トピック
家族とクルマで行く1泊2日の小旅行、鈴鹿サーキットゆうえんち「モートピア」に行ってみた
目指せレース観戦と家族サービスの両立
2017年10月18日 00:00
暑い夏が過ぎ去って日差しが和らぐと同時に、今年熱い戦いを繰り広げたイベントも区切りを迎える。10月21日~22日は4輪レースの「2017年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第7戦 第16回JAF鈴鹿グランプリ」が、11月4日~5日はJSB1000などの2輪レース「2017年 全日本ロードレース選手権 第9戦 MFJグランプリ」が、それぞれ2017年のシリーズ最終戦として三重県・鈴鹿サーキットで開催されるのだ。
今回、スーパーフォーミュラと全日本ロードレースは、決勝レースが1日に2回行なわれる「2レース制」となっている点が要注目だ。今シーズン、どちらのシリーズも混戦によりポイントランキング上位の選手が僅差でひしめく状況で、最後に誰が頭1つ抜け出るのか……。1度に2回分のレース観戦を楽しみつつ、いつもとは違った緊張感のなかチャンピオンシップの結末を見届けることになるだろう。
2017年の国内レースを締めくくるこの2つのレースを、できれば観戦したい。けれど、鈴鹿は遠くて行きにくいとか、小さな子供がいるから難しい……と考える筆者のようなレースファンのお父さん・お母さんもいるに違いない。しかし、本当に鈴鹿サーキットは遠く、子連れだと観戦が難しいのだろうか。意外とすんなり行けちゃって、楽に観戦できたりしないだろうか?
それを確かめるべく、筆者・日沼家の子供2人を含む全員で都内の自宅と鈴鹿サーキットを往復する1泊2日の小旅行を決行した。残念ながらレースウィークではないため、1番の狙いはサーキット隣接のゆうえんち「モートピア」で子供たちに大いに遊んでもらおうという家族サービスだが、果たして……。
片道400kmのロングドライブ。鍵は疲れにくいクルマ?
東京の筆者宅から鈴鹿サーキットまで、カーナビで示された距離は片道400km弱。高速道路をフルに使って、仮に平均80km/hで走り続けることができたとしても、5時間はかかる計算になる。当然、渋滞があればさらに時間がかかるし、5時間ぶっ通しで運転するのは避けたいから、適宜休憩を挟めばもっと到着は遅くなる。
また、それに輪をかけて今回1番の「不安要素」となるのが、3歳と4歳の娘が一緒であるということ。週末に子供をクルマに乗せて出かけることは多いけれど、1日に400kmもの長距離を移動するのは初めてのことだ。クルマ好きの男の子ならともかく、2人ともクルマにはそれほど興味を示さない女の子だから、途中で飽きて騒ぎ出すのは目に見えている。
子供の機嫌や体力を第一に考えて、小刻みに休憩を挟みながらの移動を想定すると、どれくらいで目的地に到着できるのかははっきり言って予測不可能だ。最悪「たどり着けない」ことも考えなくてはならない。とはいえ、せっかくの家族旅行を失敗で終わらせるわけにはいかないのである。
そこで、鈴鹿サーキットまでの道中を可能な限り安全に移動しながら、かつ子供が快適に過ごせるよう対策を打っておくことにした。普段の乗り慣れたマイカーではなく、借りた最新のクルマを使う、というものだ。いつもとは違う車内空間で新鮮な体験をさせることで、少しは子供の気をそらすことができるのではないか、なんて思いもある。
今回、本田技研工業のご厚意で、「フリード HYBRID EX」をお借りすることができた。コンパクトな車体なのに3列シートのゆとりある車内空間。1泊2日で子供のかさばる荷物があることも考えれば、4人家族にとってちょうどいいサイズのモデルと言える。
ドライバーである筆者としてもありがたいのが、安全運転支援システム「Honda SENSING」を装備していること。衝突被害軽減ブレーキや歩行者事故低減ステアリングといった機能も重要だが、高速道路での巡航を楽にする「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」と、ステアリングアシストで車線内走行のキープを助ける「LKAS(車線維持支援システム)」は、400kmの行程の大部分を高速道路で移動する今回のシチュエーションでもっともお世話になりそうな機能だ。
