写真で見るトヨタ「プリウス」


 今さら説明の必要もないほど有名なハイブリッド車「プリウス」。アトキンソンサイクルのガソリンエンジンと電動モーターを併用し、圧倒的な燃費のよさを誇っている。エコカー減税の追い風もあり、発表から1カ月で18万台を受注した。

 初代プリウスが発表されたのは1997年12月。世界初の量産型ハイブリッド車であり、燃費は28.0km/L(10・15モード、以下同)。後期モデルでは29.0km/Lに伸びた。ボディーは5ナンバーサイズの4ドアセダンだが、未来を感じさせるデザインは従来のクルマとは明らかに違っていた。2代目プリウスは2003年9月に登場。より先鋭的な5ドアハッチバックのワンモーションシェイプとなり、燃費は30.0~35.5km/Lと向上した。

 そして今回撮影したのが今年5月18日に発表された3代目「プリウス」である。ボディスタイルは2代目と同じ5ドアハッチバックだが、デザインはよりシャープになり、空気抵抗を低減。Cd値0.25を得ている。2代目に比べてフロントピラーを前へ出し、ルーフのピークを後方に移動させることで後席居住性を向上。駆動用バッテリーの小型化や配置変更によりラゲッジ容量を約30L拡大した。また、ムーンルーフに搭載したソーラーパネルで発電した電力を使用し、室内の換気を行うシステムも搭載する(オプション)。

 大きな違いはエンジン。初代、2代目とも排気量が1.5リッターだったのに対し、3代目は1.8リッターに拡大された。これによりエンジンの最高出力は56kW(2代目)から73kWへとアップ。モーターも50kWから60kWへ高出力化された。エンジンを含めたハイブリッドシステムは全体の90%が新しく開発され、燃費は35.5~38.0km/Lとなった。

 通常の走行モードに加え、「エコドライブモード」「パワーモード」「EVドライブモード」の3つのドライブモードが用意される。EVドライブモードはモーターのみで走行するモード。また、ユーザーのエコドライブをサポートする「エコドライブモニター」を採用。エネルギー回生状態の表示や燃費が分かりやすく表示される。

 安全性の面では、プリクラッシュセーフティシステム(ミリ波レーダー方式)が新たに設定された。これは衝突の可能性があると警告を発し、ブレーキの制動力を高め、シートベルトを早期に巻き取る。そのほか、S-VSC(ステアリング協調車両安定性制御システム)や6個のエアバッグ、アクティブヘッドレストなどが装備される。

 グレードは、上から順に「G」「S」「L」の3種だが、一部グレードには17インチホイールやLEDヘッドランプを装備する“ツーリングセレクション”が用意される。価格は、もっとも廉価な「L」の205万円から、「G“ツーリングセレクション・レザーパッケージ”」の327万円まで。

燃費向上のため空気抵抗の低減を考慮したワンモーションシェイプが特徴。メーカーは“トライアングルシルエット”と呼んでいる。ホイールまわりの整流効果を上げるため、バンパーサイド面は直立した壁のようになっている。Cd値は0.25。それでいて全体としては陶器のような質感を目指し、滑らかな凹凸の変化とシャープなエッジを際だたせたデザインとしている

 

上部のグリルはスムーズに風を流すように小型化、逆に下部のグリルは冷却のために大型化したこれはプロジェクター式ハロゲンヘッドランプだが、“ツーリングセレクション”ではLEDヘッドランプとなる縦に並ぶサイドターンランプとフォグランプ
青黒グラデーションのトヨタマークは、ハイブリッド車の証しサイドターンランプを下部に内蔵したドアミラータイヤサイズは15インチだが、“ツーリングセレクション”では17インチになる
ルーフは後部がソーラーパネルになっている(オプション)。ソーラーパネルは駐車中に室内を換気するシステムに電力を供給するムーンルーフをチルトした状態。室内の換気に重宝するムーンルーフを開けた状態。前部が持ち上がり風切り音を低減
ソーラーパネルの端には、パネルの製造メーカーである京セラのロゴも入っていた空気抵抗を減らすためのリアデザイン。バンパーサイドのデザインも特徴的リアコンビネーションランプ。右側にはリアフォグランプも装備する
ボディ同色のドアノブノブの一部がタッチセンサーになっていて、触るだけで施錠できるリモートエアコンシステム付きのキー
フロントフェンダー部の「HIBRID」ロゴバックドア左側の「PRIUS」のロゴバックドア右側のハイブリッドのロゴ

 

