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ステップワゴン Modulo Xをファミリーで1日体感した「Feel Modulo X 2016」レポート(前編・一般道試乗)

開発担当者にステップワゴン Modulo Xの魅力を聞く

2016年12月10日 開催

 ホンダアクセスは12月10日、栃木県茂木町にあるツインリンクもてぎにおいて「ステップワゴン Modulo X」の試乗会「Feel Modulo X 2016」を開催した。

 この試乗会は、「1.5 VTECターボ」「わくわくゲート」「ホンダセンシング」などのステップワゴンに搭載された注目の機能はそのままで、ホンダアクセスがModulo技術を注ぎ込んで生まれた10月21日発売のコンプリートカー「ステップワゴン Modulo X」の走りをユーザーに体験してもらうのが目的。参加費無料、事前申込制で、1組につき2~5名のファミリーを8組募集し、85組の応募があった。当日は、急きょ1組の欠席があったものの7組のファミリーが参加した。

 参加者7組はAグループ、Bグループの2班に分かれ、それぞれ第2アクティブセーフティトレーニングパークに設置されたクローズドコースと、ツインリンクもてぎ周辺の一般道を走行。休憩を挟んで、AグループとBグループは走行場所を入れ替え、たっぷりとステップワゴン Modulo Xの走りを体験した。本稿では前編として一般道の試乗や開発者インタビューをお伝えする。第2アクティブセーフティトレーニングパークでの試乗については後編として近日公開する。

待機場所や座学の会場となるホテルツインリンクには、Modulo Xシリーズのラインアップが並べられた
2015年7月発売のN-ONE Modulo X(左)と、2013年1月発売のN-BOX Modulo X(右)
Modulo Xの前に参加者と開発者が並び記念撮影。多くのメディア取材も入った
ホテルツインリンクの「森のレストラン マルシェラン」にて昼食が提供された
仕出し弁当ではなく、出来たての料理が食べられるのはうれしい
参加メンバー全員と開発者で記念撮影

ステップワゴン Modulo X で一般道を試乗

眺めのいい景色のなか、交通量の少ない一般道を気持ちよく試乗できる
ホテルツインリンクのエントランスから出発し、約20kmの道のりを試乗して戻ってくる

 Feel Modulo X 2016における一般道での試乗は、ホテルツインリンクのエントランスを出発し、北ゲートから一般道に出てツインリンクもてぎ周辺を走行したあと、再び北ゲートからホテルツインリンクに戻ってくるという内容。試乗ルートとなったツインリンクもてぎ周辺の道路は制限速度50km/h~60km/h。緩やかなワインディングが続き、途中にアップダウンや舗装状態のよくない荒れた路面もあった。

 試乗ルートはすでにカーナビに入力してあり、試乗するステップワゴン Modulo Xには、参加ファミリーのほか、スタッフが1名乗車する。ファミリー向けイベントということもあってジュニアシートも用意された。参加者は5分おきにスタートし、約20km、所要時間30分程度の試乗を楽しんだ。

東京都から参加した野瀬さん。現在乗っているのクルマはプレマシー

 東京都から家族4人で参加した野瀬さんは、クローズドコースはご主人が、一般道は奥さんが運転した。6年乗っているプレマシーは、多人数が乗れて荷物も積めるので特に不満はないという。今すぐ乗り替えを検討しているわけではないが、Modulo Xに興味があったので乗ってみたかったとのこと。

 クローズドコースでは、走行安定性のよさを感じることができたと同時に、パワーに物足りなさを感じたという。一般道での試乗でも、「1度速度を下げてから上げる際に、パワーにちょっと物足りなさを感じた。慣れていないということもあり、大事に乗らなくてはと控えめになるスタートからの加速は、いっぱい踏まないといけない。今乗っているプレマシーよりもがんばらないといけない感じがした」と、やや不満を漏らした。これについてはダウンサイジングターボではなく、車重の問題かもしれないと感じているようだ。

