トピック

奥川浩彦の「F1大好き! 今年も鈴鹿に行くぞ」

第4回:公共交通機関を使って最速で19時台に東京駅に着くことが可能

F1日本グランプリの観戦は1人でもファミリーでも容易に行けるイベントだ

 全5回でお届けしている本連載も第4回を迎え後半に突入した。第1回(http://car.watch.impress.co.jp/docs/topics/1061219.html)、第2回(http://car.watch.impress.co.jp/docs/topics/1067381.html)では30年続くF1日本グランプリや接戦が展開される2017年のF1などについて、第3回(http://car.watch.impress.co.jp/docs/topics/1072218.html)では様変わりした鈴鹿サーキットの観戦事情やチケット購入についてお伝えした。間もなく新幹線、近畿鉄道(以下 近鉄)などの指定席の販売が始まることを考慮して、今回は公共交通機関を利用した鈴鹿サーキットへのアクセスについてお伝えしよう。

 日本でSUPER GTやスーパーフォーミュラが開催されるサーキットは6つ。その中で鉄道の駅から普通に歩いて行けるのは鈴鹿サーキットだけだ。市街地にあるサーキットなのでクルマや電車、バスで容易にサーキットにアクセスできる。また、F1というビッグイベントだけにツアーの種類も豊富。運転免許がなくてもクルマがなくても大丈夫。1人でもファミリーでも行けるのがF1日本グランプリだ。

交通費無料プランや宿泊のみプランなど多彩なプランが用意されているツアーを利用しよう

 初めて観戦する人が安心して参加できるのがツアーだ。鈴鹿サーキットの「F1日本グランプリツアー」(http://www.suzukacircuit.jp/f1/tour/index.html)のWebサイトにはオフィシャルツアーに加え、読売旅行、JTB、楽天トラベルのツアーが掲載されている。さまざまなツアーが用意される中、筆者が「オォ~ッ」と思ったのは関西から交通費無料(=観戦チケット代のみ)で参加できる「F1日本グランプリ in 鈴鹿 2017 日帰り近鉄プラン」(https://www.yomiuri-ryokou.co.jp/kokunai/detail.aspx?&id=17005444&qs=&qs1=&qv=0)だ。

 これは決勝日の日帰りツアーでC席(2コーナー~S字)の指定席観戦券(通常2万8800円)と往復の近鉄特急、白子駅~サーキットのシャトルバス料金を含め2万8800円。約7000円相当の交通費が無料という超お得ツアーだ。さらにインターネット割引を利用すると2000円引きとなり、2万6800円とチケット代より安く観戦することができる。

「F1日本グランプリ in 鈴鹿 2017 日帰り近鉄プラン」にはC席の指定席観戦券に加え、白子駅と鈴鹿サーキットを往復するシャトルバスの料金も含まれている

 出発地は「大阪難波」「大阪上本町」「鶴橋」「京都」「近鉄丹波橋」「大和西大寺」「大和八木」など、大阪、京都、奈良の主要近鉄駅から選択できる。大阪難波を例にすると出発時刻は7時30分~8時30分で、戻りは21時45分。関西在住でサクッとF1を観戦してみたい人にはお勧めのプランだ。読売旅行では鳥羽のホテルに泊まる1泊2日のプランも用意している。

 観戦券を購入済みの人に多彩なプランを用意しているのがJTBの「フリープラン鈴鹿 F1日本グランプリ」(http://www.jtb.co.jp/sports/f1gp2017/)だ。ガッツリ観戦したい人には木曜日の夜に新幹線かバスで東京/横浜を出発し、金曜日午前のFP1から決勝まで全セッションを見られるプランが用意されている。バスツアーは決勝後に長島温泉で入浴と食事を済ませて月曜日の早朝に東京に着くという気配りもある。

JTBの「フリープラン鈴鹿 F1日本グランプリ」のWebサイト

 JTBのツアーの出発地は東京/横浜、名古屋、大阪が用意され、土日観戦や決勝のみ観戦と選択肢が豊富だ。宿泊のみのプランも用意されていて、宿泊地は近鉄沿線、名古屋市内が選択でき、1泊2日と2泊3日のプランが用意されている。すでに10月7日(土曜日)の三重~名古屋のホテルは予約困難となっているので「土曜日のホテルだけ見つからない」という人は利用する価値があるだろう。

 鈴鹿サーキットのオフィシャルツアーは観戦券の選択が可能だ。例えば東京発、新幹線、2泊3日、B2席という組み合わせのプランが用意されている。出発地は東京(5プラン)、名古屋(7プラン)、大阪(2プラン)。観戦券は自分で用意してツアーだけ利用することもできるし、観戦券とツアーをセットで申し込むこともできる。一部指定席観戦券はすでに完売(http://conv.toptour.co.jp/shop/evt/f1gp-2017/goodslist.aspx?goods_group=2)しているので、特定の席を希望する人は急ごう。

