクルマを寄せた場合にも、ドアを傷つけることがないとしている。ただし、上方に向かって開くためか、通常のドアに比べて重く感じられる。ドアの開度は70度。ヘッドライトはバイキセノン。上部にはチューブ状のスモールランプが設けられる。

パワーユニットには、アストンマーティンのケルン工場で手組されたオールアルミ製5935cc V型12気筒エンジンが搭載される。最高出力は350kW(477PS)/6000rpm、最大トルクは600Nm/5000rpmを発生。キーを差し込んでセルスターターを回すと、まるでレーシングマシンのようなエキゾーストノートを響かせ、只者ではないことを感じさせる。0-100km/hは5.3秒、最大速度は303km/hを記録する。トランスミッションは6速AT(タッチトロニック2)で、後輪を駆動。ハンドル裏にはシフトパドルを備えている。

 インテリアでは、フロントだけでなくリアシートにもバケット形状を採用。リアシートの乗員にもスポーツ走行を楽しんでもらうためとしている。フロア中央には大型のセンタートンネルが走り、キャビンを左右に分けている。

 サスペンションは、前後ダブルウィッシュボーン式を採用、路面の状況によってダンパーのセッティングを自動的に変更する「アダプティブドライビングシステム」を備えている。ブレーキシステムはブレンボ製で、ディスクはアルミとスチールの複合素材「デュアルキャストブレーキ」を採用、キャリパーにはモノブロックキャリパーが採用され、フロントには6ピストン、リアには4ピストンキャリパーが装着される。

 車体のサイズは、5020×1930×1350mm(全長×全幅×全高)、重量は1950kg。ボディーカラーは計24色が用意される。今回の撮影に使用した車両のボディーカラーはContemporaryのSilver Blonde。価格は2268万円。国内ではアトランティックカーズが代理店業務を行っている。

ドアの高さに比べキャビンスペースが低めなので、流れるようなスポーティな印象を与える。フロントに比べ、リアドアはいくぶん小さくなっているのが分かる。フロントグリルはアストンマーティン特有の凸型だが、下段にも格子状のグリルが設けられているのがDBシリーズなどとの違い

 

V型12気筒エンジンが収められたエンジンフードは長め。フード後端に近い部分にエアアウトレットが用意されるオールアルミ製のV型12気筒エンジン。ストラットタワーバーもデザインされているのが分かるボディー前端をすとんと切り落としたかのようなフロント部。そのデザインにより一目でアストンマーティンと分かる
エンジンフード前端に装着されたアストンマーティンのエンブレムワイパーはトーナメント式フェンダー後部には中央にターンシグナルをレイアウトしたエアアウトレットが配置される
サイドミラーは上端がボディー同色、下端とミラー側がブラックアウトされる
フロントホイールは20インチ。タイヤサイズは245/40 ZR20。ブレーキシステムはブレンボ製でキャリパーはモノブロック。キャリパーにはアストンマーティンロゴが配される。タイヤはブリヂストンのPOTENZA S001リアタイヤのサイズは295/35 ZR20。リアのブレーキもブレンボ製で、キャリパーは対向4ピストンとなる
フロントドアのドアハンドルは指で押し込むとハンドルが持ち上がるタイプリアのドアハンドルも同形状
ドア開口部。ドアヒンジには12度の角度が付けられ、ドアは斜め上に向かって開くドア内部の集中ドアスイッチ。右下にあるのがドアハンドルバング&オルフセンのスピーカーを備える
リアのドアも上方に向かって開く。なおリアドアのウィンドーはドアを開けると自動的に全開になる中央に見えるのはドアハンドル。下には小型のポケットがあるドア後端にはハンドル部を挟んで上下にスピーカーがレイアウトされる
リアはなだらかな曲面でまとめられたスムーズなデザインリアにもアストンマーティンのエンブレムリアバンパーに埋め込まれたマフラーエンド。マフラーは左右2本出し
トランクリッドにはラピードのバッジ。左上のハイマウントストップランプ下に見える小さな丸いスイッチはトランクオープナー給油口は内蓋がなく、ガソリン給油口を差し込むと、内部の蓋が開く構造になっている運転席足下にある、給油口オープンスイッチ
リアハッチ開口部。ボディー中央部だけが開くということもあってやや狭いトランクはフロアが高いこともあって収納スペースとしては少なめかフロア部分の後部を起こすと、空間を前後に仕切れるようになっている
リアシートを倒すとラゲッジスペースを拡大できるトランク内に置かれていたパンク修理キット。フロアボード下には修理キットを入れるスペースはないフロアボード下には牽引フックや、三角板などが収納される

