写真で見るスズキ「スイフト」


 先代スイフトが登場したのは2004年11月。「見て力強さを感じ、乗って力強く走るダイナミックコンパクト」をコンセプトに、世界で通用するコンパクトカーを目指して開発された。3695×1690×1535mm(全長×全幅×全高)という小柄なボディーに前1470mm、後1480mmのワイドトレッドを採用し、大径タイヤを四隅に配置したことも相まって、安定感のあるスタイリングに仕上げるとともに、高いハンドリング性能を兼ね備えた。こうした性能が評価され、これまでに世界124カ国で累計約180万台を販売したと言う。

 そして、3代目にあたる新型スイフトが、いよいよ9月18日に発売される。グレードはXG、XL、XSをラインアップし、それぞれ2WD(FF)と4WDを設定する。

 新型スイフトは、兼ねてから定評のあった走行性能に一層の磨きがかけられた。

 サスペンションは先代スイフトと同じフロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式となるが、フロントサスペンションではスタビライザーやコイルスプリングを効率のよいレイアウトに変更されるとともに、トーションビーム断面を二重構造にすることで、ロール剛性を25%高めながら約2kgの軽量化に成功。これにより、重量減による燃費改善とともに、ハンドリング性能が一層高まったと言う。

 また、先代スイフトはスリッピーな路面において少々滑りやすいとの声があったことから、アームブッシュを斜めに配置するとともにボディー側の取付部横剛性を50%高め、コーナリング時のトー変化を最適化する改善策がとられている。

 タイヤサイズは先代スイフトから1インチアップの185/55 R16(XL、XS)とし、大径、幅広、低偏平化によってハンドリング性能を高めている。あわせて、XSの2WD(FF)車および4WD全車にはフロント/15インチベンチレーテッドディスク、リア/15インチディスクブレーキが与えられた。

 ボディーの骨格には強度の高い高張力鋼板が使用される。骨格自体の強度を高めることで板を薄くでき、結果として軽量化にも一役買う。しかし、単純に薄くしただけでは強度自体に問題はないものの、車体がねじれやすくなり、ハンドリングに悪影響が出てしまうと言う。そのため、板を薄くした代わりに各部の断面を大きくし、結果として約15%のねじり剛性向上に成功したほか、2WD車のCVT搭載モデルで10kg軽くできた。

 ボディーサイズは3850×1695×1510~1535mm(全長×全幅×全高)と、先代スイフトと比較して全長が95mm、ホイールベースが40mm延長されたほか、トレッドも拡大(XGでフロント20mm、リア15mm)された。全長が長くなった主な理由は、エンジンルームスペースを広げ、衝突安全性を高めたことにあると言う。機敏な走行性能を失いたくなため、ボディーサイズの拡大は最小限に留められており、これについては「許容範囲内」とスイフト開発陣は説明する。また、ホイールベースの延長については、高速時の直進安定性を高めるとともに、ドライブシャフトの角度を見直したことで高速走行時の振動を抑えることができたとしている。

 エンジンは、最高出力67kW(91PS)/6000rpm、最大トルク118Nm(12.0kgm)/4800rpmを発生する直列4気筒DOHC 1.2リッターを搭載。吸排気側ともにVVT機構を採用したことで低・中速とアイドリング領域の燃費向上に成功したほか、エンジントルクがよりリニアな特性となり、スポーティな走りも楽しめると言う。2WDのCVT搭載車の10・15モード燃費は23.0km/L、2WDの5速MT搭載車は21.0km/L。組み合わせられるトランスミッションはCVTまたは5速MTとなる。

 また、ハンドリング性能に直接影響を与える軽量化についてはエンジン周辺でも行われており、ヘッドカバーに樹脂部品を使用したことで1.1kg、マフラーの小型化で300g、ラジエーターシュラウドを金属から樹脂に変更することで約1kgの軽減など、細かな改良を施していることも見逃せない。

 価格はXGが124万4250円~142万2750円、XLが131万7750円~149万6250円、XSが147万5250円~165万3750円。

 今回撮影したモデルは最上級グレードのXSで、ボディーカラーはアブレイズレッドパール2。

前後ともに張り出したフェンダーに、先代スイフトから1インチサイズアップしたタイヤなどによって、よりダイナミックな印象を受ける。ボディーサイズは3850×1695×1510~1535mm(全長×全幅×全高)
U字モチーフが与えられたフロントデザインいずれのグレードもハロゲンを標準装備し、オプションでディスチャージヘッドランプを設定するフォグランプはXSのみ標準装備
LEDランプを採用するサイドターンランプ内蔵のドアミラーはXL、XSに標準装備グリップタイプのカラードドアハンドルXL、XSは16インチアルミホイール(タイヤサイズ:185/55 R16)を標準装備。ブレーキシステムも大型化により強化された
フューエルリッドは左サイドに配置「SWIFT」のロゴはテールゲート右側エンジンは全グレードとも直列4気筒DOHC 1.2リッターを搭載。吸排気VVTを採用したことで環境性能を高めるとともにリニアなトルク特性を実現したと言う
室内は吸音材や制振材の最適化のほか、ドアウェザーストリップの全周2重化などによって静粛性が高められた。インテリアカラーはダークグレーを基調とし、落ち着いた雰囲気を演出しているキーレスプッシュスタートシステムは全車標準装備トランスミッションは副変速機機構付きCVT。グレードによって5速MTも設定する
XLとXSはオーディオスイッチなどを備える本革巻きステアリングを標準装備
XSのみ装備するパドルシフトは左シフトダウン、右でシフトアップフルオートエアコンを全車標準装備
助手席側にはプッシュオープン式のドリンクホルダーがつくセンターコンソールに設けられるドリンクホルダーフロントツイーターおよびフロント/リアスピーカーの計6スピーカーを全車標準装備
フロントマップランプはXSのみの装備小物などを置くことができる助手席側のインパネアッパーボックス車検証などを入れておけるグローブボックス
コンソールエンドに用意されるドリンクホルダードアの解錠/施錠ができる電波式キーレスエントリーは全車標準装備運転席/助手席のサンバイザー内側にそれぞれバニティミラーが用意される
ドア部は広めの収納スペースが用意される収納スペースにはドリンクがおけるスペースもあるドア部はドアミラーの角度調整スイッチのほか、ドアの解錠/施錠スイッチ、ウインドー開閉スイッチが設けられる
フロントシートリフターの調整量は上方36mm、下方20mmに拡大。また、スライドピッチ長を短くしてピッチ数が増加したことで調整幅が広がったフロントシートバックの背面を工夫して後席ひざまわりのスペースは先代スイフトより20mm拡大された「流れと揺らぎ」を表現したと言うシート表皮を採用。また、シートレールの板厚を厚くすることでシート取付部の剛性を高めたと言う
運転席のアームレストはXSのみ装備される4WD車は運転席と助手席にシートヒーターが標準装備される
200km/hまで刻まれるスピードメーターとタコメーターの間に配置されるマルチインフォメーションディスプレイ。外気温、オドメーター、瞬間燃費、シフトインジケーター(CVT)を表示できる
後席は6:4分割可倒式で、トランクルームのフロア高さは調節でき、フラットなフロアにすることもできる

【お詫びと訂正】記事初出時、歴代スイフトの表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。


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(編集部:小林 隆 Photo:岡田孝雄)
2010年 9月 16日