トピック

【2017 F1日本グランプリ】奥川浩彦のキヤノン一眼レフ貸出体験を120%堪能する方法 (後編)

1歩踏み込んだ「チョイ足し」設定と鈴鹿サーキットの“お勧め”撮影ポイント

大量に用意された「一眼レフカメラ貸出体験会」の機材(この年はEOS 7D Mark II+EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM)

 モータースポーツの日本最大のイベント「F1日本グランプリ」が間近に迫ってきた。今年もカメラ好きなF1ファンには恒例の「一眼レフカメラ貸出体験会」が実施され、キヤノンのEOS 5D Mark IV(バッテリグリップ付)+EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMが貸し出される。

 今回は前編(http://car.watch.impress.co.jp/docs/topics/1081617.html)の記事内容から1歩踏み込んで、サーキットでの撮影で表現を広げるために知っておくと便利な、EOS 5D Mark IVの設定方法を9つのポイントでお伝えするとともに、筆者がお勧めする鈴鹿サーキットの撮影ポイントについてもお伝えしよう。

 前編ではカメラの上部、背面のボタン・ダイヤル操作でできる基本設定を紹介したので、今回はMENU画面を開いて設定する項目を中心に紹介していこう。EOS 5D Mark IVの液晶モニターはタッチ操作に対応しているので操作性は大幅に向上している。MENU画面の設定項目は100以上あるが、サーキット撮影では不要と思われるストロボ、ライブビュー、動画(F1は動画撮影禁止)などは除外し、最終的に9項目に絞った。

 読者の中には「EOS 5D Mark IVを使うならDPRAW(デュアルピクセルRAWオプティマイザ)(http://cweb.canon.jp/eos/software/dpp4.html#dpraw)を試してみたい」といった明確な目的がある人もいると思うが、ディープな設定方法には触れないので必要な人は使用説明書(http://gdlp01.c-wss.com/gds/9/0300024969/03/eos5d-mk4-im3-ja.pdf)をダウンロードしてご自身でご確認いただきたい。

使用説明書はキヤノンのWebサイトからダウンロードできる

メモリーカードの初期化(P73:使用説明書に記載されたページ)

 まずは、MENU画面のなかの操作で基本的なものから紹介していこう。最初は「カード初期化」だ。EOS 5D Mark IVの貸出体験をする人は、SDカードかCFカードを別途用意したい。EOSユーザーであれば自分のカメラからカードを抜いてEOS 5D Mark IVに挿せばそのまま撮影は可能だが、同じフォルダーに写真が記録されるので、後処理を考えると好ましくない。

未フォーマットや異なる形式でフォーマットされていると警告が表示される

 EOS 5D Mark IV用に用意した記録カードをメモリースロットに挿入する。フォーマットに問題がなければそのまま使用できるが、念のため最初にフォーマットをしよう。

 EOS 5D Mark IVでは128GBまでのCF/SD/SDHCカードはFAT32形式、128GBを超えるCF/SDXCカードはexFAT形式でフォーマットされる。未フォーマットやPCなどでNTFS形式でフォーマットしたカードを挿入するとエラーメッセージが出るので、カメラ本体でフォーマットが必要だ。

最上段は左からカメラ、AF、再生……と並び、すぐ下にはタブが数字で表示され、各タブの中に設定項目が表示される

 本体背面の左上にあるMENUボタンを押すとメニューが表示される。最上段は左からカメラ、AF、再生、設定……と大分類が表示されていて、その下の段は1、2、3……とタブが数字で表示され、それぞれのタブに設定項目が表示される。

 CFとSDカードの両方を挿した場合の写真の振り分けなどは使用説明書で確認していただくとして、ここでは1枚のSDカードを挿したケースを紹介しよう。カード初期化は設定(スパナのマーク)の1にある。画面の指示に沿って進めばフォーマットができる。最初のフォーマットなので念のため物理フォーマットにチェックを付けてフォーマットしておこう。

設定→1の画面でカード初期化を選択
CFはカード1、SDはカード2となっている
物理フォーマットにチェックを付けてOKを押せばフォーマット完了だ

写真のファイル名を変更する(P220)

 必須ではないが、後々便利なので記録する写真のファイル名を変更しておこう。ファイル名の先頭4文字を変更できるので、分かりやすいファイル名にしておけば、PCに保存した後もファイル名でEOS 5D Mark IVで撮った写真を容易に見分けることができる。

