写真で見る トヨタ「オーリス」


 トヨタ自動車の「オーリス」はハッチバックタイプのコンパクトカー。初代モデルは日本だけでなく欧州でも販売を行う日欧戦略車として2006年にデビューした。欧州でデザインされたエクステリア、欧州各国の道路で鍛え上げられた走行性能を携えたモデルとして人気を集めた。

 2代目となる新型は日欧戦略車の立ち位置はそのままに、「スポーツハッチバックの新基準を確立する」ことをコンセプトに開発された。

 それはエクステリアにも現れており、全高は初代モデルより55mmも引き下げられた。これは低重心パッケージの採用により実現したもので、同時にドライバーの着座位置が40mm低くなったほか、ドア開口部まわりの補強によりボディー剛性を約10%アップ。操縦性、走行性の向上にも寄与している。

 ラインアップは大別して1.5リッターと1.8リッターの2ライン。

 1.5リッターには同社のこのクラスではおなじみの直列4気筒ユニット「1NZ-FE」を搭載。ただ、バルブタイミングの最適化などによる燃焼改善、各部フリクションの低減などに加え、FFモデル搭載ユニットでは圧縮比を上げ熱効率を改善するなど大幅な改良が行われた。この結果、スペックは2WD(FF)モデルが80kW(108PS)/136Nm(13.9kgm)、4WDモデルが77kW(105PS)/135Nm(13.8kgm)と若干異なる数値となっている。

 トランスミッションは自動無段変速機「Super CVT-i」との組み合わせのみで、JC08モード燃費は18.2km/L(2WDモデル)を実現。また、一部モデルにはオプションでアイドリングストップ機構「Toyota Stop&Start System」が用意され、こちらは19.2km/L(同)とさらなる好燃費を達成している。

 グレードは構成は1.5リッターが「150X」、1.8リッターが「RS」と「180G」の3モデル。150Xは標準仕様のほか、スチールホイールやマニュアルエアコンなど装備を簡略化したベーシック仕様にあたる“C Package”と、アルミホイールや本革巻きステアリングなどを装備する豪華仕様の“S Package”を用意。どの仕様でも2WDと4WDが選択可能だ。

 価格は2WDモデルが179万円、4WDモデルが197万9000円。それぞれ“C Package”が8万円安、“S Package”が19万円高。

 1.8リッターモデルはリアサスペンションがトーションビームからダブルウイッシュボーンに変更されるなど、より走りに振ったキャラクターを持つのが特長。搭載されるのは2ZR-FAEユニットで、こちらもベースは既存のユニットながら、「バルブマチック」および「Dual VVT-i」を改良することで、バルブタイミングの変更や圧縮比の向上、フリクションの低減などを実現している。

 ラインアップ中、もっともスポーティなキャラクターを持つRSはハイオク(無鉛プレミアムガソリン)仕様で、スペックは106kW(144PS)/180Nm(18.4kgm)。180Gは無鉛レギュラーガソリン仕様となり105kW(143PS)/173Nm(17.6kgm)と若干のスペックダウン。数字上はわずかではあるが、動力性能においても差別化が図られているワケだ。

 180GとRSは駆動方式はどちらも2WDのみとなるが、ミッションは前者がSuper CVT-i、後者は6速MTのみ。両グレードとも標準仕様のほか“S Package”が用意される。

 価格は180Gが206万円、同“S Package”は221万円。RSが202万円、同“S Package”は225万円となる。

RS “S Package”
 撮影車両は網ホイールなどが標準装備となる“S Package”。ボディーカラーはオレンジメタリック。ライトまわりの写真はメーカーオプションのホワイトパールクリスタルシャイン。