クローズドコースはご主人が、一般道の試乗は奥さんが運転する

 車内については、「静かだった。タイヤのパターンノイズも、道が荒れているところを走ってもそんなに聞こえない。排気音もしない。プレマシーよりもかなり静かだった」と高評価だ。助手席で同乗したお子さんは「すごい静かで視界も広かったのでよかった」と満足した様子。乗り心地がよかったようで、後部座席に座ったお子さんは、普段はクルマで寝ることはないのに、今回、試乗中に寝てしまったという。

 走行安定性については、「運転席の視界が広い。横や道路の下もかなり見えて運転しやすかった。サスは硬すぎず、ロールも少ない感じがした。走っていてどっしり感があった」と評価が高かった。

東京都 野瀬さんファミリー
千葉県から参加した日高さん。現在乗っているのは先代ステップワゴン スパーダ

 先代のステップワゴン スパーダに乗る日高さんは、奥さんとお子さんの3人で参加。普段からご夫婦どちらも運転するので、今回の試乗でも2人で運転をして確かめたという。現在乗っているクルマにこまごまとした不具合が生じ、それを理由に現在乗り替えを検討中だという。

 クローズドコースでの試乗では、「特にレーンチェンジでは、揺り返しの踏ん張りやロールの量が今乗っているクルマと違った。一般道でも違いを感じた」という。また、「新しいステップワゴンはAピラーが少し立った印象。視界が広く感じた。助手席側の下がミラーで見えるが、視認性が上がっていた」と、同じステップワゴンユーザーとしての視点で気付いた違いを語ってくれた。

先代ステップワゴンに乗っているだけあって、細かく装備をチェックする日高さん

 乗り心地については、「今乗っているクルマは、2、3列目でゴツゴツではないがコツコツした感じ。ステップワゴン Modulo Xは、振動はあるものの、ショックの収まり方は足まわりをいじっているクルマのようには感じない。心地よい振動という感じ」とのこと。ロールしたときの挙動については、「今のクルマはビヨーンとバネのように帰ってくるが、Modulo Xはグッとこらえて、最後に戻るところでちょっと残念な感じ。入り始めの感覚が最後まで続くといい感じなのですが」と、シビアな意見も出た。

 奥さんは、「足まわりが硬めに感じた。ウチの家族は硬めが好きなので、すごく乗りやすかった。コースで走ったときも、体が持って行かれず、安定感があった」と好評だった。同乗したお子さんも「今乗っているクルマは後部座席がよく揺れるが、Modulo Xは揺れなかったので乗りやすかった」と、こちらも好評だった。

千葉県 日高さんファミリー
千葉県から参加した小野さん。現在乗っているのはセレナ

 千葉県から参加の小野さんファミリーは、クローズドコースはご主人、一般道は奥さんが運転しての試乗だった。現在乗っているのはセレナで、燃費のわるさや音がうるさいことに悩んでいるという。ステップワゴン Modulo Xに乗って一番に感じたことは、音が静かということ。また、揺れも少なく感じたという。

「クローズドコースを走るとロールが少ないのが分かった。横の揺れだけじゃなくて前後の揺れも少なく、疲れない。音が静かでクルマが揺れないので、同乗していた子供が寝てしまった」と、快適な室内環境に満足した様子だった。

わくわくゲートなど、試乗が終わってもスタッフに装備などクルマについて話を聞いていた

 一般道を運転した奥さんは、「段差があってもあえてスピードを落とさず走ったが、段差を感じなかった」としっかりした足まわりが気に入っている様子。ご主人も、「クローズドコースでは、加速や減速もすごいスムーズで、特にブレーキの感触がよかった。そのときも揺れがほとんどなかった」とのこと。

 また、ノーマルのステップワゴンのデザインはあまり好きではなかったが、Modulo Xは格好よいと感じているという。価格については、「当初は高いと思ったが、実際乗ってみると装備などを含めて納得できる」とのこと。

 試乗会については、「当選したとき家族に話をしたら、あまり乗り気ではなかったが、温泉に入れると話をしたらOKになった」といきさつを語ってくれた。しかし、「今回はたくさん乗れて、妻も運転できて満足している」と笑顔で語った。