 ここではEOS 5D Mark IVで撮ったことが分かるように5DM4に変更してみよう。ファイル名の変更はカード初期化の2つ上にある。ユーザー設定1を選択して現在の文字を消去、文字パネルから5DM4を入力しよう。登録したファイル名を選ぶと完了だ。

ファイル名の設定を選択
ユーザー設定1の変更を選択
既存の文字をゴミ箱マークで消し、5DM4と入力する
ファイル名の選択をする

 余談となるが、筆者はEOS 7Dの2号機を購入した際に1号機のファイル名を7D1_0001.JPG、2号機を7D2_0001.JPGと設定し、1号機がお亡くなりになり3号機は7D3_0001.JPGとした。鋭い読者は筆者のミスに気付いたかもしれない。EOS 7D Mark IIを購入してから「あっ7D2は使っちゃった」と気付いた。結局EOS 7D Mark IIのファイル名は7Dの7、Mark IIの2、1号機の1から721_0001.JPG、2号機は722_0001.JPGとして現在にいたっている。

RAWで保存したい人は記録画質の設定をしよう(P169)

 初期状態の記録画質はJPEG・ファインに設定されているので、RAWも同時に保存したい人はMENUのカメラ→1の最初の設定項目にある「記録画質」を開こう。上段がRAW、下段がJPEGとなっているので、RAWも記録したい人はRAWを選択しよう。

カメラ→1の記録画質を選択
RAWの選択は上段、JPEGの選択は下段。RAWを選択するとRAWとJPEGが同時に記録される

露出補正がしたいときは(P255、P257)

 シャッター優先AEに設定して撮影すれば、露出が大きく外れる心配はないが、作画意図、光線の状況、マシンの色、背景の影響などで露出補正をしたいときもある。露出補正をMENUで変更する場合はカメラ→2の1番上にある「露出補正/AEB設定」で変更が可能だ。この画面では+-5段階の露出補正ができる。

カメラ→2の露出補正/AEB設定を選択
タッチ操作、サブ電子ダイヤルで+-5段階の露出方正が可能

 露出補正はMENU画面を開かなくても変更ができる。シャッターボタンを半押しし、スタンバイ状態で背面のサブ電子ダイヤルを回すと+-3段階の露出補正ができる。

スタンバイ状態でサブ電子ダイヤルを回すと+-3段階の露出補正が可能

露出補正に役立つハイライト警告表示(P401)

 筆者は露出オーバーによる“白飛び”を避けたい意図があり、露出補正は-1/3を常用としている。撮った写真を液晶モニターで確認し、白飛びするような露出オーバーがあれば、さらにアンダー側に補正をしている。露出オーバーを確認する際に役立つのが「ハイライト警告表示」だ。

 再生→3の1番上にある「ハイライト警告表示」を「する」に設定すると、液晶モニターで写真を確認する際に白飛びしている部分が点滅するので、露出補正の参考にしよう。

再生→3のハイライト警告表示を選択
するに設定する

拡大倍率設定でピントやブレを素早くチェック(P407)

 撮った写真を確認する際の便利機能をもう1つ紹介していこう。モータースポーツのような動く被写体を撮影する際は、ヘルメットなど狙ったポイントのピントやブレを、液晶モニターで拡大して確認したいケースが多い。再生→3の下から2番目にある「拡大倍率設定(約)」は、液晶モニターの左横にある拡大/縮小ボタン(虫メガネのマーク)を押した際の表示倍率が変更できる。「等倍(任意選択合焦点から)」を選択すると、再生時に拡大/縮小ボタンを押すとAFポイントが等倍で確認できる。

再生→3の拡大倍率設定(約)を選択
等倍(任意選択合焦点から)を選択
実際に撮影した写真を再生(この例はEOS 7D Mark IIで再現)
拡大/縮小ボタンを押すと、AFポイント(この場合はヘルメット付近)が一発で拡大表示される

 ちなみに等倍から倍率を落として広い範囲を見たいときは電子ダイヤルを回す。連射した別の写真を確認するときはサブ電子ダイヤルを回す。キヤノンのEOSは倍率と位置をキープしたまま別の写真が確認できるので、効率よく撮った写真のピントやブレのチェックが可能だ。

スローシャッター用にISO感度50を設定する(P180)