ボディーサイズは4275×1760×1460mm(全長×全幅×全幅、2WDモデル)、ホイールベースは2600mm。初代オーリスと比べ全長で30mm長く、全高は55mm低くなった
「キーンルック」と呼ばれる独自のデザイン表現を織り込んだフロントマスク。RSはスポーツタイプのグリルを装備V字型のヘッドライトとグリル、台形の開口部などアグレッシブな印象のフロントマスク。ヴィッツに似た雰囲気の初代から一変、スポーティなムードを強調したものとなったドアミラーはウインカーに加えヒーター機能も内蔵。“S Package”は自動格納機能も備わる
ドアミラーの付け根には標準となりつつある「エアロスタビライジングフィン」を装備。一見、デザイン上のアクセントにしか見えないが走行安定性の向上に役立つという全車グリップ式のドアハンドルを採用走り重視のRSのみ無鉛プレミアムガソリン仕様。タンク容量は50L
複雑な造形のリアコンビランプ。こちらもサイド側にエアロスタビライジングフィンが設けられているルーフスポイラーは全車標準装備リアゲート左側にオーリスのバッヂを装備
バルブマチックバッヂとともに赤くペイントされたRSのバッヂも付くフロント同様、台形風の意匠となるリアバンパー。ナンバー装着部が横に広いのは日欧戦略車のオーリスならではルーフアンテナは短いロッドタイプで可倒式
“S Package”のヘッドライトはディスチャージタイプ同モデルの場合、スモールランプはLEDとなるステアリングの蛇角や車速に応じて照射軸を変化させる「インテリジェントAFS」も装備
ウインカーは一般的な電球“S Package”にはメッキリング付のフロントフォグランプが標準
リアコンビランプの点灯パターン。リアフォグランプは販売店装着オプションとして用意
1.8リッター直列4気筒DOHCの2ZR-FAEユニット。無鉛プレミアムガソリン仕様とすることで最高出力106kW(144PS)/6200rpm、最大トルク180Nm(18.4kgm)/3800rpmを発生するボンネット裏には1.5リッターモデルにはない遮音材が装着される薄型のラジエターは無塗装でインタークーラー風のルックス
RSのJC08モード燃費は14.4km/L、SuperCVT-i搭載の180Gでは16.0km/L。どちらも平成17年排出ガス基準75%低減レベルのステッカーのみ“S Package”はアルミホイールが標準装備。タイヤサイズは205/55 R16
1.8リッター車専用のマフラー。中間にもタイコが付くためリアピースのものは小さめ1.8リッター車はリアサスがダブルウイッシュボーンに
インパネはダーク系のカラーを中心にワンポイントでシルバーの加飾が入る。造形も日本専売モデルとは違ったムード。カーボン調の加飾パネルはRS専用の装備ステアリングはカローラ系と同じタイプ。もちろん本革巻き“S Package”のみ中央に大きなマルチインフォメーションディスプレイを配した2眼メーターを装着
マルチインフォメーションディスプレイには平均/瞬間燃費や航続可能距離、平均車速などが表示可能
オーディオは全車レス仕様。CD+AM/FMチューナーを備える「オーリス・ライブサウンドシステム」はオプション左右独立温度コントロールが可能なフルオートエアコンを標準装備インパネ最下部にはDC12Vのソケットを装備
6速MTは丸形シフトノブ。リバースへは根元の丸いリングを引いて入れるタイプ。もちろん本革巻きだABCペダルの表面は普通のゴムタイプサイドブレーキ横にはカップホルダー
一部モデルを除いて「スマートエントリー&スタートシステム」を装備。スターターはプッシュボタン式になる。周辺にはドアミラーの調整スイッチなどもステアリングコラム左にはVSCの解除スイッチを用意グローブボックスはごく一般的な形状&サイズ
一部モデルにはオプションで「パノラマルーフ」を用意、前席から後席頭上近くまでをカバーするグラスルーフは抜群の解放感を得ることが可能
後部に逆三角形のウインドーを持つため後席でも閉塞感は少ないRSのシートは専用のスポーツタイプ。座面と背もたれ、ステッチに赤いカラーを採用しムード満点の仕上がりシート調整はすべて手動式
アームレストを兼ねるコンソールボックス。中蓋も装備しており小物の整理に便利
ドア内張は複雑な造形。アームレストにも赤いステッチが使われるなど、細かい部分までスポーティなムードで仕上げられている運転席のパワーウインドウスイッチはすべてオートに対応
リアシートは3名がけ。新基準に合わせすべて3点式シートが備わる中央部にはカップホルダー付のアームレストを用意
360Lの容量を持つラゲッジスペース。“S Package”には荷室床面の高さを2段階に調節できる「アジャスタブルデッキボード」を装備
アジャスタブルデッキボードには開いた状態を保持するためのフックが備わるフロア下にはパンク修理キットなどが収まる。スペアタイヤはオプション
オプションのスペアタイヤを装着するとアジャスタブルデッキボードは未装着に
6:4分割可倒式のリアシートを採用し、荷物と乗車人数に合わせたアレンジが可能。リアシート首脳時は最大1395mmの荷室長が確保できる
ラゲッジフロアには荷物を固定するためのフックが備わる左サイドにはラゲッジランプ。その横には買い物袋などを掛けておけるフックも