千葉県 小野さんファミリー
神奈川県から参加した萩原さん。現在乗っているのはフォレスター

 神奈川県の萩原さんは、奥さんと2人で参加。現在乗っているフォレスターは父親から譲り受けたクルマで、新車登録から13年経って税金や保険が高くなってしまったことに悩んでいるという。次の車検までの1年半にいいクルマが見つかれば乗り替えたいという。

 ステップワゴン Modulo Xに試乗して、「ミニバンとは思えないくらい走りがよくて、本当に驚いた。タイヤのインチアップや足まわりも硬くなっているから、もう少しゴツゴツするのかと思ったらそんなこともなく、乗り心地がよくて安定していた」と、走りには満足した様子。クローズドコースでは現在乗っているクルマと同じくらいのペースで走ったところ、頭を振られることなく曲がっていき、「こんなに視点が高くなったのに同じスピードで曲がれる」と、驚いたという。

ステップワゴン Modulo Xに乗り込み、試乗に出発。慣れないクルマに運転も慎重になる

 車高が下がっていることについて、「若いころだったらよかったが、車止めやガソリンスタンドの出入りが心配。せっかくあんなにきれいなバンパーが付いているのに、段差を気にしなければいけない」と、少々不安を感じているようだった。

 機会があれば試乗会に参加しているという萩原さん。「こんなに長く、ちゃんと乗れた試乗会は初めて。すごくクルマのことがよく分かってよかった。スタッフとずっと一緒だったので、いろいろなことを聞くことができた」と満足した様子だった。

神奈川県 萩原さんファミリー
一般道の試乗は、交差点やワインディング、高低差もあり、バラエティに富んだルートになっている
東京都から参加した松本さん。現在はレガシーB4やインスパイアなど6台所有

 機械の設計など、技術系の仕事をされている松本さんは、レガシィ B4やインスパイアなど、6台を所有するクルマ好き。奥さんと2人で今回の試乗会に参加した。毎年クルマを購入し、今年はすでに2台購入しているという。ステップワゴン Modulo Xも候補の1つで、今回の試乗会で1度乗って確かめたかったとのことだ。

 試乗した感想は、「全てが非常に出来がいい感じがする。特にCVTのチューニングがホンダならではという感じ。ほかのメーカーだとCVTには不満点があるが、Modulo Xに乗って不満を全く感じなかった」と、さすが、技術的な部分をチェックしていた。

ステップワゴン Modulo Xに乗り込む松本さん。技術系だけあって細かくチェックしていた

 不満な部分もあったという。「排気音やロードノイズは全くなく、静かで快適だった。その分、エンジンの音が室内に入ってくるのが気になった。ややがさつな音に感じた」と厳しい意見も出た。

 走行安定性については、「ミニバンということで目線が高く、乗っていて気持ちがいいし乗りやすい。背が高いクルマなのに、ロールもピッチもしなくて、乗用車感覚で乗れる」と、相反する要素のどちらにも満足しているようだった。助手席に座っていた奥さんは、「前方がフラットで広いのがよかった。窓が大きく、広々見える感じがしました」とインテリアにも満足した様子だった。

東京都 松本さんファミリー
隣の市貝町から参加した松本さん。現在乗っているのクルマはデリカ D:5

 ツインリンクもてぎのすぐ近く、隣町の栃木県市貝町から参加した松本さん。残念ながら長男が熱を出し、奥さんが看病のため、ご主人と子供の家族3人で参加となった。現在乗っているのはデリカ D:5。音がうるさく、ロールが大きいので子供たちが酔うのが問題だという。

 ステップワゴン Modulo Xは知っていて、実際に乗ってみたくて試乗会に申し込んだという。自分でステアリングを握ってみると、「コーナリングはかなり楽しかった。あまり背が高い感じはしなかった。もうちょっとスピードを出して試乗したかった」と、おおむね走行安定性については高評価だ。

運転していた松本さんはロールが少なく感じたが、同乗していたお子さんはあまり変わらないという感想

 今乗っているクルマの問題点でもある音については、「エンジン音とかではなく、ミニバン特有のボディが軋んだときの耳を圧迫するような感じがデリカと一緒」と、やや不満を抱えている様子。総合的な仕上がりに対しては、「この価格でこれかというのは正直な気持ちとしてあります。もう少し静かな方がいい。静粛性に気を使ってほしかった」と話していた。