 サーキットで流し撮りをする際、シャッター速度を1/30秒、1/15秒、1/8秒などと遅くすることがある。このようなスローシャッターを切りたいとき、快晴になると絞りがf22、f32などに絞り込まれ、回折の影響でシャープ差が失われることや絞りきれないことがある。

 筆者が普段使用しているEOS 7D Mark IIのISO感度の下限はISO100なので、サーキットでは常に各レンズ用のNDフィルターを持ち歩いている。当日の天候は直前にならないと分からないし、1セッションだけ借りるレンズ用にNDフィルター(77mm径)を購入して持って行くのは現実的ではない。

 EOS 5D Mark IVはISO感度にL(ISO50相当)という設定がある。カメラ→2の2つ目「ISO感度に関する設定」で「静止画撮影の範囲」を開き、下限値をL(50)にしておくとISO50が選択できる。スローシャッターで撮影する際にLに設定すればスローシャッターの撮影がしやすくなる。

カメラ→2のISO感度に関する設定を選択
静止画撮影の範囲を選択
下限値をL(50)に設定
ISO感度L(ISO50)が選択できる

ピクチャースタイルを設定しよう(P183)

 EOSユーザーにはお馴染みのピクチャースタイルは、被写体や撮影シーンに応じて細かな絵作りをすることができる。初代EOS 5Dから搭載され、初期は「スタンダード」「ポートレート」「風景」「ニュートラル」「忠実設定」「モノクロ」が用意され、それぞれのスタイルのシャープネス、コントラスト、色の濃さ、色合いの微調整ができた。

初期は6種類のピクチャースタイルが用意された(EOS 40DのMENU画面)
EOS 7D Mark IIはオートが加わり7種類
シャープネス、コントラスト、色の濃さ、色合いが調整できた

 現在はこれらに「オート」「ディテール重視」が加わり、シャープネスが細分化されて強さ、細かさ、しきい値の設定が可能だ。初期状態のピクチャースタイルは「スタンダード」となっていて、そのまま撮影すれば問題はないと思うが、絵作りにこだわりたい人は自分好みに設定しよう。

EOS 5D Mark IVではディテール重視が加わっている
シャープネスの設定が強さ、細かさ、しきい値に細分化された

 参考にもならないが、筆者は忠実設定をベースにシャープネスは高めた晴れ用と、これにコントラスト、色の濃さを高めにした曇り・雨用の2つをプリセットして天候によって切り替えて使用している。ピクチャースタイルは奥が深いので、詳細は以下のリンクを参照にしていただきたい。

ピクチャースタイル概要(キヤノン)

http://cweb.canon.jp/eos/picturestyle/index.html

「ディテール重視」が追加されたピクチャースタイルについて改めて考える(デジカメWatch)

http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/minirepo/752579.html

AI サーボのAF特性の設定(P127)

 EOS 5D Mark IVはEOS-1D X Mark IIと同等のAIサーボAF IIIを搭載し、撮影シーンに応じたAI サーボのAF特性の設定ができる。シーンによりCase1からCase6まで選択でき、被写体追従特性、速度変化に対する追従性、測距点乗り移り特性の微調整も可能だ。先進のAF性能に興味のある人は堪能するチャンスだ。

各ケースの違い(使用説明書から表を抜粋)
Case1からCase6まで選択できる

 筆者が普段使用しているEOS 7D Mark IIもAF特性のシーンが選択できるが、残念ながら筆者のレベルでは各Caseごとの違いはよく分からない。Case4を使用しているが、どれに設定しても撮れると感じている。そもそも筆者はピントが合う、合わないはカメラのAF性能と撮影者の技量の掛け合わせと思っている。

 サーキットにおいて、ヘルメットなどのAFターゲットが真っ直ぐ近付いてくることはない。例えば鈴鹿サーキットのヘアピンの立ち上がりなら、視界の中で左上から右下に移動するマシンにレンズを振って追従させなければならない。

 その際、AFポイントがヘルメットバイザーの文字がズレないほど正確に追従する人もいれば、ヘルメット内に納められる人、時々ヘルメットから外れる人もいるだろう。当然、前者ほどカメラはAFが合わせやすくなる。なので、筆者はピントがずれる要因は、カメラのAF性能よりも自分自身の技量だと思っている。

