写真で見るポルシェ「ケイマン」


 ポルシェの「ケイマン(Cayman)」は、2世代目の「ボクスター(Boxster)」から派生したモデル。2005年のフランクフルトショーで登場した後、2008年に大きなマイナーチェンジを行い現行モデルとなった。オープンのボクスターに対し、ケイマンはクローズドのクーペであることが大きな違いで、ポルシェのエントリーモデルという役割も持つ。

 ケイマンのラインアップは2種類。2.9リッターエンジンの「ケイマン」と、3.4リッターの「ケイマンS」である。それぞれに6速MTモデルと、デュアルクラッチATの「7速PDK(ポルシェ・ドッペルクップルング)」モデルが用意される。エンジンはいずれもオールアルミの水平対向6気筒で、出力は2.9リッターのケイマンが195kW(265PS)/7200rpm、3.4リッターのケイマンSが235kW(320PS)/7200rpmとなっている。

 ケイマンのボディーは完全な2シータークーペで、エンジンが後輪車軸より前に置かれるミッドシップレイアウトとなる。ホイールベースや全幅などはボクスターと全く同じで、設計が共通であることが伺える。ミッドシップは熱や音を逃がすために、乗員と別のエリアにエンジンを置くことが多いが、ケイマンではエンジンをパッケージ化し、室内に置いている。同時に長尺物も積載できる広い荷室を確保した。

 サスペンションは軽量なマクファーソンストラット。車両の挙動を安定させる支援システム、ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム「PSM」が標準装備される。また、ポルシェ得意のアクティブサスペンション「PASM」や、エンジンやサスペンションのセッティングを切り替えられる「スポーツクロノパッケージ」、リミテッド・スリップ・リアディファレンシャルはオプションで用意される。

 今回撮影したのは2.9リッター、PDK仕様の「ケイマン」で、価格は721万円。これは「911」のもっとも安価なモデル(911カレラ 7速PDK)のほぼ半額である。

ボディーサイズは4345×1800×1305mm(全長×全幅×全高)と、ミドルクラスのサイズに収まっている。車両重量は1380kg(6速MT)、1410kg(7速PDK)。ミッドシップのため、911に比べてリアまわりが長めに見えるスタイル。リアの彫りの深いデザインなど、911とはひと目で違うことが分かる
フロントまわりはボクスターと共通。ポルシェらしく、それでいてクセの少ないデザインヘッドライトは「ダイナミックコーナリングライト」機構を装備し、最大15度の範囲で照射方向を変える方向指示灯の点灯。ヘッドライトの脇とタイヤ直前の方向指示灯が点滅する
エアインテーク部に置かれるフォグランプ撮影車は205/55 ZR17サイズのミシュラン Pilot Sports PS2を装着していたサイドミラーは凝ったデザイン。三角形のミラー面がポルシェらしい
リアまわり。リアハッチをフェンダーよりも低く見せるデザインは、明らかに911とは異なるもの可動式スポイラーは120km/hになると立ち上がり、80km/h以下になると収納されるドア後方のエアインテーク。ミッドシップにとっては重要な部分
リアのコンビネーションランプもボクスターと共通のデザイン大きなマフラーエンドはナンバープレートの下に顔を出すリアハッチの「Cayman」ロゴ
リアハッチを開けた状態。ハッチはかなり大きいエンジンは完全にパッケージされており、普段は見ることができない。トランク容量は260Lもあるフロントのトランク。容量は150Lで、深さも十分にある
インストルメントパネル全体。オーソドックスなデザイン。カーナビも違和感なく収まっているPDK仕様車はステアリングにはパドルシフトを装備するメーターは丸型の3連タイプ。中央はタコメーターと情報表示ディスプレイ
シートは標準でもかなりスポーティだが、さらにオプションで各種スポーツシートが用意されるシフトノブ。PDK仕様のため、シフト操作が不要のオートマチック走行も可能ペダルは2つ。アクセルペダルはオルガン式
インストルメントパネル中央にはカーナビと空調関係のスイッチ類が収まっている運転席側のドア。かなり大きめで乗り降りもラクドアのスイッチ類はミラー調整とウィンドー操作ぐらい
サイドシル部にトランクやリアハッチのオープナーを装備する助手席側のサイドシル部。シート調整の大きなレバーが目立つ助手席側のグローブボックス。収納式のカップホルダーがユニーク

(西尾 淳(WINDY Co.) / Photo:石川 智)
2010年 6月 16日