 運転していたご主人はロールが小さいと感じていたようだったが、同乗していたお子さんたちはあまり変わらなかったという感想だった。ただ、車高が低いため乗り降りはしやすかったという。

栃木県 松本さんファミリー
茨城県から参加した須能さん。現在乗っているのはオデッセイ

 11年乗っているオデッセイの乗り心地が大好きという須能さんは、茨城県の水戸から家族4人で参加した。先日、ステアリングが急に重くなり、修理に出したがなかなか直らなかったという。乗り替えしようか迷っているなか、Modulo Xに乗って確かめたかったと試乗会参加への動機を語った。

 ステップワゴン Modulo Xに試乗し、「乗り心地がすごくいい。加速はオデッセイに比べるとやや落ちるが、遜色ない感じ」と高評価だ。一般道での試乗では乗り心地がよく、道路の状態がわるくても感じなかったという。クローズドコースでスラローム走行をしたときは、「挙動がすぐ戻って変な感じがしなかった。背が高いので振られやすい気がするが、特にそういうのはなくて乗りやすかった」とのこと。

家族4人が乗り込み、試乗に出発。助手席にはお子さんが座る

 車内環境については、「車高が高く、窓が大きいので視界が広く見やすい。ドリンクホルダーや小物入れなど装備が充実していて、便利だなと思った。車内では、ターボが効くからかエンジン音が少し気になった」と、やや不満も感じていたようだが、「うしろで子供は寝ていた。よっぽど乗り心地がいいんだと思った」と、全体的には満足している様子だ。

 2列目に座っていた奥さんも、「乗り心地がよかった。ガタガタ道も普通は腰が痛くなるが、そんなに感じなかった。振られる感じもなかった」と乗り心地のよさに太鼓判を押す。乗り心地のよさには、助手席に座っていたお子さんも賛同していた。

茨城県 須能さんファミリー
試乗会当日は天候もよく、どの参加者も気持ちよく試乗していたようだ

開発担当者に聞くステップワゴン Modulo Xの魅力

ステップワゴン Modulo Xの開発を担当した2人に話を聞いた。
ステップワゴン Modulo Xの開発を担当した株式会社ホンダアクセスの小椋栄治氏

 Feel Modulo X 2016の会場で、ステップワゴン Modulo Xの開発を担当したホンダアクセスの小椋栄治氏に話をうかがった。小椋氏は製造部門、開発を統括する開発責任者。まずは、N-BOX、N-ONEと続いたModulo Xに、今回ステップワゴンが加わったいきさつを聞いた。

「Moduloが培ってきた“走り”や“味付け”が1番合うのがステップワゴンではないかと思った。ドライバーが楽しめる、2・3列目も上質な乗り心地を感じるというのが、ターボの走りに合っているように感じた。他社ではこのカテゴリーのコンプリートカーがすでにあり、非常に競争が激しいジャンル。ステップワゴン Modulo Xは後発だが、自信を持っている」と語った。

 ステップワゴン Modulo Xとノーマルの大きく違う点は、「走り」と「フロントフェイスが目立つデザイン」の2点だという。まず、「走り」について具体的になにが違うのかを尋ねると、「Moduloの走りは4輪の接地感を1番大事にしている。その接地感からくるフラットライド感(ストローク感のある乗り味)を高めている。さらに、ミニバンは直進安定性が重要なので重視した。特に高速での直進安定性、80~100km/hの高速域で直進安定性が高まることで、安心して走れる」とのこと。

 接地感については、地面に吸い付いている感じだという。しかしこれは数値などではなく、味付けのようなもので体験しないと伝わらない部分だという。この接地感を実現しているのが、コンプリートカーというスタイル。Moduloがこれまで提供してきたサスペンションやアルミホイール、エアロパーツいった単品ではなく、コンプリートカーとして提供することで、トータルでこの走りが作り上げられているという。

