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陸上自衛隊、「平成26年度 富士総合火力演習」を開催

本番の8月24日にはUSTREAMなどによるライブ配信も実施

10式戦車
2014年8月19日開催

 陸上自衛隊は8月19日、東富士演習場(静岡県御殿場市)畑岡地区において「平成26年度 富士総合火力演習」を公開した。なお、取材当日は予行演習となっており、本番は8月24日に行われる。すでにチケットの申し込みは終了しているが、USTREAMなどによるライブ配信(10時~http://www.mod.go.jp/gsdf/event/fire_power/live.html)が予定されている。

 総火演(そうかえん)とも呼ばれる同演習は1961年から実施されており、1966年からは陸上自衛隊の広報活動の一環として、そして日ごろの訓練の成果を披露すべく一般公開を開始している。すでに50回以上を数えることから認知度は高く、普段はなかなか見ることができない戦車や自走砲など多くの車両による実弾射撃を間近で体感できるとあって、特にここ数年は人気がうなぎ登りとなっている。見学にはインターネットおよび往復はがきによる申し込みが必要となるが、競争倍率は2013年が約20倍だったのに対し、今年は24倍まで上昇。まさにプラチナチケットと呼べる状況だ。

 今回の総火演は、人員約2300人、戦車・装甲車約80両、各種火砲約60門、航空機約20機、その他車両約600両が参加。プログラムは例年通り、主要装備を紹介する「前段演習」、島しょ部に対する攻撃への対応を紹介する「後段演習」の2部構成となっており、演習終了後には参加した車両を間近で見学できる装備品展示も行われた。

 前段演習では遠距離、中距離、近距離、ヘリ、対空、戦車火力と、実弾射撃を交えながら主要装備を紹介していく。見た目の派手さでいえば74式、90式、10式戦車による迫力あるスラローム射撃などが大きな見所となるが、クルマ好きには8輪仕様の96式装輪装甲車のサスペンションが動く様子なども見ていて楽しめるだろう。

総火演の舞台となる東富士演習場
プログラムは「前段」「後段」の2部構成
203mm自走りゅう弾砲
99式自走155mmりゅう弾砲
155mmりゅう弾砲 FH70。動力を積んでいないように見えるが単独で走行できる
各りゅう弾砲による発射シーン
三菱自動車のパジェロがベースとなる73式小型トラック
トヨタ自動車のメガクルーザーのベースともなった高機動車。120mm迫撃砲 RTを牽引
81mm迫撃砲 L16
会場外に配置された部隊と連携して射撃を行い、炸裂した火炎を使って富士山を描く。総火演では恒例の技術披露で、今年もきれいな富士山が見事に作り上げられた
96式多目的誘導弾の発射機を積載した高機動車(右)
96式多目的誘導弾の発射イメージ。実射は行わなかった
軽装甲機動車
軽装甲機動車から01式軽対戦車誘導弾を発射。発射後は機動力を生かして退避する
96式装輪装甲車。前4輪が操舵輪となっておりフットワークが軽い
96式装輪装甲車の後部には乗員が乗り込める
89式装甲戦闘車
富士重工業がライセンス生産するAH-1S
川崎重工製の観測ヘリコプターOH-1
富士重工業がライセンス生産するAH-64D
87式自走高射機関砲
74式戦車
90式戦車
10式戦車

 休憩と音楽隊による音楽演奏を挟んだあとに行われた後段演習は、具体的なシナリオに沿って演習が展開していく。シナリオのテーマは「島しょ部に対する攻撃への対応」となっており、「陸海空の統合作戦による海上を進行してきた敵に対する攻撃」「上陸した敵への情報収集&攻撃部隊展開」「部隊主力による島しょ部の奪回」と3つのフェーズで進行していく。統合作戦のため、海上自衛隊のP-3C、航空自衛隊のF-2戦闘機も飛来していたが、当日は雲が低く、飛び去る音のみでその姿を確認することはできなかった。

88式地対艦誘導弾の捜索レーダー。ルーフ上に設置されたレーダーは人力で展開
74式特大型トラックに搭載された88式地対艦誘導弾。島しょ部の基地から敵艦隊を攻撃
高機動車に搭載された中距離多目的誘導弾
OH-1が垂直上昇など優れた運動性能を発揮し、上陸した敵部隊の情報を収集
AH-64Dが地上部隊の上陸をサポートする
多目的ヘリコプターUH-1で上陸部隊を輸送
偵察用オートバイも積み込める
偵察用オートバイは川崎重工業のKLX250
映画などでもおなじみの多目的ヘリコプターUH-60JA
輸送ヘリCH-47は乗員に加え、高機動車も積載可能
87式偵察警戒車。コンパクトなボディーで前4輪操舵のためキビキビした動き
上陸部隊を支援する92式地雷原処理車。数珠のように繋げられた爆薬を使い、広範囲の地雷を一気に処理する
74式戦車、10式戦車、89式装甲戦闘車により上陸部隊を攻撃
煙幕と共に全部隊突入。演習は終了となった
映画のワンシーンのようなヘリ部隊の飛行
会場を整備する車両群

「次回は生で実際に見たい!」という人のために参考までに書いておくと、総火演の観覧募集は例年6月ごろから開始される。インターネットまたは往復はがきで応募が可能で「青少年券」と「一般券」の2種類があり、1枚の券で最大4人まで入場できる。青少年券は29歳以下の人が含まれる場合に応募でき、当選確率が高く設定されている。また、どちらも駐車券あり、なしを選ぶことができる。

(安田 剛)