到着時刻が予想できないため、可能な限り朝早く家を出たい。でも、子供の機嫌を損ねない時間帯であることがもっとも重要ということで、お借りしたフリードに乗ってスタートしたのは朝7時30分過ぎ。平日だったこともあり、中央自動車道から首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の前半まではスムーズに走行。東名高速道路とのJCT(ジャンクション)手前で10分~15分ほど渋滞に引っかかった以外は、ほとんど一定のペースで走り続けることができた。
スタート直後はマイカーと違う安全運転支援システムの挙動に戸惑いつつも、慣れてくると想像どおりACCとLKASは大活躍。機能のオンオフを試しながら1番楽に運転でき、かつ安全に、安定して走行できる設定を探ったが、家族を乗せて長距離移動するという目的においては、どちらもオンにするのが最適だと感じた。
ACCのおかげでアクセルワークに気を使うことも、余計に力を入れることもないし、LKASがあれば車線の中央を維持する細かなステアリング操作を100%する必要もない。体力的にも精神的にも疲労が軽減されていることが、休憩で立ち寄ったSA(サービスエリア)で明らかに分かる。これだけの距離を一度に走ろうとすると、必ず1、2本のエナジードリンクを摂取して身体に喝を入れるものだが、この日は最後まで必要なし。眠気にも襲われなかった。
何より、疲労感がないせいでSAで身体が“動く”から、子供のワガママを聞いてあげる余裕も出てくる。きっと今回みたいなイベントは、一生に何度とない盛大な家族サービスのチャンスだから、この際とことんそのワガママに付き合ってあげようと、SAで売っていたおもちゃやぬいぐるみを子供の望むままに買い与える筆者である。
東名高速の足柄SAと新東名高速道路の岡崎SAで休憩を取ると、昼寝し始めた子供の様子を見ながら残りの距離を一気に詰める。15時ごろ、サーキット隣接の鈴鹿サーキットホテルに到着。約7時間半で400kmを走破した。平日のため渋滞にほとんど遭わなかったことと、フリードのHonda SENSINGがロングドライブをしっかりサポートしてくれたことが大きいだろう。
到着後は、当然ながら子供たちの体力は余りに余っているし、こちらもその遊びに付き合ってあげられるくらいには余裕があった。それを考えると、東京~鈴鹿間をクルマで移動するのは、想像よりずっと楽だったんだなと思う。無茶な連続運転は避けるべき距離だが、かといって過剰に恐れる距離でもない、というのが率直な感想だ。もちろん、クルマに先進安全技術が搭載されている影響も少なくないだろうけれど。
子供心を引きつけるポイント満載のホテル、レストラン、温泉
初日は移動日とし、到着後はホテルでゆっくり過ごすことに。宿泊先である「鈴鹿サーキットホテル」は、チェックインロビーのある「Main館」に加えて、小さな子供のいる家族向けの「West館」、小学生くらいの子供がいる家族向けの「East館」、ラグジュアリー感のある「North館」、研修などでも利用できる「South館」の計5つの宿泊棟からなる。敷地内には、そのほかにも天然温泉施設「クア・ガーデン」とレストラン施設「S-PLAZA」、キャンプサイト「ファミリーキャンプ」がある。
今回は空き室の都合から、3歳と4歳の子供ではあるもののEast館に宿泊した。サーキットのコースをまたぐアーチ風のデザインや、レースタイヤ風の丸テーブル、工具を模したクッションなど、レースシーンをイメージした内装がサーキットのホテルらしさを演出している。
部屋に入ったとたん、子供たちは通常よりも低めに作られたベッドに飛び込み、置いてあった大きなスパナ風クッションに「ホネ!」とか言って抱きついた。掛け布団をめくり上げ、転げ回り、あっという間にベッドがぐしゃぐしゃに荒らされてしまったが、むしろここまで喜んでくれると時間をかけて連れてきた甲斐があるというものだ。
East館のエントランスホールには備え付けの絵本を読めるスペースがあり、夕食までの余った時間、絵本を次々に取り出して読んでとせがんできた。1時間ほど過ごして外に出ると、今度はMain館と夕食会場のS-PLAZAとの間にある広場をあてもなく走りまわる。ようやくたどり着いたS-PLAZAでは、夕食の開始直前まで、床に大きな起伏のあるキッズスペースでさらに走り続けた。
このキッズスペースは、波打つ床の何が琴線に触れたのかは分からないが、2人のお気に入りの場所となった。夕食をとって温泉に入り、部屋に戻った後、もう就寝時間だというのにこのキッズスペースに「行きたい」と言い出し、ふたたび遊びまくることになったのである。もしかするとモートピアに行かなくても、ホテル周辺だけで満足できちゃうのでは? などと思ってしまった。
