車内でノートパソコンやスマートフォンを手軽に充電
「ハイブリッド インバーター MPU-150B」
メーカー:セルスター工業
価格:オープンプライス(購入価格:3700円)

 

セルスター工業「ハイブリッド インバーター MPU-150B」のパッケージ。価格も安価な製品のためブリスターパックが使われている

 よく知られているように、自動車のシガーソケットから供給される電源はDC12V、もしくはDC24V。トラックなどではDC24Vが使われていることが多いのだが、一般的な乗用車は、その多くがDC12Vとなっている。

 そのため、車内で使われる電気製品はそのほとんどがDC12VやDC24Vに対応するように設計されており、さまざまな製品が発売されてきた。また、AC100Vで動作するノートパソコンや、DC5VのUSB充電が行える携帯電話やスマートフォンにおいても、車内利用のためのシガーソケットアダプターを用意している場合があるほどで、この連載でも以前「Lenovo 90W ウルトラスリム AC/DC コンボ・アダプター」を紹介している。

 1製品ならともかく、2製品、3製品と対応シガーソケットアダプターを用意するのは面倒だし、なによりお金がどんどんかかっていく。当たり前だが、ほとんどの電気製品はAC100Vでの利用が可能となっており、車内でAC100Vの給電ができれば便利になるのは間違いない。また、USBの5V給電ができれば、さらに便利に使えるはずだ。

 今回紹介するセルスター工業の「ハイブリッド インバーター MPU-150B」は、シガーソケットからの給電をAC100VとDC5Vに変換する製品。この手のインバーター製品の中でもコンパクトな部類に属し、ケーブル不要で取り付けられる。また、オープンプライスだが実売価格が安価で、4000円以下での購入が可能だろう。

MPU-150Bは、コードを用いない一体型のインバーター製品。150となっているが、これは最大出力で定格出力は120WUSB電源部とAC100Vの出力部MPU-150Bの側面。金属のフィンが見えるが、これは放熱のためのヒートシンク。つまり、発熱する製品であることが分かる
天面。動作中に緑色に光るインジケーターがあるUSB出力端子は標準サイズ。USB電源を利用する機器のコネクターを接続すればよいだけシガーソケット接続部。DC12V専用製品なので、主に乗用車向け。中には15Aのガラス管ヒューズが入っている

 使用に際しては注意が必要で、シガーソケットはDC12Vにしか対応せず、トラックなどでの使用は気をつけたほうがよい。また、取り付け手順も、10エンジンをかける、2.クルマのシガーソケットに取り付ける、3.使用する機器のプラグを差し込む、となっており、必ず守る必要がある。

 さらに、インバーター製品で守らなければならないのが、取り付ける機器の消費電力。MPU-150Bは型番から分かるとおり、150Wクラスの製品だが、この150Wは最大出力のことなので、一時的に使用できるだけ。連続して使用できる定格出力は120Wとなっている。インバーター製品を使用する場合、最大出力、定格出力とも守る必要があり、接続する機器の説明書をよく確認して、接続機器の合計消費電力が必ず超えないようにする必要がある。

 また、直流から交流への変換にP.W.M方式を用いており、出力されるAC100Vは、家庭用の正弦波と異なり櫛形の矩形波。さらに、周波数は家庭用の50Hzもしくは60Hzと異なり55Hzのため、これらに依存する機器(タイマーなど)では、正常な状態での使用ができなくなる。

 ただ、MPU-150BからのAC100V出力を、一般的なノートパソコンのACアダプターで使用する場合はほとんど問題にならず、ワールドワイド対応のACアダプターであれば、消費電力が120Wを超えるノートパソコンでない限り、問題なく使えるだろう。ノートパソコンだと消費電力は小さめだと思いがちだが、最大消費電力が120W以上の製品は数多くあるので、説明書を読んで確認してから使ってほしい。

 一方、USB電源端子については規格化されているので、問題ないと書きたいところだが、USB電源供給が一般化したため、かえって問題が発生している。本来USBの電源仕様は2.0で5V500mAと定められており、500mAあればOKだ。ところが、この形が便利なため、500mA以上を前提にしている機器も多くなり、有名なところではiPhone/iPodは5V1000mA、iPadにいたっては5.1V2100mAの純正アダプターが付属する。つまり、それだけの電圧/電流を前提に充電仕様が決められているわけだ。

 MPU-150BのUSB出力は、5Vで最大800mAとなっており、iPhone/iPodであれば充電は行えるものの、iPhone/iPod/iPadを確実に充電したいのであれば、AC100V出力に純正アダプターを取り付けるのがよいだろう。iPadで5.1V×2100mA、つまり約11Wあればよいので、定格120WのMPU-150Bは問題なく使用できるだろう。

シンプルな製品なので、ほぼ説明は不要。クルマのエンジンをかけ、シガーソケットに差し込めば利用可能だ回路作動中。緑色のインジケーターが光っているiPhone 3G充電中。いろいろ注意を記載したが、問題なく充電できた。確実を期すなら、AC100V経由がおすすめ
ACアダプターを接続して、ノートパソコンと同時使用中。合計容量を守ることを忘れずにAC100VとUSBを同時使用。発熱対策のため、MPU-150Bのまわりの空間は確保しておきたい

 細かいことを書いているが、電気製品は使用容量を守らないと多くの場合異常発熱し、最悪の場合火災にいたるおそれがある。MPU-150Bでは、出力オーバー保護、入力逆接保護、出力ショート保護、入力電圧低下保護、異常温度検出保護、入力過電圧保護と、万が一のために6つの保護回路が装備されているが、そのような回路のお世話にならないよう、容量を守る必要がある。

 インバーター製品は容量を守って使っている限り、便利な製品なので、車内での電気製品利用におすすめできる。容量内であっても、ある程度の発熱は伴ってしまうので、MPU-150Bのまわりの空間は、十分確保して使っていただきたい。


(編集部:谷川 潔)
2010年 12月 3日

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