飯田裕子のCar Life Diary

ゴールデンウィークの渋滞を減らすために

 間もなくゴールデンウィークがやってくる。とくれば、今回のテーマは誰もが嫌いな高速道路上での渋滞をなくす、いや減らす努力をドライバーがするためのヒントをご紹介したい。平日も休日もさまざまな時間帯に高速道路を走る機会がある私が感じた、渋滞の原因をまとめてみた。運転経験が豊富な皆さまには今さらなお話かもしれないけれど、再確認のきっかけになればと思います。

 着目点は「トラブル」「事故」「走り方」の3つ。

高速道路上のトラブルについて

 2013年のゴールデンウィークに、JAF(日本自動車連盟)が出動要請を受けた内容は以下のとおりだった。今回はこの要請内容に沿ってポイントを紹介したい。

1位:タイヤのパンク
2位:燃料切れ
3位:過放電バッテリー
4位:事故
5位:キーの閉じ込み

●タイヤのパンク
 タイヤのパンクは、不可抗力で何かを踏んづけてパンクしてしまうこともあるかもしれないが、空気圧が低いことによるパンクが多いという。空気圧が低いタイヤで走行を続けると、普段はパリッと空気の入ったタイヤもタワミ(ズボンの上に載ったお肉みたいな)ができ、走行中に熱を持ち、パンクに至ることが多い。なのでお出かけ前に空気圧チェックは必ずしたい。

 また、不可抗力で何かを踏んづけてしまうという場合も、大きめの落下物であれば前走車が避けて走行するはずで、車間距離をしっかり開け、広い視野を持って運転すれば防げるものも多いと思う。

2013年のゴールデンウィークにJAFが出動要請を受けた内容の1位は「タイヤのパンク」

●燃料切れ
 2位にランクインした燃料切れは、運転に集中するあまり、ついつい走行中の燃料残量チェックを忘れてしまうこともあるのでは? もしくは過信。最近では高速道路上のガソリンスタンドの設置個所も減っているので、「燃料が減ってきたな」と思ったときに、早めに給油をしておくべきなのだ。

 昨年、取材で長距離移動をしていたときに、かなり燃料が減った状態でヒヤヒヤしながら走行したという経験をした。高速道路を降りるか、先のSA(サービスエリア)かPA(パーキングエリア)のガソリンスタンドを目指すか。同乗者にスマホで周辺のガソリンスタンドを探してもらいつつ、“超エコ運転”をしたのだけれど、あんな経験は2度としたくないと思ったものだ。

 最近のカーナビでは、SA/PAの施設内容などを表示できるものもある。こうした情報を上手く活用しながら、ガス欠しないように心掛けていただきたい。高速道路上でストップしてしまうと、それこそ誰かにガソリンを持ってきてもらわないと身動きとれなくなるので、JAFの出動要請も多かったのだろう。電気自動車(EV)の方も電欠しないように、くれぐれもご注意を。

長距離移動をする際は早めの給油を心掛けたい

●過放電バッテリー
 普段、愛車に乗っていないからバッテリーは元気だろうと思ったら大間違い。たまにしかエンジンをかけないとバッテリーが充電される機会が減り、結果バッテリー性能は低下してしまう。定期的に点検を行っていればトラブルを防げるかもしれないが、そうでない場合はお出かけ前にバッテリーのコンディションをしっかりチェックし、必要であれば交換をしておきたい。

 一方、クルマが作る電気には限りがある。状況次第でライトやワイパー、エアコン、オーディオなど電気を一度に大量に使ってしまうこともある。さらに最近ではクルマの各シートにモニターを後付したり、ポータブルゲーム機やスマホなどの充電をしたりする人も増えている。渋滞時など低速で走行する場合は発電量が少ない上に、消費電力が発電量を越えてしまうとバッテリー上がりを起こしてしまう。

 渋滞や低速走行を強いられる時間(長さ)、バッテリーの健康状態にもよるが、渋滞中の電力消費はトラブルに繋がる可能性があることを知っておきたい。

●キーの閉じ込み
 これはもうやっちゃったものは仕方がない。仕方がないけれど、遠出するときは普段持ち歩かないスペアキーをぜひ持っていくべきだと思う。ファミリーでお出かけする際、パパとママが1つずつ持っていれば、キーの閉じこみリスクは減るのではないでしょうか。2人でやっちゃったら、それはもうしょーがない。