ひとしきり遊んだ後の夕食は、S-PLAZAのビュッフェレストラン「そら・たべよ」にて。三重県のお米や名産による和食、洋食、中華料理に、チョコレートタワーがそびえるデザートコーナーが充実している。一角には子供が直接皿に料理を盛れるローカウンターのコーナーもあり、子供たちは自ら進んで手を伸ばしていた。それを見て、そら・たべよは子供の成長(しようと)する姿も見られる貴重なレストランかもしれない、などと感慨にふけったり。
天然温泉施設「クア・ガーデン」の大浴場は、水深50cmほどのだだっ広い内風呂と露店風呂があるシンプルなつくり。シャワーの勢いも少し弱めに調整されていて、子供の身体を流しやすいのはうれしい。お湯の温度は、とにかく熱い湯が好きな大人には物足りないかもしれないが、子供にとってはちょうどいい加減のよう。身長100cm弱の二女が悠々と風呂の中を歩きまわって楽しんでいたのが印象的だ。後半は、本来の暑がりを発揮してずっと水風呂に浸かっていたのは親として不安になったが……。
2日目、ハロウィーン色に染まった「モートピア」へ
鈴鹿サーキットホテルで1泊した翌日の2日目、いよいよ家族サービスのメインディッシュである「モートピア」へ。朝10時のオープンと同時にホテルゲートから入場し、まずは「チララのハローガーデン」に向かう。
モートピアでは9月9日~10月31日まで、ハロウィーンイベントとして「チララのハローガーデン」が「ハロウィーンガーデン」に大変身。カボチャのお化けなどに彩られたスペシャルな雰囲気に様変わりしており、さらにそれ以外の園内のあちこちもハロウィーン色に染まっている。お土産ショップの「プッチタウンストア」では、カボチャを運ぶミツバチのぬいぐるみなど期間限定商品が販売されており、娘2人は当然のようにお土産にそのぬいぐるみを選んだ。
また、“はち”のコスチュームや“ハロウィーン”コスチュームの小学生以下の子供は入園が無料になる。加えて、このコスチュームの子供を含む最大8人まで乗り物乗り放題の「モートピアパスポート」を優待価格で購入することも可能だ。モートピアに来る前に、かぼちゃのお化けのお面や魔法使い風の衣装などを用意して、お祭り気分で入場してみるのも楽しそうだ。
さらに園内レストランにもハロウィーンの特別なメニューが用意されている。肉料理メインの「アドベンチキン」では、ベーコンでできた舌をベロリと垂らした「ハロウィーン オバケバブセット」(1000円)が販売中。小さな子供が見たら泣き出しそうな見栄えだが、わが娘は「きもちわるい」とか言いながらベーコンからもしゃもしゃ食べていた。
「ぶんぶんのパンケーキやさん」では、「ぶんぶんの魔法使いパンケーキ」(650円)が提供されている。チョコレートソースをふんだんに使い、魔法使い風のミツバチがホウキで空を飛んでいる様を表現。三重県産の小麦によるもっちもちのパンケーキで、この日食べて遊んで、食べて遊んでを繰り返していた子供2人は「今日は食べてばっかりだね」とうんざりしたような口ぶりで、パンケーキを口に運んでいた。
0~3歳も乗り物アトラクションが楽しめる、小さな子供たちの味方
3歳と4歳という子供の年齢は、遊園地で遊ぶには少し微妙なタイミングだったりする。3歳未満は入園無料とする遊園地は多いが、その年齢だとまず乗り物系のアトラクションはほとんど利用できない。3歳以降になるとフルで入園料がかかったりするのに、今度は身長制限でアトラクションを利用できないことがある。満足に遊べるのは小学生以降、身長120cm以上、というのが目安ではないだろうか。
一方、モートピアはアトラクションをより低年齢層向けに振っているのが特徴だ。「チララのハローガーデン」では、0歳~4歳ごろまでの子供が思う存分楽しめるアトラクションが特に多い。例えば園内を一望できる高さまで上昇する乗り物アトラクション「ぶんぶんばち」は、保護者の付き添いがあれば0歳から問題なく利用できる。
長女は2回連続で「ぶんぶんばち」に乗り、上昇と下降を上手にレバー操作して得意気な顔。3歳以下対象の「ぶんぶんばちひろば」では、二女がこれまでに見たことのないテンションで広場内のあらゆる仕掛けを渡り歩き、飛び跳ねていた。
