DIYでクルマいじり
NAOさんのDIYでクルマいじり
第26回:疲れたボディーをリフレッシュ! 走り激変、剛性アップパーツをDIYで取り付けよう
(2015/2/24 00:00)
ちょっとくたびれたボディーをリフレッシュ
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。歳を重ねるごとに1年が短く感じられるジャネーの法則は有名だが、愛車ヴェルファイアくんとの歳月は本当にアッという間に感じられる。
筆者の愛車は過去の連載で紹介してきたとおり「これでもか」というレベルの防音・静音対策を施工しており、こと静粛性に関してはミニバンのレベルを超越していると自負している(騒音測定データについては過去記事を参照されたし)。
スライドドアやバックドア、さらに大きな窓がたくさんあるミニバンはそもそも騒音対策には不利なのだが、20系アルベルはノーマル状態でもかなりの静粛性を誇る。加えてエンジンルーム、バルクヘッド、ダッシュパネル、フロア、タイヤハウス、ドア、ルーフ、そしてバックドアと隅々まで静音施工をすることで高級セダンにも匹敵する快適性を得られている。
走行中も極めてノイズが少なく快適なのだが、最近気になっているのがボディーそのもの経年劣化。路面からの衝撃をサスペンションだけでなくボディーがワナワナと震えて吸収しているような……、片輪だけ段差を踏むと、フロアがヨレているような……。クルマ好きのみなさんならご承知だろうが、これは「ような……」ではなく残念ながら事実。ステアリングを通して、シートを通して、ジワジワと体に伝わってくる「クルマの老い」なのだ。
いろいろあって走行距離は約5年で約10万kmと筆者平均の半分以下なのだが、新型が発売されたのを機会に「愛車あちこちリフレッシュ大作戦」を始めたいと思う。
かれこれ15年ぶり!?のボディー補強DIY
筆者も若かりし頃は、インチアップだ、サス交換だ、タワーバーだ、マフラーだエキパイだと一通り頑張る小僧だった訳だが(笑)、その後はすっかり落ち着いたクルマ生活を送っている。だいたい4年で20万km程度を走るというサイクルだったこともあり、ヤレが気になる前には手放していた。が、ヴェルファイアくんは10年乗るぞと決めて買ったので、久々にボディー補強にチャレンジしてみよう。
トヨタでは豊田章男社長の号令のもと、クルマ全体をスポーティに強化した「G's」ブランドが展開されている。20系アルファード/ヴェルファイアもG's仕様があったので(現在は新型の30系発売にともないWebサイトから情報が削除されている)、このパーツを流用してお手軽ボディー強化をしてみよう。ボディー剛性強化パーツは新車購入時に装着してしまうのも手だが、5万km、10万kmと走り込んでから施工するのも効果が分かりやすく体感できて面白い。
まずは簡単に交換できるリアサスペンションブレースから作業する。片側につきボルト2本を緩めて交換するのだが、ジャッキアップしたクルマの下に潜り込む際には万全の安全対策が必要だ(※1)。
G's用のリアサスペンションブレースは標準リアサスペンションブレースをすっぽり包み込める形状になっているため、重ねて装着することもできる。ただ重ねただけではつまらないので、超強力接着剤で一体化した上で取り付けてみた。
まずはリアサスペンションブレース強化だけで試運転
さて。リアサスとボディーを結びつける小さなパーツ「リアサスペンションブレース」。簡単に交換できるこの小さなパーツだけで効果は体感できるのか? 1オーナーとして、できるだけ先入観持たないよう心がけつつ、近所を試運転。
スタッドレスタイヤ装着で一般道を流す程度では正直効果を感じられなかったが、自宅に戻りバックで車庫入れし、片側の後輪で段差を乗り越える際に変化が出た。リアサス周りの剛性が少なからず上がり、リア片輪だけが持ち上げられるような状況でのボディー歪みが少なくなったようだ。具体的には段差に乗り上げる瞬間、バックドアの気密ゴムが毎回「ムギュッ!」と鳴っていたのが、ほぼ鳴らなくなった。
20系アルベルは(一部であらぬ誤解を受けている)トーションビームリアサスペンション仕様なのだが、実はこのサスなかなか優秀。走行安定性、乗り心地ともに優れ、そして左右一体型フレームである故に経年劣化によるアライメント変化も比較的小さい。逆にリアが独立懸架ではないデメリットとして前記のような挙動があるのだが、リアサスペンションブレースの強化で少し改善したようだ。
下まわりヒットの後遺症でボルトが抜けない抜けない抜けない……
