写真で見るフォルクスワーゲン「パサート オールトラック」


 フォルクスワーゲン「パサート オールトラック」は、フルタイム4輪駆動システムを採用したステーションワゴン。

 ベースとなっているのは2010年(日本では2011年発売)に発表された、ミドルサイズのステーションワゴン「パサート ヴァリアント」。ワゴンを「ヴァリアント」と言うフォルクスワーゲンのパターンに則れば「パサート ヴァリアント オールトラック」となるところだが、パサートシリーズのフラッグシップということもあり、シンプルにパサート オールトラックの名が付けられている。ノーマルのヴァリアントの駆動方式はFFだが、同車は独自のフルタイム4WDシステム「4MOTION」を採用しているのが特長だ。

 4MOTIONはセンターデフにハルデックスカップリングを採用した4輪駆動システム。通常時は後輪に10%程度の駆動力しか与えておらず、ほぼFF車的なキャラクターとなっている。だが、発進・加速時や路面変化によって駆動力を自動的にコントロール、最大で100%近くまで変化させる。

 さらに左右タイヤの回転差を電子的に制御する「XDS(エレクトロニック・ディファレンシャルロック)」により、高速時のアンダーステア解消やラフロードでの駆動力を確保。ドライバーは路面状況などを意識することなく、常に最高のトラクション性能を得ることができるワケだ。

 最低地上高もベース車より30mmアップした160mmに設定。これに伴い、アプローチアングルは13.5度から16.0度に、リヤ デパーチャーアングルは11.9度から13.6度に、ランプブレーク オーバーアングルは9.5度から12.8度に向上している。

 また、オールトラックならではの装備として「OFF ROAD」スイッチが用意されている。これはエンジンやギアの制御をラフロード向けに変更するもので、ABS/EDS/DSGの調整やヒルディセントアシスト、アクセルペダルの特性などに介入する。

 ミューの低い路面を前提としたセッティングとすることで、制動距離を短縮するほか、ホイールの空転防止、変速ポイントを高回転域に変更、10度以上の下り勾配での車速制御、微妙なアクセル操作への対応を行ってくれる。アップした最低地上高とともに電子制御システムのサポートを得ることで、特別なスキルを必要とせず雪道やダートはもちろん、ちょっと荒れた林道程度ならラクに走行することが可能なのだ。

 エンジンは同社のダウンサイジング戦略に基づき、3.6リッターV型6気筒から2リッター直列4気筒へと大幅に小排気量化。最大出力/トルクは211PS/28.6kgmとダウンしているものの、最大トルクを1700~5200rpmと低回転からフラットに発生する特性とすることで、扱いやすさを向上させている。小排気量化とともに6速デュアルクラッチAT「DSG」やブレーキエネルギー回生システムを組み合わせることで、JC08モード燃費が11.6km/Lと1割以上向上しているのも見逃せないポイントだ。

 グレードはパサート オールトラックの1モデルのみで、価格は494万円と先代モデルより下げられている。ステアリングも右ハンドル仕様のみで、ボディカラーは6色、シートカラーは2色が用意されている。撮影車両はリフレックスシルバーメタリック、ブラック/レザーの組み合わせ。