「ピピラのモトフィールド」は、本格的なバイクの乗り物アトラクションが用意されているエリアだが、ここも3歳から利用可能だ。「自転車の補助輪が外れていること」といった条件が付くものもあるが、原付風の乗り物「ピピラのピンキーバイク」なら3歳以降であれば誰でも乗車可能だ。
操作方法も右手でアクセルを捻って前進し、左手でレバーを握ってブレーキする、本物のバイク(スクーター)に近いもの。これには大人も乗車でき、日沼家は4人全員でチャレンジ。二女は最初うまく操ることができず、悔しかったのかリベンジしたがり、もう1度乗車。2回目は「自分で操作できている」感覚がしっかり得られたようで、「すごく速く走ったよ!」と同行していたフォトグラファーの方に何度も報告するくらいである。きっと分かってるよ、撮影してたんだから。
「プートのモビパーク」にも、かなり動きの激しい乗り物アトラクションながら、2歳から乗車可能なものがある。1つは「ene-1」。アクセル操作でレールに沿って前に進む4輪の乗り物だが、単純に走るのではなく、いかに長い距離を自力で走れるか、ゲーム感覚でプレーできるのが特徴だ。
足で操作するアクセルはただ踏めばいいわけではない。燃費が最適になるように一定のアクセル開度を維持し、その一方で2つあるレバーを前後に動かしてエネルギー源となる電力を発電、供給する。アクセルべた踏みだとあっという間にエネルギーを消耗して、コース途中でゲームオーバーとなるから要注意だ。
日沼家は4人で1台に乗車し、長女に運転を任せたところ、400m中290mのところでエネルギー切れ(残りは自動操縦になる)。クルマを操縦している感覚がそれなりにあったのか、長女は満足していたようだが、発電のためレバーを激しく前後させていた筆者が、確実に筋肉痛になるレベルで体力を消耗した。
もう1つは「アクロエックス エボリューション」。いつものお昼寝タイムに全力で遊んでいた二女が、さすがに電池切れでうとうとしながらも、これだけは絶対に「乗る」と言ってきかなかった。深い水たまりやデコボコ道、急坂など、さまざまなタイプの悪路でテスト走行する乗り物アトラクションだ。
ハンドルできちんと操縦しないとすぐに壁にぶつかって「減点」となるため、3~4歳の子供には難しそうだが、保護者と一緒に運転する形でも十分に喜んでくれるはず。普段からマイカーのフロントシートに座りたがる二女だけに、ハンドルを握れるのはうれしいのだろう。成績は芳しくなかったけれど、ものすごく真剣な表情で運転していた。
帰路も忘れてはならないけれど、いずれ家族でレース観戦も大アリ
15時を過ぎると子供たちも体力の限界を迎え、ぐずり出した。最後に軽くお土産ショップ「ぐるめぷらざ」に寄って大人用のお土産も購入し、モートピアのホテルゲートを出る。二女は完全に熟睡状態となり、帰りのクルマに乗り込むまでは元気だった長女も、ほどなくして眠りの世界に旅立った。
しかし、大人にとってはここが最後の踏ん張りどころ。モートピアで子供に振りまわされて体力を削られているなか、往路と同じ距離を引き返すわけで、より一層安全に気を付けなければいけない。途中のSA/PAなどで仮眠をとることも考えた方がよさそうだ。
そういう意味では、お父さん・お母さん(というかドライバー)にとって、モートピア(あるいはレース観戦)1泊2日ツアーは体力的に楽とは言えない。けれど、間違いなく子供たちにとっては印象深い思い出の1つになったはずだし、1日中楽しんでいるその姿を見ることができた筆者としても満足度は高い。そのための苦労と考えれば、往復にかかる時間は気になるものではない、と思う。
もちろんレースウィーク中もモートピアはオープンしている。10月21日~22日のスーパーフォーミュラや、11月4日~5日の全日本ロードレースは、レース観戦券があればモートピアの入園は無料。大人の前売り観戦券には、乗り物乗り放題のモートピアパスポートも付いてくるので、お父さんがレース観戦している間、お母さんと子供はモートピアで遊んで、気になったら互いの場所を行き来する、なんてことも可能だ。
今回はモートピアで家族サービス、という形だったが、東京~鈴鹿のクルマでの往復が想像していたほど大変でなかったこともあり、いずれは家族でレース観戦もできそうだなという自信がついた。子供がいるからレース観戦は無理かも、と諦めそうになっているお父さん・お母さん、まずは試しに10月21日~22日のスーパーフォーミュラと、11月4日~5日のロードレースの観戦に行ってみる……のはハードルが高いとしても、とりあえずモートピアで遊ぶのはどうだろう。
提供:株式会社モビリティランド