 走りがいいだけでなく、乗り心地がよくて疲れにくくなっているというのも特徴だろう。「外乱感受性と言われる荒れた路面や横風などの悪条件に強いのも特徴です。安定した走りが乗る人全ての安心感を生んで、ドライバーの疲れの低減になり、安全につながると考えている。ステップワゴンというベース車の走りは評判がよく、それを生かしながらModuloの味付けをした」とのことだ。

 今回の試乗会では、一般道の走行もそうだが、クローズドコースでも速度制限を設け、高速走行をする機会はない。直進安定性が実感できるのは80~100km/hとのことで、試乗会での低速域でそれらが実感できるのかが疑問だった。小椋氏は、「接地感は乗り出しから分かるはず。低速からでも4輪の接地感、外乱感受性は感じてもらえる。ツインリンクもてぎ周辺の道路でも60km/hの部分があり、道路のつなぎ目やマンホールなど路面不整が多くあるので、Moduloの味付けもすぐ分かるだろう」と、今回の試乗でも体感できると自信を持って答えてくれた。

 実際、コンプリートカーとしてリリースするまでには、さまざまなセッティングを煮詰めていく必要がある。それらを仕上げるまでに1番苦労したことについて聞くと、「デザイナーと足まわり担当がやりたいことが相反することが多い。しかし、最終的に研ぎ澄ましていくと1番いい形にまとまっていく。設計とデザイナーと足まわり担当をまとめていくのが1番大変なところ。最後は現場で、デザイナーにも体感してもらって納得してもらう。このようなやり方を取り入れているのも、今回の開発の特徴になっている」と語った。

「自分も男の子3人子供がいて、いつもミニバンに家族を乗せている。気を使いながら走る時間が多い。それが安心して乗ることができれば、運転する人が楽しむ余裕が出てくる。ステップワゴン Modulo Xはそういうクルマ。また、ベース車のステップワゴンも本当によいクルマで、オールホンダとしても、改めてステップワゴンのよさをお伝えする機会となってほしい」とまとめた。

ステップワゴン Modulo X 商品企画担当の三重野裕介氏

 Feel Modulo X 2016で小椋氏と共に登壇したホンダアクセスの三重野裕介氏は、ホンダのSPL、セールスプロジェクトリーダー。営業領域全般が担当だが、主立った役は商品企画。さまざまなリサーチデータから、ラインアップを決めていく担当だ。その過程で、市場がこうなっているというマーケットインの情報と、開発チームのプロダクトアウトを調整していく役割も担う。

「N-BOXやN-ONEのModulo Xに乗られているユーザーが、実際にどのような思いで乗られているのか、いい点やわるい点をヒアリングする。一方で、販売店が売るときにどのようなところに苦労しているのかなど、販売店目線とお客様目線から分析して、ステップワゴン Modulo Xの形を組み上げていった」。

 では、具体的にどのような声が上がっていたのかを尋ねると、「外観、装備、価格をかなり細かくヒアリングすると、“走り”と“デザイン”が浮かび上がってきた。現行ステップワゴンのデザインは、押し出しが弱い、迫力がたりないというのも分かってきた。では今、ミニバンに求められているデザインは? Modulo Xというブランドはどう思われているのか? というのをすり合わせていった」と打ち明けてくれた。

 実際に完成したステップワゴン Modulo Xのデザインは、「100点満点ではないが、85~90点は取れていると思う。クルマはじっくり吟味して、自分が好きなものを買う。所有感を満たすようなクルマで、前方車のバックミラーに写ったとき迫力のある顔にしてほしいという注文を出して、それが実現していると思う」と評価した。

 今回のFeel Modulo X 2016の開催について、ユーザー試乗会はホンダとしてはレアなイベントで、Modulo試乗会は開催したことがあるが、1車種だけでやったのは例がないという。「Moduloはまだ広く知られていない。Modulo Xはもっと知られていない。これを起点として、もっともっと知っていただく活動をしていく。今回はその第1弾。参加していただいた方には、Modulo Xのよさを周囲に広げていってほしい」と、Feel Modulo X 2016が新たな活動の起点となっていることを教えてくれた。