続いて、フロントサスペンションメンバーブレースの交換作業に入る。やろうと思えばジャッキアップしなくても交換できるリア側とは違い、フロントメンバー部分にアクセスするためにはクルマを持ち上げ、潜り込んでの作業が必須となる。
言うまでもないが、どんなに体を鍛えたムキムキマンでも、2t以上あるミニバンの下敷きになったら命はない。作業する際にはくれぐれも慎重に準備をしっかり行い、装備や自信がないのであれば素直にディーラーなどに依頼しよう。
実は愛車ヴェルファイアくん、海や山だけでなく林道を走ることもあるため何度か下まわりを岩にヒットしている。以前の愛車では冬の高速道路で前を走るトラックから飛んできた巨大な氷がヒットしてアンダーカバーを割ったこともあるが、現車では特に部品が割れたり目視で問題がなかったため、あまり気にしていなかった。
と・こ・ろ・が……フロントサスペンションメンバーブレース交換のためインパクトレンチで17mmのボルトを取り外し始めると、なぜか1個所だけどうしてもソケットが入らない。狭いところで作業しているから斜めになっているのかとも思ったが、何度やり直しても入らない。他の17mmソケットと交換しても、そのボルトだけがどうしても入らない。そう、ボルトの頭をガツンとぶつけていたらしく、変形していたのだ。
潰れていない部分を噛ませてモンキーレンチで挑戦しても、固すぎて回らない。頭の一部が潰れているだけなので、その部分を削ってしまえばなんとかなるはず。と、言うわけで、久々にディスクグラインダーを持ち出しての荒仕事となった。
フロントサスペンションメンバーブレース強化は効果バッチリ
ヴェルファイアG's仕様のフロントサスペンションメンバーブレース強化パーツは、今回取り付けた部分のほかにサブASSYやロアコントロールアーム用パーツがある。一気に全部やってしまってもよいのだが、変化を楽しむ意味もあり今回は1個所のみ施工した。
結果は、「ハッキリ違いを体感できる」レベル。
G'sフロントサスペンションメンバーブレースを取り付け試運転に出かけ、1つめの交差点を曲がる時点で体感できる変化があった。高速長距離ドライブ主体で優しく優しく乗っている愛車だが、経年劣化によりボディー各部がジワジワとネジれ、ボディー剛性が落ちていたことを痛感させられた。
こればかりは乗ってもらわないことには伝えるのが難しく、ありきたりな表現で恐縮なのだが「ボディーのたわみが軽減され、サスペンションがしっかり仕事をしている」ことをステアリングとシートを通じて明らかに体感できた。直進時でもサスペンションが今までより確実に機能しており、「今まではボディーフロアがワナワナしていたんだな」と思い知らされる。
クルマいじりは「チューニング」とも言われるとおり、各部を調整して「調律」し、バランスを取ることがなにより重要。これまで各部に行ってきた静音化施工も、「あっちを強化すればこっちが気になる」の連続であり、最終的にはクルマ全体をまるっと対策しないと満足いく結果が得られないどころか、バランスが崩れて「騒音測定値は下がっているのに、実際に乗ってみると不快」ということも多々あった。
ボディー剛性強化も同じことで、全体として素晴らしいバランスで設計されている純正仕様に対して1個所だけ強化してしまうと、バランスが崩れておかしな乗り味になることもあるだろう。だが、今回のG'sフロントサスペンションメンバーブレースとG'sリアサスペンションブレースへの交換は、少なくとも筆者の愛車にとっては大変バランスのよい強化方法だったようだ。
う~ん、ここまでよい結果が出ると、フロントサスのサブASSYとロアコントロールアームホルダー強化もやってみたくなるな。また新しい「沼」を発見してしまったようだ(笑)。
※1:事細かな写真でのエクスキューズは割愛しますが、ジャッキスタンド、輪留め、外したタイヤを入れておくなどなど死なないための対策は万全に。自信がない、装備がないという方は絶対にDIYでの下まわり作業を行わないでください。
※2:各パーツの推奨締め付けトルクは同一車種・同一パーツでも年式・型式によって異なる場合があります。また、G's用パーツはあくまでG's仕様車輌用保守部品なので、それ以外のシリーズ車輌には推奨締め付けトルクが設定されていない場合もあります。流用取り付けは自己責任で。
※3:ディスクグラインダー使用時は、保護めがねや手袋を装着し、引火しやすいものを遠ざけるなど注意事項を遵守しましょう。
※4:私有地で撮影したイメージ写真です。
※クルマいじりは自己責任で。無理な改造は事故や故障、怪我の原因となる場合があります。もちろん、違法改造はやめましょう。やむを得ず注意書きが多くてすみません。
【お詫びと訂正】記事初出時、G'sの表記を誤っていました。ここにお詫びして訂正します。