鈴鹿サーキットオフィシャルF1観戦ツアーはチケットの選択購入が可能なうえ、オリジナルポスター付の特典などがある

名古屋~鈴鹿サーキット直通バス「サーキットエクスプレス」

 今年も「サーキットエクスプレス」(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1074480.html)が運行される。サーキットエクスプレス(http://ryoko.sanco.co.jp/palook/topics.php/show/315)は、地元の三重交通がF1開催時に毎年運行している名古屋駅とサーキットを結ぶ直行バスだ。土曜日と日曜日に運行され、片道3000円、往復5000円(同一日に限る)だ。サーキットから名古屋駅への帰路は当日券も販売される。

出発場所10月7日(土)10月8日(日)
名古屋発7:307:30
8:308:30
9:30
サーキット発16:30~17:3016:00~18:00
名古屋駅は太閤口(左)、鈴鹿サーキットは第9駐車場(右)から出発する

 サーキットエクスプレスのWebサイトには、2016年の運行実績(PDF)が掲載されている。これを見ると、2016年は土曜日の名古屋発が6便で平均所要時間が1時間46分、サーキット発が9便で同1時間41分。日曜日の名古屋発が11便で同1時間35分、サーキット発が18便で同2時間23分となっている。決勝後の実績は16時から1時間で13便を送り出している。“観戦後にバスに乗ってひと眠りしたら名古屋駅”というはわるくない選択だと思う。

鉄道のアクセスは近鉄 白子駅と鈴鹿サーキット稲生駅が利用できる

 F1日本グランプリの公式サイトの公共交通機関のページ(http://www.suzukacircuit.jp/f1/access/publicfacility.html)には、近鉄の白子駅と伊勢鉄道の鈴鹿サーキット稲生駅を利用したアクセスが紹介されている。

電車でアクセスする際は白子駅と鈴鹿サーキット稲生駅が利用できる

 2つの駅の位置関係を確認しておこう。距離は鈴鹿サーキット稲生駅が約2km、白子駅が約5km。鈴鹿サーキット稲生駅からサーキットへのアクセスは徒歩で20~25分。白子駅はバスで20分ほどだ。

サーキットと駅の位置関係(Googleマップ)。鈴鹿サーキット稲生駅は徒歩、白子駅はバスかタクシーを利用するのが一般的

 白子駅は名古屋と関西(大阪、京都)を結ぶ近鉄の主要駅。普段から1時間に10本ほど電車が止まり特急も停車する駅だ。白子駅と鈴鹿サーキットは路線バスで結ばれていて、レース開催時は大量のシャトルバスが運行する。F1グランプリ開催の土日はサーキットのすぐ近くを通る中勢バイパス(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/641014.html)をバス専用道とするといった地域ぐるみの施策もあり、混雑する決勝レース終了後も含め、20分前後でサーキットと駅を結んでいる(詳細は鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会の資料[PDF]を参照)。

 シャトルバスの安定運行にひと役買っているのがサーキット側のバス停の位置だ。バス停は正面駐車場の1番奥に設置され、渋滞の影響がない道路から出入りしている。メインゲートから約10分ほど歩くことになるが、もしメインゲート付近にバス停を設置したら大渋滞に巻き込まれてしまうだろう。

シャトルバスのバス停はメインゲートから徒歩で約10分の距離。渋滞が発生するサーキット道路や正面駐車場前の道路を通らないことで安定運行を実現している。記憶が曖昧だが、昔はメインゲート前のロータリーのバス停からシャトルバスが出ていて、バスに乗るのに1時間、乗っても渋滞でバスが動かず、歩いた方が早いという時代があった

鈴鹿サーキット稲生駅

 鈴鹿サーキットにもっとも近い駅が伊勢鉄道の鈴鹿サーキット稲生駅だ。メインゲートまでは約2kmで徒歩25分ほどだが、1コーナーゲートまでは約1.3kmで15分ほどの距離だ。V1、V2、A1、B1、B2、C席から鈴鹿サーキット稲生駅に向かう場合は、1コーナーゲートを利用すればメインゲート経由より15分ほど早く着くことができる。

各ゲートの位置。鈴鹿サーキット稲生駅は図の左側になるので、1コーナーゲートを利用するとメインゲート経由より移動時間が短縮できる

 平常時、この駅は1時間に1本しか列車が止まらない無人駅だが、グランプリ期間中の金曜日~日曜日は臨時列車が上下線合わせて毎日30~50本ほど停車する。普段は通過する「快速みえ」「特急南紀」に加え、「鈴鹿グランプリ号」が利用でき、JRの名古屋駅や津駅までのアクセスが大幅に向上する。詳細は伊勢鉄道のWebサイトの「F1開催期間中の時刻表」(http://www.isetetu.co.jp/f1/dia/)、「F1開催期間中の特急列車」(http://www.isetetu.co.jp/f1/exp/)で確認しよう。鈴鹿サーキット稲生駅はSuica、TOICA、ICOCAなどのICカード乗車券が利用できず、臨時の切符売り場も設置されるが、事前に往復の切符を購入しておきたい。

