トピック

奥川浩彦の「F1大好き!今年も鈴鹿に行くぞ」

第5回:クルマで行くF1日本グランプリおすすめ推奨ルート

連載最終回の第5回は、クルマでF1観戦に行くときのおすすめルートをご紹介

 5月から全5回でお届けしてきた連載もいよいよ最終回となった。F1日本グランプリ開催まで1カ月を切り、カウントダウン状態だ。前回は公共交通機関によるアクセスを紹介したので、今回はクルマでのアクセスを紹介しよう。

 クルマを利用する際に気になるのは駐車場と渋滞だ。とくに2006年以前にクルマで観戦に行き、久しぶりにF1観戦に行こうという人は、過去の経験から駐車場と渋滞が心配だろう。

 だが心配は無用だ。筆者は鈴鹿サーキットで開催されたF1グランプリに、1987年から28回すべてクルマで行っている。20年以上前は駐車場難民になったり、レース後の大渋滞に巻き込まれたりしたが、駐車場の充実や道路環境の向上に加え、筆者自身がノウハウを蓄積。近年はクルマでのアクセスが楽になった印象を持っている。

 アクセスが楽になった理由の1つは、残念ながら観客数の減少だ。2006年以前は決勝日の観客数は15万~16万人だったが、2016年は7万2000人と半分以下。クルマを利用する人の比率が同じならクルマの台数も半分以下になっている。加えて中勢バイパスといった近隣の道路整備や、2006年に伊勢湾岸自動車道(豊田東JCT[ジャンクション]~四日市JCT)、2008年に新名神高速道路(亀山JCT~草津田上IC[インターチェンジ])、2016年に新東名高速道路(御殿場JCT~豊田東JCT)が開通するなどによって関東、関西からのアクセスも向上した。

 クルマを利用するメリットは時間の制約を受けないことだ。始発や終電を気にすることなく予定が組めるので「金曜日の早朝に鈴鹿到着」といったスケジューリングが自由にできる。ホテルが確保できないときは車中泊という回避策がある。カメラ機材などの荷物が多い人もクルマを利用するメリットは大きい。

 まず、駐車場からみていこう。鈴鹿サーキットの公式駐車場(http://www.suzukacircuit.jp/f1/parking/index.html#Parking01)は観戦券とセットで購入する駐車場のほか、駐車場単体でも購入できる駐車場がある。単体で予約購入できる駐車場は「南コース」「みその駐車場」「みそのモータープール」で、現在購入できるのは「みそのモータープール」だけ。それも9月上旬には「残りわずか」となっている。公式駐車場からメインゲートまでは、10月7日と8日に無料シャトルバスで送迎サービスが行なわれる。

無料シャトルバス送迎サービス

10月7日 6時~19時
10月8日 6時~14時、17時~19時

公式駐車場で単体で予約購入できるのは「みそのモータープール」(左上)だけだが、すでに「残りわずか」となっている
Googleマップで見ると、みそのモータープールは広大な面積の駐車場だと分かる。最寄りの逆バンクゲートまでは1.2km
みそのモータープールは8月末のSUZUKA 1000kmでは使用されなかったが、実際に見に行くと大型ショッピングモールの駐車場より広そうだった

渋滞を回避する方法は

 クルマでF1日本グランプリを観戦する人は、まず最初にF1日本グランプリ公式サイトにある「おクルマでご来場予定のお客様はこちら」(http://www.suzukacircuit.jp/f1/access/car.html)を確認しよう。そこに掲載されている主な高速道路ルートが以下の図だ。東京、名古屋、上信越、北陸、関西方面からの推奨ルートが示されているが、いずれのルートも鈴鹿ICを“利用しない”ルートとなっている。

みえ川越、四日市東、亀山、関など、鈴鹿IC以外のインターチェンジが推奨されている

 サラリーマン時代も含め、筆者の過去30年のF1観戦は、静岡市、浜松市、名古屋市、川崎市がスタート地点(居住地)だ。場所は変われど東側からサーキットにアクセスしている。1990年代には鈴鹿ICを利用した記憶があるが、はや10年以上F1観戦に鈴鹿ICを利用した記憶はない。