 実際の試乗では参加者の多くが2・3列目の乗り心地がよく、同乗したお子さんが寝てしまったという点について、「自分も最初、いいのができたと言われて半信半疑で乗せてもらったら、なんでこんなに運転が楽で思いどおりにいくのかと不思議だった。これはなんでなのかを聞くと、頭のブレが少ないのがポイントということだった。乗っているドライバーのアイポイントが狙ったとおりのところに行くと、クルマは自分が思ったとおりの挙動をする。2・3列目も心地いい。今回、自分も再発見した」と語った。

 逆にマイナスの意見として、音がうるさいという声があった点については、「今後の課題だと思っている。デッドニングがオプションであってもいいと思っている。室内空間の快適性はまだまだ高められる。そういう意見をこのような場で聞くことで、開発に生かしていきたい」とした。

「Moduloは、ドライバーは運転するのが楽しい。運転がうまくなったように感じる。同乗者は安心だったり、心地よかったりするクルマ。そういった空間や時間を提供するブランドとして育てていきたい」と語った。

トークセッションでもり上がった閉会式

 Feel Modulo X 2016の最後は、開発者と参加者のトークセッションが開催された。登壇したのは、ホンダアクセス広報の石井裕氏、開発責任者の小椋栄治氏と商品企画担当の三重野裕介氏。試乗し終えたばかりの参加者から、生々しい感想や意見、質問、提案などが出された。

「ステップワゴン Modulo Xの価格は高いと感じたが、実際に乗ってみると価格以上の価値を感じた。この価格に抑えるために開発段階で断念した企画はありますか?」との問いに小椋氏は、「我々は、ステップワゴンそのものが大好き。そのなかでModuloというブランドを構築しようとしたときに必要な物は全部入れた。断念したものはないつもり。自信を持っておすすめできる」と回答した。

 15mmローダウンして最低地上高140mmとされた車高に対して、参加者から「最低地上高140mmは神経を使う。155mmのまま、この乗り心地や走りは実現できなかったのか?」との質問に、小椋氏は「初期からその想定で進めてきたので、できないとは言えない。やってみたらできるのかもしれない」と答えると、横から石井氏が「車高なんか下げなくてもあの走りをやってよと言ってるが、なぜか下げたがるんですよね」と横やりを入れ、会場の笑いを誘っていた。

アンケートは、試乗した感想や評価を細かく記載していく
開発者と参加者のトークセッションが開催された
参加者からは開発者に対して積極的な質問が相次いだ
小椋氏と三重野氏は、どんな質問にも真摯に耳を傾け回答していた

 今後の開発の意気込みとして、小椋氏は「今回は完成度の高いステップワゴンでModulo Xを作ったが、さらにそういうものを出していきたい。なにより、運転の楽しさ、安全性を上げたいという思いがあり、さらに進めていきたい」とした。

 三重野氏は「クルマが移動の手段だけではなく、移動している空間や時間が豊かになるという思いを、Modulo Xを通して伝えていきたい。ホンダの技術と皆さんの思いと、Modulo Xというブランドのなかに根付かしていきたい」と語った。

 石井氏は最後に「本田技研工業は大きな会社ですが、ホンダアクセスは小さな会社であることを活かして、かゆい所に手が届くような車両のフォローをして、よりお客様の満足を得られるような商品を提供していく。本田技研工業にも注目してもらいたいが、ホンダアクセスにも注目してほしい。今後のModulo Xに期待してほしい」と締めくくった。

運転の楽しさ、安全性を上げたいと語る小椋氏
クルマで移動する時間や空間が豊かになってほしいと三重野氏
今後のModulo Xに期待してほしいとイベントを締めくくる石井氏

 Feel Modulo X 2016の参加者には、おみやげとして、ステッカーやパスケース、お菓子などのほか、ホテルツインリンクにある温泉施設「のぞみの湯」入浴券が配布された。参加ファミリーのほとんどが温泉で体を温め、帰路についた。

閉会式が終わり、会場を出たところでおみやげが手渡された
ステッカーやパスケース、マグカップ、お菓子など。Car WatchからはUSBメモリーを提供。温泉施設「のぞみの湯」入浴券も配布された

協力:株式会社ホンダアクセス