10月8日(日)
鈴鹿サーキット稲生駅発津駅(着/発)大阪難波駅着
16:2316:31/16:4518:05
16:5317:14/17:2118:58
17:2617:34/17:4519:07
17:3517:43/17:4919:36
終電
21:2021:28/21:4523:07

※列車のダイヤは変更になる場合があります。最新の情報は各鉄道会社のWebサイトなどでご確認ください。

鈴鹿サーキット稲生駅は普段は1時間1本の無人駅だが、グランプリ期間中は上下線合わせて毎日30~50本の臨時列車が利用できる

東京、名古屋、大阪からのアクセスをシミュレーションしてみた

 F1日本グランプリの各セッションに間に合うよう何時に出発すればいいか、決勝終了後は何時に帰れるのかを、東京、名古屋、大阪を基点にシミュレーションしてみよう。まず、金曜日~日曜日の公式セッションの時間を確認しよう。

セッション時間
金曜日FP110時~10時30分
FP214時~15時30分
土曜日FP312時~13時
予選15時~16時
日曜日決勝14時~15時30分

 金曜日は10時からセッションが開始されるが、土曜日、日曜日は昼過ぎだ。公式セッション以外にデモラン、ドライバーズパレード、前夜祭、ステージショー、マシン展示などさまざまなイベント(http://www.suzukacircuit.jp/f1/event/index.html)が予定されているので、土日も早めに着けばこれらのイベントを楽しむことができる。金曜日は9時30分到着、土日は11時30分到着を目標に、決勝終了後の帰路も含めて確認してみよう。

 乗り替え時間や歩行時間にバラ付きはあるだろうが、目安として白子駅→バス→サーキットバス停→GPスクエアは50分。鈴鹿サーキット稲生駅→1コーナーゲート→GPスクエアは25分としよう。よって、GPスクエアに9時半に着くには、白子駅に8時40分着、鈴鹿サーキット稲生駅に9時5分着となる。

難波から白子までは1時間40分。大阪と鈴鹿は近い

 まずは大阪からのアクセスを見てみよう。大阪難波駅から白子駅は約1時間40分。鈴鹿サーキット稲生駅は約2時間。金曜日は7時に大阪難波駅を出れば白子駅でも鈴鹿サーキット稲生駅でもFP1に間に合う。大阪難波駅を7時発なので神戸三宮あたりでも早起きすればFP1から観戦可能だ。土日は9時に大阪難波駅を出れば11時半にサーキットに着くことができる。

10月6日(金)
大阪難波駅発白子駅着
6:057:56
6:308:09
7:008:36
10月7~8日(土日)
大阪難波駅発白子駅着
8:009:37
8:3010:08
9:0010:36
10月6日(金)
大阪難波駅発津駅(着/発)鈴鹿サーキット稲生駅着
6:307:59/8:038:20
7:008:23/8:479:05
10月7~8日(土日)
大阪難波駅発津駅(着/発)鈴鹿サーキット稲生駅着
8:309:58/10:0310:13
9:0010:24/10:3610:54

 決勝レースは14時にスタートし、順当に行けば15時30分ごろにチェッカーとなるが、天候によるスタートディレイやSC(セーフティカー)、赤旗などで進行が遅れることもある。表彰式まで見ると16時少し前ぐらいに席を立つことなるだろう。

 2016年にCar Watchに掲載された「高橋敏也の『週末、F1行ってきました!』」(http://car.watch.impress.co.jp/docs/topics/1025297.html)を見ると、B2席に15時32分までいて、16時7分に鈴鹿サーキット稲生駅で列に並んでいる。帰路はチェッカー直後に席を立って移動開始。白子駅16時30分、鈴鹿サーキット稲生駅16時10分から1時間ほどと終電を確認してみた。

チェッカー後に帰路につく人もいるし、スタンドで表彰式を待つ人もいる。撮影時刻は15時32分
鈴鹿サーキット稲生駅の乗車待ちの列。撮影時刻は16時7分
10月8日(日)
白子駅発大阪難波駅着
16:3018:05
16:5118:37
17:1218:58
17:3019:07
終電
22:1123:53
10月8日(日)
鈴鹿サーキット稲生駅発津駅(着/発)大阪難波駅着
16:2316:31/16:4518:05
16:5317:14/17:2118:58
17:2617:34/17:4519:07
17:3517:43/17:4919:36
終電
21:2021:28/21:4523:07

