写真で見る 日産「リーフ」


 日産「リーフ」は設計・デザイン段階から電気自動車(EV)専用として開発された本格的な量産型EV。ハイブリッド車とは異なりエンジンを搭載しないため、走行中にCO2など排気ガスを一切出さないゼロ・エミッション車だ。

 心臓部となるモーターは日産が独自に開発したもので、スペックは最高出力80kW(109PS)、最大トルク280Nm。数字上、最高出力は1.5リッターの、最大トルクは2.5リッターのガソリン車並となるが、実際は出力特性が違うため横並びの比較は難しい。電源には大容量のリチウムイオンバッテリーを採用。24kWhの容量を持つ「バッテリーパック」は、「セル」と呼ばれる板状のバッテリーを4枚まとめた「モジュール」を48個内蔵しており、最高出力90kW、総電圧360Vを発生する。この組み合わせにより最高速度145km/h、フル充電時の航続距離は200km(JC08モード)を実現している。

ボディーサイズは4445×1770×1545mm(全長×全幅×全高)と、ちょっとワイドなコンパクトカーといったイメージ。ラジエターグリルレスのフロントマスクも新鮮な印象だ

 エクステリアは「EVならではのデザイン」を追求。ラジエターグリルを持たないすっきりとしたフロントマスクをはじめ、ボディー、ヘッドライト、アンテナに至るまで空力性能を重視。空気抵抗減による燃費への寄与はもちろん、風切り音の発生を抑えた。その結果、もともとエンジンやエキゾーストによる騒音がないこともあり、ガソリンエンジン車とは異質の静音性を持った車内空間を手に入れている。

 また、新しい試みとしてEVならではのメリットを生かし、デメリットをカバーするためにEV専用情報通信(ICT)システムを導入。これは専用の通信システムを使って、カーウイングスデータセンターとリーフに搭載するナビゲーションシステムをリンク、さまざまなサービスを提供するもの。

 車内からの操作では電池残量や走行状態を元に算出した「到達予想エリアマップ」表示のほか、周辺の充電スポットの案内、夜間電力などを使って割安な充電ができる「タイマー充電機能」などを実現。

 一方、携帯電話やパソコンを利用することで、クルマから離れていても各種操作が可能。携帯電話では充電状況をはじめとしたバッテリーのチェック、乗車前に車内を快適な温度に設定しておけるエアコンのタイマー操作、走行時に利用したおおよその電気代を確認できる「電気料金シミュレーション」機能などが利用可能。パソコンを利用すれば世界中のオーナーと電力消費や走行距離を競える「ランキング」機能や、後続可能距離や充電スポットを確認しながらドライブ計画が立てられる「ドライブ計画」機能へのアクセスも可能となる。

 この「CARWINGS for EV」は年間契約での利用が可能(1万5750円)。これに加えオーナー向けWebサイトを利用可能な「ITサポート」、6カ月ごとの点検+車検などを含む「メンテナンスサポート」、販売会社での充電が無料で行える「EVカーライフサポート」、トラブルなどの際にレッカー車の手配などを行える「エマージェンシーサポート」の計4つのサポートをセットにした「日産 ゼロ・エミッションサポートプログラム」も提供される。こちらは申し込みは新車購入時のみとなるものの、月額1500円で5年間利用することができる。

 ラインアップはベースグレードとなる「X」、上級グレードとなる「G」の2タイプ。GはXの装備に加えバックビューモニター、ASCD(オートスピードコントロール)などが標準となる。

 価格はXが376万4250円、Gが406万350円。EV補助金制度を利用すれば1台あたり最大78万円の補助を受けることが可能なほか、環境対応車普及促進税制による減税措置により2011年度まで自動車重量税と自動車取得税が免税となる。さらにグリーン税制にも適合しており購入翌年度の自動車税が50%軽減される。

 ボディーカラーはメインカラーとなるアクアブルーのほかホワイトパール、ブリリアントシルバー、スーパーブラック、ラディアントレッドの計5色。インテリアカラーはエアリグレーのみ。