樹脂製のホイールハウスエクステンションや前後バンパーに追加されたアンダーガード、それに30mmアップした車高など、SUVらしいムードを強調したエクステリア

ヘッドライトやグリルまわりはヴァリアントとほぼ同じ。マットクロームパッケージが標準で、グリルやエアインテークなどが同仕様になるグリル内の「ALLTRACK」バッジやバンパー下部のステンレス調アンダーガードが差別化のポイントだウインカー&ヒーター内蔵のドアミラー。運転席側には自動防眩機能、助手席側にはリバース連動機能も付く
ガソリンは無鉛プレミアム仕様。タンク容量は68L標準装備のルーフレールはシルバーマフラーはクロームフィニッシャー付の2本出し。フロント同様、アンダーガードが備わる
リアスポイラーにはハイマウントストップランプを内蔵リアゲート左側には「ALLLTRACK」バッジ右側には「4MOTION」バッジが付く
ヘッドライトはバイキセノン。オートハイトコントロールも付くポジションはLEDをU字型に配置ロービーム点灯時
内側はウインカー/ハザードバンパー下部にはフォグランプとコーナーリングライトを用意
リヤコンビランプはフロントと逆に逆U字型がモチーフポジション時とブレーキ時の点灯パターンは同じ
ウインカー/ハザードは一番外側真ん中がバックランプ内側にはリヤフォグランプも
エンジンは2リッターの直列4気筒DOCインタークーラーターボ。スペックは211ps/2836kgmタイヤはハイパフォーマンス系のContiSportContact3の225/45R18

ブラックをベースにシルバーのパネルやウッドをあしらったインパネ。スポーティ&ラグジュアリーといった雰囲気だスポークにスイッチを配置したフォルクスワーゲン定番のステアリングアクセルペダルはオルガン式。ペダル部分はアルミを使ったスポーティなもの
トランスミッションは6速DSG。Dレンジで横に倒せばマニュアル操作が可能だシフトレバー左横にはエンジンやミッションの制御をオフロード向きに変更するスイッチを用意
メーターはクロノグラフ風。中央にはフルカラーのマルチファンクションインジケーターを配置オフロードスイッチをONにするとタコメーター内のアイコンが点灯
マルチファンクションインジケーターの表示。時刻、瞬間/平均燃費、走行距離、平均速度、運転時間、外気温度などが表示可能なほか、メニュー機能も備わる
センターコンソールには液晶ディスプレイを配置
オプション設定されるカーナビ「712S DCW」。メニュー表示などからするとクラリオン製メモリーナビ「NX712」のカスタムモデルと思われる
地デジやCD/DVDのほか、iPhone、Bluetoothと幅広いソースに対応しているセンサーによりクルマ前後の障害物を検知、ディスプレイ上に表示してくれるパークディスタンスコントロールは標準オプションでリヤビューカメラも装着可能

エアコンは運転席、助手席で独立して温度調節が可能な2ゾーンタイプ。花粉やダストを除去するフィルターも装備するウッドパネルとアナログ時計によりラグジュアリーなムードを演出サンバイザー裏にバニティミラーを装備。照明も備わる
マップランプ後方にはサングラスホルダーを用意グローブボックス内には植毛が施されるオレンジ色のタブを引くと小さなボックスが現れる。内部にはオーディオ用のUSB端子が用意されている
シフトノブ前方には灰皿とシガーソケットセンターコンソール後方には収納とアームレストスライド式カバーの中はカップホルダーと小物入れ
アームレスト下は収納スペース専用のナパレザー スポーツシート運転席、助手席とも8ウェイのパワーシートを採用。運転席にはメモリー機能も
サイドシルプレートはロゴ入りの専用アイテム
リヤシートも立体的な造形でサポートに優れたもの。ヘッドレストはきちんと3名分用意される中央にはカップホルダーや小物入れを備えたアームレストが収納されている
フル乗車時でも約588Lの容量を備えるラゲッジ。リヤシートは6:4分割可倒式で、両側を倒せば約1716Lまで容量を拡大できる
リヤシートの背もたれはラゲッジに設けられたレバーでリヤからも倒すことが可能リヤのアームレスト部はトランクスルーにもラゲッジのフロア下にはスペアタイヤがなく収納スペースに
トノカバーは位置を3段階に調節可能トノカバーにはネットタイプのパーティションを内蔵。フル乗車時はもちろんリヤシートを倒した際にも利用できる
ラゲッジの右サイド。小物入れが用意されるほか、パーティションを外せばゴルフバッグなどの長い荷物を横方向に積むことが可能
左サイドも同じ構造ラゲッジには荷物固定用のフックが用意されているリアゲート内側には非常停止版の収納が可能

写真で見る バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/

(安田 剛)
2012年 8月 24日