 やはり大阪は近い。18時過ぎには大阪に着くことができる。ゆとりをみても19時ごろには楽勝で着くだろう。そこから乗り換えれば関西圏だけでなく、中国地方でも日曜日のうちに帰ることが可能だ。ただし、帰路は数万人の民族大移動となるので人渋滞が起きる。トイレに寄ったり買い物したり、チョットしたことで1時間くらい遅れることもあるので、指定席を予約するときはゆとりを持っておきたい。

東京駅から白子駅まで2時間半 金曜日9時半にサーキット入りは可能

 東京から鈴鹿サーキットへは名古屋を経由することになるので、東京、名古屋からのアクセスをまとめてお伝えしよう。そもそも大阪から楽勝なので、名古屋からのアクセスはなにも問題はない。東京駅6時発の新幹線に乗れば白子駅に8時30分、鈴鹿サーキット稲生駅に8時50分に着くので、9時30分にはGPスクエアに着くことができる。鈴鹿サーキット稲生駅なら6時16分発の新幹線でも間に合う。東京駅6時発に乗るのは無理という人も、6時30分の新幹線に乗ればセッションが始まる10時直前には着くはずだ。土日も8時ごろの新幹線に乗れば11時30分にサーキットに着くことができる。

10月6日(金)
東京駅発名古屋駅着近鉄名古屋駅発白子駅着
6:307:09
6:007:347:508:30
6:167:518:108:50
6:308:118:309:09
10月7~8日(土日)
東京駅発名古屋駅着近鉄名古屋駅発白子駅着
7:108:489:109:50
7:309:119:3010:09
7:509:319:5010:29
8:009:419:5010:29
10月6日(金)
東京駅発名古屋駅着名古屋駅発鈴鹿サーキット稲生駅着
6:007:348:058:50
6:167:538:058:50
6:308:118:379:28
10月7~8日(土日)
東京駅発名古屋駅着名古屋駅発鈴鹿サーキット稲生駅着
7:509:319:3710:22
8:109:4810:0110:50

 東京を木曜日深夜発の夜行バスに乗れば、翌早朝6時ごろに名古屋駅周辺に着く。6時30分の近鉄線に乗れば7時過ぎには白子駅に着くので、メインゲートに8時前に到着し、8時のゲートオープンに向けて並ぶことも可能だ。人気席のよい場所で見たい、カメラマンエリアのよいポジションで撮影したいという人は夜行バス+近鉄という組み合わせも考慮しよう。

 ゲートオープンの時刻はメインゲートのみ8時で、それ以外は8時30分ぐらいとなる。8時30分に開く1コーナーゲートに行くより、先に開くメインゲートに並ぶ方が観戦エリアまで先にたどり着くことができるので、早朝から行く人は白子駅を利用しよう。

1コーナーゲートには8時30分ゲートオープンと書かれている

 帰路も大阪と同じ白子駅16時30分、鈴鹿サーキット稲生駅16時10分から確認してみよう。最速では19時台に東京駅に着くことができる。20時台なら確実だろう。関東一円であれば余裕で帰宅できそうだ。また、夕方には名古屋駅に着くので岐阜や長野方面の人もその日中に帰宅できるだろう。

10月8日(日)
白子駅発近鉄名古屋駅着名古屋駅発東京駅着
16:3717:1817:3319:13
16:5717:3817:5519:33
17:0917:5218:0219:43
17:1118:0618:2220:03
17:3718:1918:3320:13
終電
21:1221:5222:1223:45
10月8日(日)
鈴鹿サーキット稲生駅発名古屋駅着名古屋駅発東京駅着
16:1317:0717:3319:13
16:4617:4418:0219:43
17:0818:0518:2220:03
17:3618:2618:3320:13
終電
20:3621:5222:1223:45

 自分でスケジュールを組めば自由度は増す。行きは夜行バスで帰りは新幹線。金曜日のホテルは自分で予約して土曜日のホテルはツアーを利用。土曜日は前夜祭で遅くなるから近鉄を利用……、など、自分のスタイルに合ったF1観戦が可能だ。JRや近鉄の指定席券の販売は1カ月前の9月6日~8日から始まる。じっくり検討してF1観戦を満喫してほしい。

提供:株式会社モビリティランド

奥川浩彦

パソコン周辺機器メーカーのメルコ(現:バッファロー)で広報を経て2001年イーレッツの設立に参加しUSB扇風機などを発売。2006年、iPR(http://i-pr.jp/)を設立し広報業とライター業で独立。モータースポーツの撮影は1982年から。キヤノンモータースポーツ写真展3年連続入選。F1日本グランプリ(鈴鹿・富士)は1987年から皆勤賞。