 8月に開催されたSUZUKA 1000kmの際、関西方面のカメラマンに鈴鹿サーキットへのルートを聞いてみた。神戸からの人は名神高速道路~新名神を通って亀山IC、京都からの人は高速を利用しない、大阪市内からの人は東名阪自動車道を通って関ICと、公式サイトの推奨ルートと概ね合致した。

 なぜ鈴鹿ICを利用しないのか。東海地方に住んでいる人はご存じだと思うが、東名阪道の四日市JCT~亀山JCTは、レース開催に関係なく毎週末渋滞する定番ポイントだ。関東で言えば東名高速道路の大和トンネル、関西なら中国自動車道の宝塚トンネルと同じだ。

 元々渋滞している高速道路にレース観戦後の観客がクルマで押し寄せて大渋滞が発生する。よってサーキットに通い慣れた人は鈴鹿ICを利用しないということだ。渋滞を回避する方法は「鈴鹿ICを利用しない」につきる。

9月10日の日曜日 夕方、亀山JCT~鈴鹿IC付近をGoogleマップで表示した画面キャプチャー。鈴鹿サーキットのレースに関係なく、東名阪自動車道の鈴鹿IC付近は渋滞する

新名神→亀山ICルート

 各方面からのルートを確認しよう。まずは滋賀、京都、大阪北部、兵庫以西から鈴鹿サーキットを目指す推奨ルート。草津JCTから新名神に入り、亀山JCTで東名阪に合流して亀山ICで降りる。この際、亀山JCT~亀山ICが渋滞していれば1つ手前の甲賀土山ICで降り、一般道を通って亀山ICに向かう。

Googleマップのルート検索では、甲賀土山IC~亀山ICは高速道路を通っても一般道を通っても同じ25分で差がない。高速道路が渋滞しているときは、行きも帰りも甲賀土山ICを利用しよう

 亀山ICから国道1号で鈴鹿方面に進み、汲川原町で右折。鈴鹿川を渡って汲川原橋南詰を直進する。一般的なルートはここを左折してイオンを右折したら、サーキット道路を通って鈴鹿サーキット前の交差点に向かうが、推奨ルートではスプーンカーブの外側をまわり御園工業団地前を目指す。この付近はみそのモータープールや民営駐車場が点在する場所なので、公式駐車場を予約していない人はこの付近にクルマを駐車しよう。このルートを実際に走行した動画も掲載しておこう。初めてサーキットに行く人は、道の雰囲気を知っておくと安心かもしれない。

亀山ICから国道1号を通過し、汲川原町、国府町東、御園工業団地前と進むルート(Googleマップ)
亀山ICから国道1号を通過し、汲川原町、国府町東、御園工業団地前と進むルート(1分27秒)

東名阪→関ICルート

 大阪南部、奈良方面から鈴鹿サーキットを目指す推奨ルートは関ICから県道144号を抜けるルートだ。亀山ICを利用するルートと同じく、国府町東→御園工業団地前と進む。動画を見てもらうと分かるが、田舎道を抜けるルートなので渋滞の影響を受けにくそうだ。

関ICから県道144号を抜け、国府町東、御園工業団地前と進むルート(Googleマップ)
関ICから県道144号を抜け、国府町東、御園工業団地前と進むルート(1分21秒)

伊勢湾岸道→みえ川越IC→国道23号ルート

 関東、静岡方面から鈴鹿サーキットに向かう場合、新東名高速、東名高速から伊勢湾岸道を利用するのが一般的だ。2016年に新東名高速 浜松いなさJCT~豊田東JCTが開通したことにより、東名高速 音羽蒲郡近辺の渋滞がなくなり(http://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/750354.html)、関東地方からのアクセスは向上した。

 ただし、今年は10月2日~14日に東名集中工事(http://tomei-info.com/)が行なわれる。10月7日6時~9日24時は工事が行なわれないが、10月5日~6日は東京IC~御殿場JCTで工事渋滞が予想されるので注意しよう。