RS
 RSの標準仕様は150Xだと“C Package”に相当するシンプルな装備。アフターマーケットのパーツを利用して自分好みのカスタマイズを施したいユーザー向けだ。

タイヤサイズは205/55 R16で同じだが、ホイールはスチール&樹脂キャップになる本革巻きステアリングなどインパネまわりはあまり変わらない印象メーターは3眼式となりマルチインフォメーションディスプレイも小型に
エアコンはダイヤル式のマニュアルタイプワイヤレスドアロックリモコンは標準だがスターターは一般的なキー式
サンバイザー裏にはバニティミラーが備わるが照明なしにマップランプ&サングラスホルダーは共通ルームランプもシンプルなタイプ

150X

フロントグリルは「上級タイプ」でメッキ加飾&ーボディカラーの組み合わせ。フォグランプは販売店装着オプション

 1.5リッターエンジンを搭載するモデル。撮影車両のボディーカラーはレッドマイカメタリック。

エクステリアは1.8リッターモデルと大きな差はない
ヘッドライトはハロゲンタイプポジションランプはLED風の仕上げだが中身は電球リアバンパーも1.8リッターモデルと同じメッキ加飾&ブラック塗装の組み合わせになる
リアゲートの車名バッヂは全車に共通ウォッシャー連動間欠リヤワイパーは全車に標準装備アイドリングストップ付車には専用の「SMART STOP」バッヂが付く
アンテナはロッドタイプで共通1.5リッターの1NZ-FEユニット。無鉛レギュラーガソリン仕様で2WD車のスペックは最高出力108ps/600rpm、最大トルク13.9kgm/4800rpmアイドリングストップ機能装着車のJC08モード燃費は未装着車より1km/Lアップした19.2km/L
タイヤは1.8リッターモデルより1インチダウンの195/65 R15。ホイールはスチール1.5リッターFFモデルのマフラー。タイコは溶接ではなく絞りで一体化したもの。見た目はちょっと砲弾型っぽい感じパネルの加飾が異なるものの見た目はRSとほぼ同じ
ステアリングはウレタンになるもののオーディオコントロール用のスイッチは変わらずメーターはRSの標準車と同じく3眼式ミッションはCVTのみ。アイドリングストップ付車にはシフト後方にオフスイッチを用意
シートカラーは標準ではブラックだが写真の「グレージュ」も選択可能ルームランプは左右別々にON/OFFが可能なタイプ

モデリスタとTRDによるカスタマイズカーも
 発売度と同時にモデリスタとTRDからカスタマイズパーツが多数リリースされている。エアロなどエクステリアパーツだけでなく、サスペンションやメンバーブレースなどパフォーマンス系アイテムも用意されているので、人とちょっと違うオーリスを目指すならなら注目したい。

モデリスタ(写真右)とTRDによるによるカスタマイズモデル。雰囲気は異なるがどちらもよりスポーティな仕上がりだ

写真で見る バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/

(安田 剛)
2012年 9月 12日