 とは言え先進のAFシステムであるAIサーボAF IIIをサーキットで試せる貴重な機会なので、気になる人は色々設定を変えて撮っていただきたい。

AI サーボのAF特性の解説(EOS 7D Mark II)

http://cweb.canon.jp/eos/special/7dmk2/guide/page2/

 EOS 5D Mark IVの設定項目は紹介しきれないほど多い。1つのセッションで試せることは多くないが、限られた時間を有効に使ってその魅力を堪能して欲しい。プロカメラマンの高橋学氏が実際にEOS 5D Mark IVを使用してモータースポーツを撮影した記事も掲載されているので、こちらも参考にしていただきたい。

高橋学のキヤノン「EOS 5D Mark IV」でモータースポーツを撮ってみた

http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1056929.html

鈴鹿サーキットのお勧め撮影ポイント

 過去に鈴鹿サーキットで何度も撮影している人には釈迦に説法だと思うが、撮影経験の少ない人向けにEOS 5D Mark IV+EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USに最適な撮影ポイントを紹介したい。普段からフルサイズの撮像素子を搭載したカメラを使用している人は100-400mmのレンズはそのままの焦点距離だが、筆者が使用しているEOS 7D Mark IIのようなAPS-Cサイズの撮像素子を使用している人は焦点距離の換算が必要となる。

 キヤノンのAPS-Cはフルサイズに対し焦点距離が1.6倍となる。普段使用している200mmのレンズは320mm相当、300mmのレンズは480mm相当ということだ。逆算するとAPS-Cカメラを使った時に63-250mm相当のレンズであれば今回使用するEOS 5D Mark IVのようなフルサイズで100-400mmと同じ画角になるので、70-200mmなど焦点距離250mm以下のレンズを使用するときの距離感に近い。

 撮影可能な場所はカメラマンエリアと西エリア。これに金曜日は自由席エリアが加わる。西エリアと自由席エリアは一般の観戦客に配慮が必要となる。後ろにほかの観戦客がいないなど、観戦客の視界を妨げない場所なら撮影可能とされている。金曜日はV1/V2席以外の指定席は自由席エリアとなるが、混雑している観客席で立ち上がって撮影することは避けよう。

 カメラマンエリアから撮影ポイントを確認していこう。カメラマンエリアのチケットは従来と同じ3種類だ。

①:B2席を含む全カメラマンエリア入場可
②:B2除くカメラマンエリア入場可(ヘアピン可)
③:B2・ヘアピン除くカメラマンエリア入場可
カメラマンエリアの撮影場所。ヘアピンが細分化されている

 ただし今年からカメラマンエリアのルールが一部変更され、例年大混雑するヘアピン常設席の前エリアの入場には「ヘアピン"プラス"」チケットが必要となったので注意しよう。逆にヘアピンの進入側の土手は③のチケットでも入場可となった。また、詳細は不明だが130Rとシケインの中間に新たなカメラマンエリアが設置された。

 鈴鹿サーキットに確認したところ、「ヘアピン"プラス"」のチケットが必要なのは常設席の前のエリアだけで、常設席の両脇の土手は①、②のチケットで入場できるとのこと(現地の係員に周知されるかやや不安はある)。200R側の土手は従来どおり①、②で入場可能だ。

常設席の両脇の土手は「ヘアピン"プラス"」のチケットがなくても①、②のチケットで入場できる
常設席すぐ脇、200R側の土手で撮影する筆者

カメラマンエリアのお勧め撮影ポイント

 EOS 5D Mark IV+EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMで、カメラマンエリアのお勧めの撮影ポイントは、C席横の芝生エリア、D1席最上段、ヘアピンエリアだ。スプーンは進入を正面から撮る場合はもっと望遠のレンズが欲しいが、スプーン1つ目から2つ目に向かうマシンの流し撮りは可能だ。B2席、D5席、E席はやや遠くなるので400mmでは物足りないだろう。

 筆者はAPS-Cのカメラで撮影しているので、過去カメラマンエリアで焦点距離63-250mmで撮ったの写真を探してみた。残念ながら該当する写真は少なかったが参考程度に紹介しておこう。まずは逆バンクD1席最上段。

