トピック
【2017 F1日本グランプリ】奥川浩彦のキヤノン一眼レフ貸出体験を120%堪能する方法 (前編)
フルサイズ一眼レフ キヤノン「EOS 5D Mark IV」+「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」
2017年9月26日 11:43
日本最大のモータースポーツイベント「F1日本グランプリ」が間近に迫ってきた。今年もカメラ好きなF1ファンには恒例の「一眼レフカメラ貸出体験会」「超望遠レンズ試撮会」「カメラマンスペシャルセミナー」「カメラマン必見のオフミーティング」がキヤノンの協力で開催される。
レース開催が迫る中、「一眼レフカメラ貸出体験会」の貸出機材が変更になったという情報が入ってきた。2016年は「EOS 7D Mark II」+「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」という組み合わせだったが、2017年は「EOS 5D Mark IV」+「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」となった。
EOS 5D Mark IVは2016年9月に発売された、35mmフルサイズ撮像素子(有効3040万画素)を搭載したハイアマチュア向けのフラグシップモデルだ。最大記録サイズは6720×4480ピクセル。記録メディアはCFとSDのデュアルスロットとなっている。
キヤノン、約3,040万画素になった定番フルサイズ機「EOS 5D Mark IV」(デジカメWatch)
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1015673.html
参考までにEOS 7D Mark IIは3年前の2014年9月に発表されAPS-Cサイズの撮像素子(有効2020万画素)を搭載したモデル。
キヤノン、モータースポーツ撮影に最適な「EOS 7D Mark II」
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/667002.html
「一眼レフカメラ貸出体験会」のカメラ本体がEOS 5D Mark IVに変更され、発売当時の価格で倍以上、現在の実勢価格では3倍ほど高い高級機を借りられることとなった。「一眼レフカメラ貸出体験会」はカメラマンエリアのチケットを持っている人が対象で貸出料金は無料。各セッション20セットが用意され、フリー走行、予選、決勝など1つのセッション中は自由に撮ることができる。申し込みは9月17日から始まっているので、ボディとレンズを合わせて70万円ほどする豪華な機材を使ってみたい人はF1日本グランプリの公式サイトから申し込みをしてみよう。
一眼レフカメラ貸出体験会(鈴鹿サーキット)
EOS 5D Mark IVをサーキット撮影用に設定しよう
高級一眼レフカメラの設定項目は多い。EOS 5D Mark IVのMENUを開いてその項目を数えると、100を超える細かな設定が可能だ。キヤノン製一眼レフユーザーなら借りてすぐ主要な設定をサーキット撮影用に変更することはできると思うが、他社製の一眼レフカメラを使用している人は設定方法に迷う可能性がある。
筆者自身はキヤノンユーザーで、過去にCP+(カメラショー)の他社の試写コーナーで設定に迷った経験がある。試写コーナーの列に並び、いざ新製品の連写性能とAFエリアを確認しようとしても設定方法が分からない。高速シャッターが切れるようにISO感度を上げ、シャッター速度を1/500秒にし、AFモードを1点にしたかったが、わずか数分の試写時間ではAFモードの変更方法が見つけられずガッカリした。
年に1回のF1日本グランプリ。カメラが借りられるのは1セッションのみ。カメラ設定が分からなかったり、戸惑ったりして貴重な体験が残念なことにならないよう、サーキット撮影に合わせた設定を説明しよう。
1分で設定できる基本設定
こだわれば細かな設定は多数あるが、まずは撮影モード、ISO感度、連写、AFモード、AFフレームなど、カメラを借りたら最低限の設定をしよう。
撮影モードの設定(シャッター速度優先AE)