 

ヘッドライト。ロービーム時ヘッドライト、ハイビーム時。バイキセノンなので照射角が変わっている
ウインカー点灯時。ウインカーはLEDフェンダー部に設けられたサイドウインカー。エアアウトレット中央にレイアウトされている
リアコンビネーションランプは、非点灯時は無色透明。写真はスモール点灯時ブレーキランプ点灯時。スモールランプの外側部分だけが明るくなる
リアフォグ点灯時ウインカー点灯時

 

レザーシートはバケット形状。センタートンネルがかなり大きな印象を受けるサイドシルにはアルミニウムプレートにラピードのロゴシートポジション変更スイッチは座席脇ではなく、センタートンネル脇に設置されている。助手席も同様で、運転席から助手席のポジションを変更できる
リアシートもバケット形状。シートバック中央の切れ目からシートが倒れてラゲージスペースを拡大できるリアシートをたたむスイッチは電動。左右に1つずつ備えるクラシックなデザインの後部座席用のハンドル。アルミと革でできている
インストゥルメントパネル。コンソール上部はウッドパネルで覆われるメーターは中央にインフォメーション表示部を備えた近代的なデザイン。タコメーターは通常とは逆の左回りとなっているステアリング裏にはシフトチェンジ用パドル、下部にはオートクルーズと電話などの操作スイッチを備える
ステアリング右下にはオートクルーズ用スイッチが並ぶ。裏にあるのはオートクルーズのON/OFFスイッチステアリング裏にはシフトパドルとワイパーレバーがある。右側のパドルはシフトアップ用
ステアリング左下のスイッチは電話やオーディオ、選曲などに使用するステアリング左側にはシフトダウン用パドルとウインカーレバーが並ぶ
チルト、テレスコ操作は手動ロックレバーを解除して行う2ペダルながら、アルミを使ったスポーティなものヘッドライトスイッチはステアリングポスト右下にある。右下のダイヤルはメーター照度調節用
ドア側だけでなく、センターコンソール側にもスピーカーが設置される。助手席側も同様グローブボックスも電動オープン。オープンスイッチはグローブボックス右にあるグローブボックス開口部。容量はやや少なめか
センターコンソール最上段のウッドパネルには、キー挿入部とシフトスイッチがある。パーキングやバック、ニュートラル、ドライブへの切り替えはこのスイッチで行うキーを入れると左の写真の位置で一度キーがひっかかる。さらに押し込んだ位置が右の写真。ここからさらにキーを押し込むとエンジンが始動される
ウッドパネルの下にはエアコン操作やオーディオ操作機能、時計などが並ぶ。時計自体はアナログだが、設定は上部の液晶パネル内で行うセンターコンソール最下段には、フォグランプやダイナミックスタビリティコントロール(DSC)、スポーツモード、サスペンションセッティングなどのスイッチが並ぶ
左はエレクトロニックパークブレーキ(EPB)スイッチ。右は内部が革製のドリンクホルダーさらに手前には、左右シートヒーター/クーラーコントロールと、リアゲートオープンスイッチ、パークアシストスイッチなどが並ぶ
アームレスト内部にはシガーソケットとiPod接続コネクタ(ケーブル)および、オーディオ接続用USB端子が並ぶ
ダッシュボードの左右にはバング&オルフセンの収納式スピーカーが設置される。左が収納時、右が展開時ルームミラー。下側フレーム中央部には自動防眩用センサーがある
ミラーに隠れて見えない部分にマップランプが用意される。光源はLEDのようだ細身のサンバイザー。アルミ製フレームの中にバニティミラーが用意されているルーフのミラー手前には電話システム用のマイクがある
左右のリアドア上部にも後部座席用のランプが用意される左右の後部座席を隔てる大型のセンタートンネル上部には、後席用エアコン操作部が用意される。赤がシートヒーター、青がエアコン
エアコン操作部に続き、ドリンクホルダーが2つと、小物入れが続く。小物入れには、シガーソケットとAV入出力が用意される両方のシートバックには、小さなポケットのほか液晶モニターが用意され、DVDなどの視聴が可能だ
リモコン機能などを備えたキー。ダッシュボードの穴に挿入して使用するTVやDVD操作用のリモコン。表記は全て英語

 

 


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http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/

(平 雅彦(WINDY Co.)/Photo:落合憲弘)
2010年 8月 19日