●事故
 高速道路上で私が見かけたことのある事故といえば、渋滞中の追突事故と合流や車線変更の際の接触。誰でも起こしたくないから注意をしているはずだけど、それでも起きてしまうのが事故。1つの事故が原因で渋滞が起き、その渋滞の中で新しい追突事故が起き、渋滞が伸びるという残念な状況に何度遭遇したことか。疲れていたり眠かったりすると注意力が低下するので、そんなときは早めに休憩を取ることをおすすめしたい。「そんなこと分かっているよ」と思われるかもしれないけれど、意外と「自分はまだ大丈夫、まだいける」と思う方が多いらしいので、くれぐれも気を付けてほしい。

 また、最近は追従型のクルーズコントロールと追突軽減ブレーキシステムを組み合わせた機能を搭載するクルマも増えてきた。これらの機能は本当に便利。でも私自身、色々なクルマに乗ってみて分かったのは、クルーズコントロールはセットの仕方を知らないとすぐに使えないということ。「付いているから安心」ではなく、「どうやって使うか」を知っていなければ意味がないのだ。ゴールデンウィークに高速道路を長距離走る前、取扱説明書などであらかじめセット方法などを知っておくとよいだろう。これらをうまく使うことで、長距離移動時のドライバーの負担は確実に減るはずだから。

 そのほか、高速道路を走行する際に気を付けておきたいポイントを以下に記しておきます。

●上り坂や、下り坂から上り坂にさしかかるサグ部での走り方
 漫然と運転していると、上り坂で速度が落ちたことに気づかない場合がある。速度が落ちたことに気付いても、1台がそうなると後続車も速度がどんどん落ち……という具合で渋滞が発生していく。先の地形を見て、下り坂から上り坂にさしかかるサグ部などで速度が落ちないようアクセルをチョコっと踏み足すだけで、渋滞の原因を減らすことができるのだ。

●朝陽や夕陽が眩しい場合のためにサングラスを用意する
 狭くて暗いトンネルに突入する直前もアクセルを緩める人が多い。これも前述の渋滞の仕組みと同じ。安全が第一であることはもちろんだけど、そうではなく無意識にアクセルを緩めてしまっているのであれば、安全の範囲内で速度維持を願いたい。朝日や夕陽が眩しいという理由でアクセルを緩めていることもあるそうなので、そうした時間帯に走行するのであれば、サンバイザーとともにサングラスを活用しよう。

狭くて暗いトンネルに突入する直前もアクセルを緩める人が多い

●注意喚起を行う掲示板を見逃さない
 速度低下や渋滞末尾への追突といった注意喚起を行う掲示板も有効に活用すべき。高速道路の管理会社だって渋滞を減らす努力をしている。「この先上り坂」とか「まもなく渋滞終了、速度回復願います」という表示はかなり役に立つのです。

速度低下や渋滞末尾への追突といった注意喚起を行う掲示板も有効に活用しよう

渋滞時に役立ちそうなアイテムを事前に用意しよう

 渋滞は無駄なガソリンを使い、CO2をより多く排出することにもなるので、環境のためにもなるべく減らしたい。1台の故障車や1つの事故が見物渋滞を生むことも、運転経験が豊富な方ならご存知だと思う。それらを減らすためにも、ディーラーやガソリンスタンドでの事前の点検や、休憩も含め、注意力を維持できる心身状態を保ったロングドライブを心がけていただきたい。

 最後に渋滞にはまってしまったときのために、クルマにあらかじめ用意しておくと役立ちそうなアイテムを紹介しておきたい。お水、ちょっとした食料(車内が熱くなっても溶けたりしないものがベター)、簡易トイレ、ブランケットなど。ほかにも個々に欲しいものがあるかもしれないので、お出かけ前に改めて準備をしておくとよいのでは? 万全の体制を敷き、素敵なゴールデンウィークをお過ごしください。

飯田裕子