D1席最上段のカメラマンエリアから撮影。リサイズのみ、焦点距離はフルサイズで262mm相当(APS-Cで164mmで撮影、以下同様の換算)
トリミング、レタッチしフルHDサイズでフォトギャラリーに掲載した写真
オレンジ色がD1席最上段のカメラマンエリア、撮影した位置は矢印のあたり。100-400mmのレンズで充分に撮影できる距離だ(Googleマップ)

 ヘアピンのカメラマンエリアは大きく4つに分かれている。ヘアピンで撮った写真もいくつか紹介していこう。

ヘアピンの常設席右横の土手から撮影。リサイズのみ、焦点距離はフルサイズで386mm相当
トリミング、レタッチしフルHDサイズでフォトギャラリーに掲載した写真
ヘアピンの進入側の土手から撮影。リサイズのみ、焦点距離はフルサイズで320mm相当
トリミング、レタッチしフルHDサイズでフォトギャラリーに掲載した写真
ヘアピンを立ち上がるマシンを斜め後ろから撮影。リサイズのみ、焦点距離はフルサイズで320mm相当
トリミング、レタッチしフルHDサイズでフォトギャラリーに掲載した写真

 焦点距離が63-250mmから少し外れている写真も紹介していこう。ヘアピン常設席横の土手から焦点距離286mm(458mm相当)で撮影。トリミングするつもりで撮ったら、たまたまフレームぎりぎりに収まった。250mm(400mm相当)で撮っていたら少しフレーミングにゆとりがある写真になったと思われる。

ヘアピンの常設席右横の土手から撮影。リサイズのみ、焦点距離はフルサイズで458mm相当
トリミング、レタッチしフルHDサイズでフォトギャラリーに掲載した写真
ヘアピンの撮影位置はおおむねこの図のとおり。オレンジ色がカメラマンエリア。ヘアピン"プラス"のチケットが必要なのは常設席の前だけ。スタンド左右の土手はヘアピン"プラス"のチケットがなくても撮影可。ヘアピンは100-400mmのレンズで充分に撮影できる距離だ(Googleマップ)

西エリアのお勧め撮影ポイント

 西エリアのお勧め撮影ポイントはスプーンカーブだ。スプーンは進入から1つ目、2つ目とほぼ全域が撮影ポイントだ。観戦客は上段の通路付近に多いので、土手の下と観戦客の背後が撮影に適している。

スプーンの進入付近。観戦客は通路付近に多い。
スプーン進入付近の土手はカメラマン、土手の上の通路付近は観戦客と棲み分けられている
スプーン1つ目付近も人気の撮影ポイント
スプーン進入付近の土手から撮影。リサイズのみ、焦点距離はフルサイズで160mm相当
フルHDサイズにトリミング、レタッチした写真
オレンジ色がカメラマンエリア。これに加え青色もお勧めの撮影エリア。青色のエリアは観戦客に配慮して、土手の下段や観戦者の後ろで撮影しよう(Googleマップ)

金曜日の自由席エリアのお勧め撮影ポイント

C席はS字側の下段にカメラマンが集まる傾向がある

 金曜日の自由席エリアでお勧めの撮影ポイントはC席とD3/D4席だ。C席は2コーナーからS字進入が目の前で、流し撮りをするなら100-400mmのレンズでちょうどよい距離となる。C席は金曜日なら比較的空いているスタンドで、観戦客はB席(2コーナー)側の上段、カメラマンはS字側の下段と自然に棲み分けがされている。C席の定番撮影ポイントとして2コーナーのポスト付近もあるが、焦点距離400mmでは物足りない。

 次の3枚の写真はC席スタンドの下段を2コーナー側からS字方面に移動しながら撮った写真だ。焦点距離は320mm相当。2コーナー付近、ストレート部分、S字1つ目と背景が異なる写真を撮ることができる

C席スタンド中央下段で撮影。リサイズのみ、焦点距離はフルサイズで320mm相当
C席スタンドややS字側の下段で撮影。リサイズのみ、焦点距離はフルサイズで320mm相当
C席スタンドS字側の下段で撮影。リサイズのみ、焦点距離はフルサイズで320mm相当
矢印がこの3枚の撮影場所。お勧めの撮影ポイントは青色のエリア。オレンジ色のカメラマンエリアもコースに近くお勧めだ(Googleマップ)

