クルマのトラブル回避

 前回の私の「恥ずかしいトラブル体験談」、お読みいただきましたでしょうか。

 「自分のクルマは新車だから大丈夫」。そう信じたい方の気持ちもわかりますが、初期トラブルの発生も残念ながら否めません。もしくは、長い付き合いの愛車とそれまで問題なく過ごせていたとしても、それはそれで予期せぬトラブルに見舞われることだってあるのです。

 メカニカルトラブルについては、近年のクルマは残念ながら自分で発見&修理できるものはほとんど無いと言ってもよいのではないでしょうか。電子制御が進み、ボンネットを開けたところでガッツリとカバーが被せられ、なーんも見えない。そこで日頃からクルマの点検をディーラーなどで行っていればよいのでしょうけれど、怠りがちという方も少なくはないのではないでしょうか。夏休みという特別なお休みにドライブ旅行を計画されているなら、道中に愛車が故障してつまらないロスタイムを食らわぬよう、事前のチェックをお勧めします。

 昨年のお盆にJAF(日本自動車連盟)が出動した結果を見てみると、一般道で最もトラブル発生が多かったのがバッテリーのトラブル、高速道路ではタイヤのパンクでした。しかし、それらは一般道でも高速道でも上位に入っており、さらに事故や燃料切れなども多いことが分かります。そこで今回はバッテリーとタイヤのメンテについて、改めてご紹介したいと思います。

 バッテリートラブルは渋滞に要注意。クルマは走りながら電力を作って蓄え、それを使います。そこで渋滞中にクルマが走らない間にも電力をガンガン使うことで需要と供給のバランスが取れなくなり、電力不足に陥ってしまうことになるのです。

 夏場の電力使用が最も多いのはエアコン。これにカーナビやオーディオ、夜間の雨天時となればヘッドライトにワイパー、曇り止め(デフォッガー)などを使い、生産能力が使用量を超えてしまうことも想像できるのではないでしょうか。また、クルマは使っていなくても少しずつながら電気を使い、1~3カ月くらいでバッテリー上がりになってしまうんです。

 さらにJAFによると、健康なバッテリーを搭載していても、後席にモニターを複数増設し、まるで飛行機の機内のごとく1人1台のモニターを使って映画やTVを観て渋滞を過ごすクルマが増えたことで、高速道路上でのトラブルが増加したと言います。

 そこでこんな方は要注意。あまりクルマを使わない、もしくは夜間走行が多い、電装品を後から色々と(たくさん)付け足している、3年以上使っている、などに当てはまる方はバッテリーを酷使もしくは放置してしまっていることになるので、お出かけ前にぜひチェックされることをお勧めします。夏バテ予防にはスタミナが大事。クルマにはガソリンと健康なバッテリーでスタミナ不足を乗り切りたいものです。

 続いてタイヤ。やはり空気圧や残り溝のチェックを怠り、バーストしてしまうクルマが多いようです。空気圧不足で走行しているタイヤは、サイド部分がたるんだ状態で走行しています。状態にもよりますが、ジーンズの上にたるんで載ったお腹の肉のような感じです。イヤですね~。そのタプタプした部分が走行中に熱を持ち、しまいにはバーストしてしまうのです。

 仮にバーストを免れていたとしても、空気圧が規定値よりも少ないタイヤは、雨の日にはハイドロプレーニング現象を起こしやすく、キケンです。また、路面との摩擦抵抗が増え、燃費悪化にもつながります。

 空気圧チェックの際にはまず指定数値を確認しましょう。表示は運転席のドア周辺もしくは給油口の裏側などに記載されています。乗車人数やクルマによっては前後でも空気圧が異なりますので、ご注意ください。ただし走行後はタイヤの中の空気が膨張していることが多いため、タイヤが冷えているときに行いましょう。

 摩耗(残り溝)のチェックは「スリップサイン」で行うという方もいますが、スリップサインが出ている(残り溝1.6mm)のは、すでにかなり走行するのにキケンな状態です。また外側はあまり減っているように見えなくても、「片減り」と言って中央部分や内側だけひどく摩耗しているケースも少なくありません。

 残り溝が少ないクルマはバースト以外にも、雨天時の道路での排水性が低下し、ハイドロプレーニング現象やスリップを起こしやすいためキケンです。アウディのスクールでは、5分山よりも減ったくらいで交換することをお勧めしています。タイヤの排水性がこのあたりから大きく変化し始めるからです。またあまり使われていないクルマはゴムが硬くなってひび割れを起こしている可能性もあります。

 少しずつ空気が抜けるならまだしも、急にパンクするとハンドリングが乱れ、コントロールを失うことが予想されます。実はかつて私も、祖母を助手席に乗せて一般道を走行していた際に、ネジを踏んでしまってタイヤがパンクし、クルマが大きく蛇行したという経験があります。何とか衝突を免れて止まったものの、ベルトをしていなかった祖母の頭が私の顔に当たり、唇を切ってしまったのです。

 クルマに乗るすべての人がベルトを締めるのは今では当たり前ですが、後席でベルトをしていない方もまだ少なくないようです。話は逸れますが、クルマに乗るなら必ずベルトを締めましょう。自分のためだけでなく、同乗者を傷つけないためにもそれは大事なことです。

 最後に、ウインドウォッシャー液は十分に入ってますか? ワイパーブレードは古くなっていませんか? ライトは切れていませんか? タイヤ交換を自分でできる自信はありますか? ジャッキや工具がどこにあるか、その使い方はご存じでしょうか。

 クルマのコンディションはデータでチェックすることができますし、お出かけ前にはそういう点検をまとめてディーラーで行ってはいかがでしょうか。

 前回の私の体験談を読んでくださった方のツイッターでのコメントでも、トラブルが渋滞や事故を起こす原因になると書いてくださいました。まさにその通りです。重大な事故でなくとも、故障も含め、クルマが緊急停車していれば「どうしたんだ?」と見物渋滞が発生します。それが新たな故障車を生む原因にもなりかねず、燃料だってムダに消費するしCO2の排出量も増やすことになってしまうのです。

どうか“明日は我が身”と思って、自分のためにも他のクルマのためにも、お出かけ前のトラブル予防をお願いいたします。そして、どうかステキな夏のドライブをしてください。そして、よろしければツイッターやフェイスブックでご報告ください!

飯田裕子のCar Life Diary バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/cld/

(飯田裕子 )
2011年 7月 28日