10月2日~14日に東名集中工事が実施される。7日~9日の3連休は休止となるが、5日~6日は東京IC~御殿場JCTの渋滞に注意しよう。東名高速で渋滞が激しい場合は、中央道→土岐JTC→豊田東JTC→伊勢湾岸道というルートも有効だ

 関東地方、名古屋南部の人は、伊勢湾岸道を進むと電光掲示板に「四日市-鈴鹿 渋滞○km」と表示されるので、推奨ルートのみえ川越ICで高速道路を降りよう。国道23号を利用して鈴鹿サーキットを目指す際の注意点は金曜日の通勤渋滞だ。筆者の過去の経験では、6時20分までにみえ川越ICを降りれば四日市市内の通勤渋滞を避けることができる。

SUZUKA 1000kmの朝、ドライブレコーダーの映像に映る「四日市-鈴鹿 渋滞9km」の表示。F1開催中はほぼ毎朝渋滞が表示されるはず

 参考までに平日である9月11日(月)の国道23号の通勤渋滞をGoogleマップで記録してみた。6時と6時半は渋滞していないが、7時には四日市競輪のあたりから四日市市内まで渋滞し、7時半にはさらに手前から渋滞している。

国道23号は朝6時なら渋滞なし
6時半もギリギリ大丈夫。ここから急激に渋滞するので、少しゆとりをみて6時20分までにみえ川越ICを降りよう
7時には四日市競輪のあたりから四日市市内まで渋滞している
7時半には渋滞が前後に伸び、色もオレンジから赤になって大渋滞の様相。ここにF1観戦者が加わると渋滞はみえ川越ICを超え、伊勢湾岸道の本線までクルマの列ができることもある

 土曜日、日曜日はセッション開始時刻が遅いので観客の移動する時刻も分散する。時間帯によってはそこそこ渋滞するが、少しゆとりを持って向かえば大丈夫だ。

 推奨ルートは国道23号を鈴鹿市内まで進み、白子駅の先の「寺家5」交差点を右折してサーキット道路を通るルートだ。地図を見ると寺家5まで進むとやや遠まわりになることが分かる。おそらくカーナビが示すルートは、もう少し手前で右折して鈴鹿市内に向かうので、カーナビの指示に従ってもよい。

みえ川越ICから国道23号を通り、寺家5を右折してサーキット道路を使うルート(Googleマップ)
みえ川越ICから国道23号を通り、寺家5を右折してサーキット道路を使うルート(2分19秒)

名古屋西IC→四日市東IC→国道23号ルート

 名古屋北部、岐阜、上信越、北陸方面から鈴鹿サーキットを目指す人は東名阪道の四日市東ICを利用しよう。四日市東ICから県道64号を抜け、「霞入口」交差点で国道23号に合流する。そこから先はみえ川越ICのルートと同じだ。

 次の地図は国道23号→柳ランプウェイ下交差点→算所三丁目1→鈴鹿サーキットというルートを示している。国道23号からサーキットに向かうルートはいくつもあり、その1番最初の右折ポイントが柳ランプウェイ下交差点だ。筆者自身はこの柳ランプウェイ下交差点で右折することはあるが、寺家5の交差点を使うことはない。

 正面駐車場や道伯町方面の駐車場を使う人はこのルート、1コーナー付近やみその付近にクルマを停めたい人はサーキット道路を使うルートを利用しよう。

四日市東ICから県道64号、国道23号を通って柳ランプウェイ下交差点を右折するルート(Googleマップ)
東名阪道 四日市東ICから県道64号、国道23号を通過して柳ランプウェイ下交差点を右折するルート(2分)

 これらの推奨ルートはあくまで基本ルートだ。山奥のサーキットと異なり、鈴鹿サーキットは市街地にあるサーキットなので実際のルートは無数にある。筆者自身も状況に応じていくつかのルートを使い分けているので、事前に地図をよく見て候補となるルートを探しておくとよい。