 D3/D4席はS字の2つ目が見下ろせる場所だ。D3/D4席の位置は図のとおり。S字から逆バンクまで続くD席のS字側となる。D4席は1~2コーナーからS字まで見渡せる人気の席だ。現地に行くとD3席とD4席の区別は付かないが、D4席(2コーナー側)の上段は観戦客が多いので、撮影ポイントはD3席/D4席の観戦客の後ろか、D3席(やや逆バンク側)の中段となる。実際にはスタンドの混雑具合をみながらポジションを決めたい。

D3/D4席の位置
D3席の最上段付近から撮影したスタンドの様子
D3席中段からコースを見るとこんな感じ

 ここはコーナーのイン側から撮影できるので、流し撮りの成功率が高くなる。縁石が手前に写り絵が栄えるし、マシンが美しく見える距離感なのでお勧めの撮影ポイントだ。

D3席中段付近から撮影。リサイズのみ、焦点距離はフルサイズで216mm相当
トリミング、レタッチしフルHDサイズでフォトギャラリーに掲載した写真
D3席中段付近から撮影。お勧めの撮影ポイントは青色で示したD3席/D4席の観戦客の後ろか、D3席の中段(Googleマップ)

逆バンクオアシスから撮影ポイントへの距離と移動時間

 貸出コーナーのある逆バンクオアシスから各撮影ポイントまでの距離と推定移動時間も確認しておこう。

逆バンクオアシスから各撮影ポイントまでの距離と推定移動時間
撮影スポット距離(m)推定移動時間
C席6508分40秒
C席横カメラマンエリア5207分
D3/D4席3004分
D1カメラマンエリア801分
ヘアピン金曜日140019分
ヘアピン土日130017分30秒
スプーン170023分
ヘアピン~スプーン6308分30秒

※歩行速度は4.5km/hで計算しアップダウンを加味した時間

 機材の貸出はセッション開始の1時間前。1番遠いスプーンでも23分ほどで移動できるので、どの撮影ポイントへもマシンが走行を開始する前にたどり着くことができる。ヘアピンへの移動ルートは、金曜日は逆バンクゲートを出てデグナーの外を回って西ストレートゲートから常設席まで。土日はシケインゲートが使えるので、逆バンクゲートからトンネルを抜けてシケインゲートから再入場し、130Rから常設席までの時間だ。ヘアピン進入側の土手までは約1kmなので14分ほどで到着する。スプーンは西ストレートゲートを利用し、スプーン進入付近までの時間だ。

各ゲートの位置。シケインゲートは金曜日はオープンしないので注意

セッション別お勧め撮影ポイント

 金曜日のお勧め撮影ポイントはC席、C席横カメラマンエリア、D3/D4席だ。「一眼レフカメラ貸出体験会」でカメラを借りる人はカメラマンエリアのチケットを持っている。イコール、3日間カメラマンエリアに入れるということだ。土日は自分のカメラでカメラマンエリアで撮影するなら、金曜日は自由席エリアの撮影を優先したい。

逆バンク、D1席最上段のカメラマンエリアは例年大混雑する

 例えば逆バンクオアシスの目の前、D1席のカメラマンエリアに隙間がなければ最初はC席に移動する。そこからS字側に尺取り虫的に移動しC席横カメラマンエリア、D3/D4席と撮り、セッション終盤にD1席のカメラマンエリアに隙間があれば最後に逆バンクを撮影する。

 土曜日、日曜日はカメラマンエリアと西エリアの撮影となる。ヘアピンのカメラマンエリアは進入、正面、常設席、200R側が4つのエリアに分かれているので、これらをハシゴして撮ることもできるし、ヘアピン常設席とスプーンの進入付近は8分半くらいで移動できるのでセッション中にスプーンへ移動することも可能だ。

 3日間の撮影スタイルは人それぞれだと思うので、自分のカメラとレンズで撮りたい(撮りやすい)ポイントとバランスを考えて計画を立てていただき、EOS 5D Mark IV+EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USでF1を撮る貴重な機会を堪能していただきたい。

提供:キヤノン株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社

奥川浩彦

パソコン周辺機器メーカーのメルコ(現:バッファロー)で広報を経て2001年イーレッツの設立に参加しUSB扇風機などを発売。2006年、iPR(http://i-pr.jp/)を設立し広報業とライター業で独立。モータースポーツの撮影は1982年から。キヤノンモータースポーツ写真展3年連続入選。F1日本グランプリ(鈴鹿・富士)は1987年から皆勤賞。