写真で見るシトロエン「DS3」


 近年のシトロエンは「C+数字」の車名を使用しているが、新しい「DS」は2009年2月に発表されたシトロエンの新ブランドスローガン「Creative Technologie」のシンボルであり、従来のCラインとは別の新シリーズとなる。1955年に登場した名車「DS」の復刻ではない。今回の「DS3」に続き、「DS4」「DS5」が登場する予定だと言う。

 DS3は2009年のパリモーターショーで初めて公開され、日本では特別仕様車「DS3 Debut Serie(デビューセリ)」の予約を先行して受付け、その後通常モデルが発表されるというユニークな手順で発売された。どちらも2010年5月6日よりデリバリーが開始されている。

 DS3は全長4m弱のコンパクトなボディーながら、力強くボリューム感溢れる独創的なスタイリングを持つ。ボディータイプは、同じプラットフォームを使用する「C3」が5ドアなのに対し、DS3は3ドアのみとなる。

 最大の特徴は「ビークルパーソナリゼーション」と名付けられたカスタマイズシステム。ボディーカラーと、ルーフ&ドアミラーカラーを自由に選択できる2トーンのボディーカラーをはじめ、アルミホイールカラー、ダッシュボードカラー、シートカラーなどを好みに応じて組み合わせることができる(一部制限あり)。自分だけの1台を創ることができるというわけだ。

 DS3には2種類のエンジンが設定されている。「Chic(シック)」は自然吸気1.6リッターDOHCエンジンとなり、最高出力は88kW(120PS)/6000rpm、最大トルク160Nm(16.3kgm)/4250rpm。全域連続可変バルブタイミング&リフトシステムによる高い燃焼効率が特徴で、トランスミッションは4速ATとなる。10・15モード燃費は12.5km/L。

 受注生産モデルである「Sport Chic」は、ダイレクトインジェクション ツインスクロールターボ付きの1.6リッターエンジンを搭載する。こちらは最高出力115kW(156PS)/6000rpm、最大トルク240Nm(24.5kgm)/1400-3500rpmという高出力を得ており、6速MTのみとなる。10・15モード燃費は13.7km/L。

 サスペンションはフロントにマクファーソンストラット式、リアにトーションビーム式を採用。パワーステアリングは、ステアリングの直進位置への戻りをアシストする「アクティブリターン機能」、高速走行時にステアリングの走行安定性を保つ「アクティブダンピング機能」などを装備し、ステアリングフィールを向上させている。

 インテリアは、ダッシュボードパネルに光沢のある艶やかな素材を使用し、単なるスポーティさだけではない、質感の高さを演出。ビークルパーソナリゼーションによって、カラーコーディネイトを楽しめる。シートは「Chic」が快適性を重視したコンフォートシート、「Sport Chic」はホールド性に優れたダイナミックシートが標準。両モデルとも、オプションで「レザーパッケージ」仕様が用意され、カラフルなレザーシートが選択できる。

 安全面では、ESP(エレクトロニックスタビリティープログラム)を装備するほか、6エアバッグ、バックソナー、オートワイパー、オートヘッドライトも装備。欧州の自動車衝突安全テスト「EuroNCAP」において、総合評価で最高の5つ星も獲得している。

 今回撮影したモデルは6速MTの「Sport Chic」で、車両本体価格jは269万円。ボディーカラーは「グリトリウム」、ルーフ&ドアミラーカラーは「ルージュ カルメン」、ダッシュボードカラーは「カーボテック」、アルミホイールは「ノアール」という組み合わせ。シートは標準のアルカンターラ&ファブリックシートである「ミストラル」。また、オプションのルーフステッカー(5万円)のうち、「アーバントライブ」が貼られている。

コンパクトながら存在感の強いボディーデザイン。Bピラーの上部をブラックアウトし、ルーフが浮いて見えるようにしているのも特徴。ボディーサイズは、C3に対して全長+10mm、全幅-15mm、全高-75mm、ホイールベース-10mmと、全高がひとまわり低く設定されているほかは、ほぼ同じサイズとなる

 