エンジンルーム右手前のブロックがパワーコントロールユニット。オレンジ色のケーブルがモーターやバッテリーにつながっているこれは駆動用ではなく、通常のバッテリー。後部ラゲッジスペースの隅に置かれている
ラゲッジスペースには巻き取り式のトノカバーを装備トノカバーは外すこともできるリアシートは6:4分割の可倒式。左側のみ倒した状態
右側リアシートのみ倒した状態左右ともリアシートを倒した状態。ラゲージフロア長は1.5mになるバックドアのオープナー。左の四角い側が開錠、丸いボタンが施錠
ラゲッジスペースの床下にはデッキアンダートレイを装備緊急停止板もデッキアンダートレイに置かれていたデッキアンダートレイを外すとスペアタイヤが現われる

 

インパネ全景。メーターは視線移動が小さい前方奥に位置する。ステアリングホイールには多くのボタンを装備メーターは速度計や燃料計が右に、燃費やハイブリッドの状態を表示する「エコドライブモニター」が中央に置かれているセンター部は上段がナビゲーションシステム、その下がエアコン関連、手前がシフトレバーを中心としたドライブ系となる
ステアリングホイールは楕円形タイプ。中央にはもちろんエアバッグを装備するステアリングホイール左のボタン。上はオーディオの操作、下は電話のトークやフックを操作するものステアリングホイール右のボタン。右上が「エコドライブモニター」の切り替え、左上がトリップ、下がエアコンの操作
プリウスはキーでエンジンをかけるのでなく、パワースイッチでクルマを起動するペダルは通常のAT車と同じ。左はパーキング用のペダルシフトレバー。奥の左側のスイッチは、走行モードを切り替えるもの
ステアリングコラム左のワイパーレバー。インターバルの間隔など、細かく設定できるステアリングコラム右の方向指示レバー。ヘッドランプやサイドターンランプをコントロール方向指示レバーの下にあるのがクルーズコントロールのスイッチ
クルーズコントロールスイッチの先はオン/オフボタンになっているインパネ右のスイッチ群。左から換気スイッチ、光軸調整ダイヤル、ドアミラースイッチ。下はオプション用ドアミラースイッチの下にはETC車載器が搭載されていた

 

運転席シートはハイトアジャスターを装備する大きく開くドア。ウインドースイッチの下にはドリンクホルダーを装備助手席側のドア。パワーウインドースイッチは助手席のみ
天井を見上げる。ムーンルーフのシェードを閉じた状態シェードを開けるとムーンルーフ越しに外が見えるオーバーヘッドコンソール。前方にはムーンルーフの開閉スイッチが置かれている
運転席側のパワーウインドースイッチ。各窓の開閉のほか、ウインドーのロックも可能シフトレバーの下には大型のカップホルダーを装備多機能なコンソールボックス。閉じた状態ではアームレストに
スライドさせると前方のトレイ(カップホルダー)が使用可能にアームレストを開けると中段トレイが使用できる中段トレイを開けると深いボックスに。底にはシガーソケットなどを装備する
助手席側のグローブボックスは、アッパーとロワーに分かれているアッパー、ロワーとも開けた状態。かなりの容量になる通常のエアバッグのほか、サイドエアバッグ、カーテンエアバッグを装備
前席から後方の視界を見る。リアエンドの窓のおかげで後方視界は悪くないが、斜め後方はやはり見づらいリアシート。先代のプリウスよりもヘッドクリアランスが広げられた中央部のアームレストを引き出した状態。カップホルダーも装備

 

メインのメーター部。速度計、燃料計に並んで燃費計が配置されているのがプリウスらしいシフトレバー奥のスイッチで、パワーモードを選択した状態エコモードの表示。速度計がボケて見えるのは、視距離が異なるため
エコドライブモニターをハイブリッドシステムインジケーターに切り替えた状態走行中の表示。運転のエコ度を表示。これはちょっと踏み過ぎているエコドライブモニターをエネルギーモニターにした状態。モーターとエンジンをどのように使っているかを表示。回生状態も分かる
エコドライブモニターを燃費計にした状態。これは「1分燃費」だが停車しているのでグラフは出ていない同じく燃費履歴の表示。各走行距離ごとの燃費がわかるタッチトレーサーディスプレイ。ハンドルのボタンを操作すると状態がメーターに表示される

 

カーナビの画面目的地の設定カーナビの各種設定
「G-BOOK」のドライビング系の画面「G-BOOK」のアミューズメント系画面FM放送の受信

 

駐車をアシストするインテリジェントパーキングアシストモニターの指示に従って前進すれば、後退はほぼ自動で行われる縦列駐車のモードもある
目標位置の設定画面。矢印にタッチして枠を合わせるパワースイッチの下にあるインテリジェントパーキングアシストのスイッチ

 

インテリジェントパーキングアシストを試した。自動で動くハンドルに驚く

 

(平 雅彦 WINDY Co.、Photo 石川 智)
2009年 9月 3日