サーキット撮影の基本はシャッター速度優先となる。カメラ上部左側のモードダイヤルをTv(シャッター優先AE)に設定しよう。モードダイヤルを回すときは中央の「モードダイヤルロック解除ボタン」を押しながらダイヤルを回そう。Tvに設定しシャッターボタンの後ろにある電子ダイヤルを回すとシャッター速度が変更できる。
シャッター優先AEにしておけば、自分が設定したシャッター速度に合わせ、カメラが自動的に絞りをコントロールし、最適な露出となるので失敗はない。筆者は立体交差下などの特種な光線以外は、ほとんどの撮影はこのシャッター優先AEを使用している。
シャッター速度は被写体の動きを止めたいときは1/320秒~1/1000秒、流し撮りのように被写体の速さを表現したいときは1/250秒より遅いものを選択しよう。
シャッター速度に正解はないが、筆者が撮った昨年のF1日本グランプリのフォトギャラリーを見ると、シャッター速度は1/20秒~1/500秒で撮影している。フォトギャラリーに掲載したフルHD解像度(1920×1080ピクセル)の写真は、シャッター速度などのEXIF情報を残してあるので、撮影時の参考にしていただきたい。
ISO感度の設定
次はカメラ上部の表示パネルの前に並んだボタンの設定を始めよう。右から2つめのボタンがISO感度設定/ストロボ補正ボタンだ。このボタンを押して約6秒以内に電子ダイヤルを回すとISO感度が変更できる。晴れていればISO100に設定しよう。曇りや雨で希望する高速シャッターが切れないときなどは、ISO AUTO(ISO Aと表示される)やISO200、ISO400に設定しよう。設定が完了したらシャッターボタンを半押しすれば通常の撮影スタンバイ状態に戻り設定が確定する。以降の設定もシャッターボタンの半押しで確定・撮影スタンバイが基本だ。
AF動作の設定
次はオートフォーカスの設定だ。ドライブモードと同じく右から3つめの「DRIVE・AF」ボタンを押し、電子ダイヤルを回すと「ONE SHOT」「AI FOCUS」「AI SERVO」と切り替わるので、動く被写体にフォーカスが追従する「AI SERVO」を選択しよう。
測距エリアの設定とAFポイントの移動
EOS 5D Mark IVは7種類の測距エリアが選択でき、使用するAFポイントの範囲を狭くしたり広くしたりできる。どれが正解とは言えないが、筆者は「スポット1点AF」を主に、「1点AF」「領域拡大AF(上下左右)」を使用している。初めてEOSを使用する人は「領域拡大AF(上下左右)」が無難な選択だろう。
設定方法はファインダーを覗きながら、背面右上の「AFフレーム選択ボタン」を押す。AFポイントが赤点滅するので、シャッターボタンと電子ダイヤルの間にあるM-Fn(マルチファンクションボタン)を押す。1回押すごとに「スポット1点AF」「1点AF」……「ラージゾーンAF」「自動選択AF」となり1周回ると再び「スポット1点AF」に戻るので、好みの測距エリアを選択しよう。
測距エリアの選択が完了したら、液晶モニターの右上にある「マルチコントローラー」でAFポイントを移動させる。上下左右と斜め4方向にコントローラーを押すとAFポイントが移動するので、シチュエーションに応じてAFポイントを移動させよう。測距エリアはそのまま、AFポイントだけ移動したいときは、「AFフレーム選択ボタン」を押してから、「マルチコントローラー」を操作して移動する。
レンズ側もチェック
レンズ側の設定も忘れずに確認しよう。レンズの横にあるスイッチの上から2番目がAFになっていることを確認する。
以上で最低限の設定は完了だ。普段EOSを使用している人なら1分で設定できるが、初めてEOSを使用する人で現地でスマホでこの記事を見ながら設定すると数分を要するかもしれない。撮影直前にあわてないように、逆バンクオアシスの「一眼レフカメラ貸出体験会」コーナーで機材を受け取ったら急いで設定しよう。
設定方法を印刷して持ち歩けるようにPDFを用意した。必要な人は事前に印刷して持っていこう。
サーキット撮影用にEOS 5D Mark IVを設定する方法(EOS 5Dm4設定方法.pdf(0.26MB))
前編は以上。次回後編は細かな設定と鈴鹿サーキットの撮影ポイントについて説明しよう。
提供:キヤノン株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社