かたまり感の強いフロントまわり。上から見るとコーナー部は大きなRになっており、ヘッドライトが上面に付いていることがわかるグリル上部はシトロエンのマーク「ダブルシェヴロン」をイメージしたものだが、その上に新ブランドのロゴマークが付くバンパー下部いっぱいまでグリルが開き、アグレッシブなイメージのフロントをより強調している
独特の形のヘッドライト。外側の大きなランプがロービームロービームの内側はハイビームとポジションのコンビネーションランプもっとも内側には方向指示灯が置かれている
フロントのアクセントになっているLEDドライビングランプ。エンジンを始動すると点灯し、ライトを付けると消える。よって夜間走行中には見ることができないワイパーは枝分かれする支持機構(トーナメント式)をもたないフラットワイパーを装備ドアハンドルはシンプルなクロームメッキ風のもの
ドアミラーはルーフと同じ色になる。基部に方向指示灯を装備ドアミラーは十分に広く、見やすい「Sport Chic」は17インチアロイホイールを装備(Chicは16インチ)。これは「ノアール」というカラー
ボディーサイド下部の太いメッキモール日本での指定燃料は無鉛プレミアムガソリンリアウィンドーとリアサイドウィンドーは連続しており、Cピラーを意識させないデザイン
リアワイパーは基部からきれいにカバーで被われているリアのエンブレム。ダブルシェヴロンはなく、「DS3」のロゴが置かれるマフラーは後部右側に2本出しとなる
リアのコンビネーションランプも独特な形状ブレーキランプを点灯させた状態中央は方向指示灯。点滅させると黄色に光る
LEDのハイマウントストップランプルーフ後部のアンテナオプションのルーフステッカー「アーバントライプ」が貼られていた

 

1.6リッターエンジンはターボ過給などにより115kWを発揮するトランクルームはリアシートを立てた状態で285Lを確保トランク上部のトノカバーは簡単に取り外すことが可能
リアシートを立てた状態。シート背面にはチャイルドシート固定のためのアンカーを装備リアシートは6:4分割可倒式。左側を倒した状態リアシートの右側を倒した状態
リアシートを左右とも倒した状態。大きな荷物も積載できるトランクルーム床面のパネルを外すと工具が現われるさらにその下にはスペアタイヤが置かれている

 

インパネ全景。撮影車は「カーボテック」というダッシュボードカラー革巻きステアリングも独特のデザインメーター。左に回転計、中央に速度計と水温計、右は燃料計や距離計など
右のメーターには、クルーズコントロールの情報なども表示されるシフトレバー。6速MTを搭載ペダルはすべて吊り下げ式。デザインも凝ったものになっている
ステアリング左側の操作レバー。上がライト類、下がクルーズコントロールの設定ステアリング右側の操作レバー。上がワイパー類、下がマルチファンクションディスプレイの操作などを行うドアの脇のダッシュボードにはESP(エレクトロニックスタビリティープログラム)のOFFスイッチなどが置かれる
インストゥルメントパネル上部にはエアコン吹き出し口とマルチファンクションディスプレイを装備センターコンソールはエアコンの操作部やオーディオが並ぶ。オーディオは1DINタイプキーは一般的なもの。車体には盗難防止のイモビライザーやアラームを装備する

 

フロントシート。ホールド性の高いスポーツ志向の「ダイナミックシート」を装備しているシートはハイトアジャスターも装備する後席乗車時には、このレバーでシートをリクライニングさせる
ドアはたっぷりしたサイズ。レザーシートではひじ掛けのカラーもそれに合わせたものになるドアには、ミラー調整、ウィンドー上下などのスイッチが置かれているドア下部の物入れ。あまり容量は大きくない
サイドシルのプレートフロアマットにはちょっと不思議な模様が描かれていたトランクオープナーは助手席側にある
ルームミラーは自動防眩式サンバイザーの内側は照明とバニティミラー付き運転席側Aピラーにある盗難防止アラームのセンサー。空気の動きを感知する
ルームランプは、ルーフのほぼ中央に置かれている光軸調整のダイヤルは、ステアリングポストの横に装備助手席側エアバッグのキャンセルスイッチ
マルチファンクションディスプレイの隣りにドアロックのスイッチを装備エアコンの送風に乗せてほのかな香りを出す「パルファムエアフレッシュナー」サービスソケットとUSB端子をサイドブレーキの横に装備
センターコンソール前部の物入れ助手席側のグローブボックスしかし開けると物入れは半分ほどの幅しかない
センターコンソール部のアームレスト蓋を開けると物入れが登場するアームレストは丸ごと跳ね上げることもできる
リアシート。中央席にも3点式シートベルトを装備する後席用に大きなグリップを備える後席シート脇の物入れ

 

マルチファンクションディスプレイ。外気温や走行可能距離など、多くの情報を表示する2組のメモリー切り替えが可能。走行距離、平均燃費、平均速度がそれぞれ記憶されている(上)FMチューナーの選局表示と、(下)通常状態での表示
(上)外部入力と、(下)ラジオの選曲メニュー(上)音質調整(低音)と、(下)音質効果の選択(上)オーディオ機能メニューと、(下)その中のFM選曲機能メニュー
トリップコンピューターのメニューカスタマイズの各種設定メニュー(上)カスタマイズメニューのひとつ。(下)モニター表示をOFFにすることも可能

(西尾 淳(WINDY Co.) / Photo:礒村浩一)
2010年 7月 29日