今年も総火演へ

 「平成24年度 富士総合火力演習(総火演)」を見学に行ってきました。数日間行われるこの演習の様子を披露する第一の目的は、自衛隊の学生に「火力の効果と現代戦における火力戦闘の様子を認識させること」にあります。加えて、最終日の日曜日には我々一般人にも認識と理解を得られるように公開されているのだそうです。

 一般公開日の観覧は抽選。応募はハガキとインターネットで行われるのですが、大変人気があるようで倍率は上がっている模様。ハガキは昨年の10.9倍に対し今年は15.6倍、インターネットは8.8倍から14.4倍と、どちらも共に増えているようです。

 タイミング的には竹島や尖閣諸島問題が取り沙汰されていますが、私を含め、私の周囲の知人たちにこの演習の話をすると、実弾を使った演習や本物の戦車やヘリが実演を見せてくれるのを、とにかく見てみたいという興味や期待にあふれています。実は私は昨年に続き2度目の見学でしたが、好天に恵まれた今年は、視界も内容もとてもクリア、迫力と実力を見ることができました。

 ところで“火力”演習とは火薬を使って弾丸を発射する兵器を用いた演習のことだそうです。実弾を使った演習は迫力があります。

 前段/後段に分かれた演習プログラムは、前段では火力の遠距離→中距離→近距離に分けて攻撃力を見せてくれました。遠距離から始まったそれは、いきなりF-2戦闘機が飛び、陸上自衛隊で最新式という99式自走155mmりゅう弾砲の発射された弾が30km先まで飛んでいくという説明に、見えない彼方での着弾をイメージしつつ、今回は見える範囲での着弾を披露。

 前段の後半では、対戦車ヘリコプターAH-1Sヒューイ・コブラの攻撃、1機50~73億円という高価なAH-64Dアパッチ・ロングボウ(AH-1Sは25~49億円だとか)などが空を飛んでやって来るだけで、カッコイイとウットリしていました。

 ついでにOH-1という観測ヘリコプターは、敵陣に乗り込んで情報を得る役割があることから“ニンジャ”と呼ばれているのだとか。OH-1は川崎重工製で、バイクのNinja(ニンジャ)もカワサキなんだ……とか。私はこのニンジャ・ヘリのテールのローターと薄さと迷彩色を纏ったボディを昨年見たときから一目惚れ。偵察機は演習中しばしば登場するので「あー、来た来た……」とルンルンしておりました。

 ちなみにAH-1やAH-64Dといったヘリコプターのライセンス生産は富士重工業でも行われているようだし、ジープのような4WDが三菱製であったり、製造や開発を行うメーカーを知り、いろいろと思いを巡らすのが好きという方も少なくないようです。

 さて、後段では敵が日本の領土に上陸したり、そこで陣地を構えたりした場合にどのような防御・攻撃をするのかというデモを、わかりやすく、迫力ある演習で実演していました。

 ヘリコプターから自衛隊の方たちロープを使って降下し攻撃する様子、またパラシュートで降りてくるところなどもアクロバティックで見入ってしまいました。それから戦車。自走式りゅう弾砲との違いもよくわからないのに、なぜか花形的な存在に思えるオーラを感じるのはなぜだろう。今年は74式、90式に加え、昨年は展示のみであった10式の攻撃の様子も披露されていました。

 これらはすべて三菱重工製だそうです。数字は登場した年を表し、74式は1974年、90式は1990年、10式は2010年となり、10式が最新式の戦車になります。これらは当然ながら確実に進化していました。

 例えば74式のボディサイズが9.41×3.12×2.25m(全長×全幅×全高)、車重が38t。三菱製のエンジンは空冷2サイクルV型10気筒ターボディーゼルの720馬力。速度は53km/h。90式は9.76×3.33×2.30m、車重が50.2t。エンジンの形式は同じもののこちらは1500馬力と倍の馬力で速度も70km/hと速くなっている。そして10式は9.42×3.24×2.30mの44t。エンジンは水冷4サイクル8気筒ディーゼルを搭載する1200馬力と、90式に劣るものの実際には伝達効率の高い油圧機械式無段変速機との組み合わせにより、運動性能は高いのだとか。速度は90式と同じく70km/h。1輌あたり11億2400万円という90式に比べ、お値段も11億円と若干安くなり、コストダウンやメカニズムの効率が上がった点からも新しさが感じられるのではないでしょうか。

 今回は10式がスラローム走行しながら攻撃を行うというパフォーマンスを披露。最高速は90式と同じながらも、直線走行を見ても軽やかで速く見えました。それでも私は74式戦車が好きです。弾が出る台が亀のように丸みがあって戦車ながら癒し系? 「10式は確かに進化が感じられるけれど74式が好きだぁ~」なんてブツブツ言いながら見学しておりました。こういう類がお好きな方々に失礼かもしれませんが……。

 今後登場するという8輪装甲車は、テロに備えるボディと装備を備えているのだそうで、市街戦や化学兵器にも対応できるのだとか。これは展示のみ行われていたのですが、なぜ私の目が向いたのかと言えば、タイヤの数。市街地走行を考慮しているからなのでしょうか。これは基本後輪2輪で走るそうですが、8輪走行もできるのだそうです。これらも“働くクルマ”として見させていただくと、こんなにタフなものはやはりなかなか見られるものではなく、興味深い。

 さらに、総合火力演習で出店しているお店のグッズの数々も……。他人事と言うのではないけれど、別世界で行われている様々なことの一部を覗かせていただき、知るという意味では貴重な時間になると思います。いやぁ、ニンジャと74式戦車はかっこいいな、やっぱり……。

飯田裕子のCar Life Diary バックナンバー
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(飯田裕子 )
2012年 9月 7日