 撮影車両はGグレードでボディカラーはラディアントレッド。

ボンネットフードを開けると目に飛び込んでくるのはガソリンエンジン車のような作り込みエアコン以外の電装品はこちらのバッテリーを利用する。走行用のリチウムイオンバッテリーからDC/DCコンバーターにより充電される
エンジンヘッドカバーのような意匠のインバーター。リチウムイオンバッテリーのDCをACに変換し、三相交流のモーターへ電力を供給するためのものインバーターの動作音などを消すためボンネット裏には遮音材が貼られている
独特の形状を持ったヘッドライト。これはドアミラーに当たる風をコントロールし、風切り音を低減するためのデザイン。ヘッドライトインナーにはリーフのアイコニックカラーとなるブルーのアクセントが加えられているロービームにLEDを採用したヘッドライト。バルブ本体はライト下部に配置され、反射鏡、リフレクターと2回屈折を行う複雑な構造となっている
ボディー前端に配置された給油口ならぬ充電ポート。左が急速、右が普通用。残量警告が点灯している状態で急速時は約30分で80%まで、普通時は約8時間で満充電となる
充電時はインパネ上面の充電インジケーターが点灯。写真の2点灯時は充電量が33~66%を示している。また、普通充電時はケーブル接続後すぐに充電を開始する「即充電」のほか、指定の時刻で充電開始/停止を行う「タイマー充電」、携帯電話やパソコンで充電を開始できる「リモート充電」の3つのモードを選択できる
タイヤは前後とも205/55 R16。写真のアルミホイールも標準装備ドアミラーは電動格納式。寒冷地仕様の場合はヒーター付きとなるフロントウインドー前にもフィン付きのカバーを配置
ボディーサイドの「Zero Emission」ステッカーはオプションショルダー部が盛り上がった独特のキャラクターラインは車両前後の気流を最適化する役割を持つGグレードにのみ装備されるソーラーモジュール付きルーフスポイラー。12Vバッテリーの補充電が行える。トップのブルーがアクセントとなっているアンテナは風切り音を抑える形状を採用している
マフラーのないすっきりとした下回り。ロアバンパー下面にはエアロフィン付きの大型ディフューザーを装着する真後ろから見るとハニカム風、横から見ると「く」の字形状の独特なリアビュー。ストップランプ付きの大型リアスポイラーも装着している
テールランプにもLEDバルブを採用し消費電力を低減。ただし、使用頻度が低いウインカーとバックランプは普通のハロゲン球だGグレードに標準となるバックビューモニター。カメラはテールゲートのグリップ部にビルトインされる
テールゲート左右に「LEAF」と「Zero Emission」エンブレムを装着
ツートンカラーのステアリング。ホーンパッド左右にはクルーズコントロールやオーディオ用のボタンを配置。このエンブレムもブルーのアクセントカラーとなるメーターはアッパー/ロワーに分かれたツインデジタルメーターを採用
アッパーメーターにはスピードメーターとエコインジケーター&エコツリー。半円状のエコインジケーターは瞬間のエコ状態、エコツリーはパワーオンからのエコ度の蓄積を示し、経過とともに木が育ち本数が増えていくロワーメーター上部はモーターの駆動と回生状態を示すパワーメーター。左側がバッテリーの温度計。右側バッテリーの容量/残量計。中央は情報表示部だ電源スイッチ。電気しか使わないため純粋に「電源」のON/OFFスイッチだ
インパネ右側下部のスイッチパネル。ステアリングヒーターは寒冷地仕様の装備メーターパネル右側にあるのはロワーメーター内の情報表示の切り替え用など
表示可能な情報は充電時間や「電費」、各種ウォーニング、タイマー充電の確認画面など
インパネ最下部にはボンネットと充電ポートのオープナー。その奥にはGグレードに標準となるETC車載器センターコンソールには電制シフト。すべて電気的に制御されるためマウスのように軽い力でスムーズな操作が可能。その後部にあるのは電動パーキングブレーキ。アクセルペダルを踏み込むことで自動的に解除される運転席、助手席ともサンバイザー裏にはバニティミラーを用意
中央部にはマップランプ。その前方にはサングラスなどが入れられるホルダーも運転席ドアのアームレストにはパワーウインドーとサイドミラーのスイッチを配置
ナビ/オーディオは専用のカーウイングス対応タイプで7インチのワイドVGAディスプレイを採用。センターコンソール前端にUSBとAUX端子を装備しiPodなどの接続が可能なほか、Bluetoothにも対応。スピーカーはGが6スピーカー、Xが4スピーカーとなる
オゾンセーフフルオートエアコンが標準。外部から設定したタイマー動作中は中央上部のLEDが点灯する左メニュー最下部の「Zero Emission」ボタンでEV用のメニューを表示電費情報/電力消費計メニューではモーターの出力や後続可能距離を表示。エアコンON/OFF時の航続可能距離も案内される。ナビ未使用時は常に表示させておきたくなる画面だ
到達予想エリア表示。残りのバッテリーでの到達可能な目安をわかりやすく表示してくれるルート沿いや自車位置周辺の充電スポットの検索もできる。急速/普通充電をアイコンで判別可能なほか、スポットの詳細情報も表示可能だ
カーウイングスにも対応しているため専用メニューも利用できる
フロントシートは運転席、助手席ともゆったりとしたスペース。シート調節は手動天井やヒザまわりはかなりゆったりのリアシート。ただ、座面が短めでフロントシート下につま先を入れられないため、モデル体型の男性だとちょっと窮屈な印象を受けるかも。フロア中央が盛り上がっているのは電源系のメインスイッチが収納されているため
リアシート背面にはチャイルドシート装着用のキャッチがつく
ラゲッジの容量はティーダの289Lより広い330L。9インチのゴルフバックが2個収納可能だ。分割可倒式のリアシートを利用すれば大きな荷物も積載可能だ。前方の仕切り状の部分にはジェネレータが収まっている。トノカバーはオプション
オプションの充電ケーブル用バッグ。充電ケーブルは200V用が3mまたは15m、100V用が7.5mの3種類がオプション設定されている。標準では200Vの7.5mタイプが付属しているスペアタイヤを搭載していないため応急修理キットが付属する
ラゲッジのカーペット下にある穴は電動パーキングブレーキのリリース用。バッテリー上がりなどで解除できないときに利用するITサポートにより携帯電話を使ってさまざまな操作が可能。撮影車ではスマートフォン(Android端末)だったが、iPhoneや一般的な携帯電話も利用可能だ
メインメニュー
クルマから離れていてもエアコンをONにできる「乗る前エアコン」。即時オンのほか時刻ONも可能で、結果は画面上で確認するだけでなくメールでも送信されてくる
ドライブ記録の確認や料金シミュレーションにも対応エアコンの動作状況のほかバッテリー状態の確認、充電停止の通知などもメールで受け取ることができる



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(安田 剛)
2011年 10月 19日