 ルート探しに役立つのが、公式サイトにある「おクルマでご来場予定のお客様はこちら」(http://www.suzukacircuit.jp/f1/access/car.html)に掲載された「鈴鹿サーキットアクセスマップ」(PDF)と「おすすめお帰りルート」(PDF)だ。

 同サイトにはETC2.0のプローブ情報などから算出したレース後の実際の所要時間を計測したデータ(PDF)も掲載されているので参考にしよう。

2016年はレース終了の1時間後に鈴鹿サーキットを出ると、鈴鹿ICを利用するルートに対して推奨ルートは30分~40分早く亀山JCT、みえ川越ICを通過している

 最後に、2016年の決勝後の渋滞の様子をキャプチャしたGoogleマップの画像があるので紹介しておこう。時刻は16時50分ごろと18時ごろ。鈴鹿サーキット周辺、鈴鹿IC周辺、国道23号の鈴鹿~四日市の渋滞の様子が分かる。ちなみに、国道23号の渋滞は四日市までは海側にも山側にも抜け道がある。その先、四日市市内から四日市競輪のあたりまでは国道23号と国道1号のあいだを抜けると渋滞を回避することが可能だ。

レース終了から1時間20分経った16時50分ごろのサーキット周辺の渋滞。サーキット道路と正面駐車場、みその方面への道路は激しく渋滞している。この2本の道を避けることが渋滞回避のポイントとなる
16時50分ごろの鈴鹿IC付近の渋滞。鈴鹿ICに向かうクルマの渋滞はそれほどでもないが、東名阪道を名古屋方面に向かうクルマはすでに四日市ICまで渋滞している
16時50分ごろの国道23号の渋滞は少なめ。柳ランプウェイ下交差点から鈴鹿川手前まで渋滞しているが回避するルートはある。四日市市内はやや混雑している程度
18時ごろには鈴鹿サーキット周辺の渋滞は減少し始めている。正面駐車場付近、みその方面の渋滞はほぼ終了。サーキット道路を鈴鹿IC方面に向かうクルマはかなり渋滞しているが、23号方面はやや緩和している
18時ごろの鈴鹿ICは、サーキットから東名阪道に乗るクルマが激しく渋滞。東名阪道も一般の行楽渋滞にサーキット帰りのクルマが加わり大渋滞となっている
18時ごろの国道23号は四日市競輪あたりを先頭にかなり渋滞しているが、この程度の渋滞は楽勝で回避可能。ヒントは筆者の連載「撮ってみましたF1日本グランプリ」に書かれている

 全5回でお届けした本連載。第1回(http://car.watch.impress.co.jp/docs/topics/1061219.html)と第2回(http://car.watch.impress.co.jp/docs/topics/1067381.html)では30年続くF1日本グランプリや接戦が展開される2017年のF1などについて、第3回(http://car.watch.impress.co.jp/docs/topics/1072218.html)では様変わりした鈴鹿サーキットの観戦事情やチケット購入について、第4回(http://car.watch.impress.co.jp/docs/topics/1076931.html)では公共交通機関によるアクセスについてお伝えしてきた。

 残念なことにF1観戦者数は減少したが、その恩恵でアクセスは向上している。サーキット内の観戦環境も2006年以前と比べると劇的に改善されている。

 世界最高峰の自動車レースを見る価値は高い。見たことのない人は「ぜひ1度」、ご無沙汰している人は「劇的に改善されたF1を再び」、サーキットに足を運んで観戦していただきたい。

提供:株式会社モビリティランド

奥川浩彦

パソコン周辺機器メーカーのメルコ(現:バッファロー)で広報を経て2001年イーレッツの設立に参加しUSB扇風機などを発売。2006年、iPR(http://i-pr.jp/)を設立し広報業とライター業で独立。モータースポーツの撮影は1982年から。キヤノンモータースポーツ写真展3年連続入選。F1日本グランプリ(鈴鹿・富士)は1987年から皆勤賞。