F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第87回:5年ぶりの中国GPは周冠宇選手のグランプリ! フェルスタッペン選手の圧倒的な活躍と、残念だったRBの角田選手とリカルド選手……

 5年ぶりの中国GP。日本からの渡航はビザが必要になりました。

 僕は報道ビザを取得していったのですが、以前に比べても煩雑な手続きでした。プレス関係者もすごく少なかったという印象です。

 勝ったのはフェルスタッペン選手。今回も圧倒的な速さと強さがあったように見えました。

 土曜日のスプリントレースでも追い上げてサクッと抜いていくレース。

 首位のハミルトン選手を抜いてきたメインストレート。土曜日から満員のグランドスタンド。

 スプリントレースのパルクフェルメ。ハミルトン選手、久しぶりな感じ。

 今回の見どころのハイライトとしてやっぱりアロンソ選手がかっこよかった! スプリント予選3位、スプリントリタイア、予選3位! レース7位。

 一発の速さはあるけれど、レースペースとなると徐々に遅れていくんです。タイヤに厳しいマシンなのかな?

 レースのグリッドでエンジニアと最終の打ち合わせ。真剣に何やら気になっているところがあるらしく、ときどき厳しい表情になりながら話していました。

 2026年までアストンマーティンで戦うという発表もありました。

 ホンダともう一度仕事をするというのはもちろん興味もありますけれど、どちらかというとレッドブルでフェルスタッペン選手と一緒に走るという夢みたいな組み合わせを見てみたかったな、と思います。

 トップグループの一角に食い込むアストンマーティンですが、アロンソ選手が居ることによって成り立っている部分は大きいと思います。

 今回の周冠宇選手はヒーローでした。その声援の多さは、すごかったです!

 中国人初のF1パーマネントドライバー。今回初凱旋レースとなりました。

 ポスターなどではもちろんメイン。

 歩けばカメラマンが動く。日本で言えば、中嶋悟選手が鈴鹿で走ったときと同じ現象ですよね。自国の注目度は半端ない。

 すさまじい人気でした!

 レース中盤サージェント選手を抜く周冠宇選手。お客さんは大盛り上がり!

 成績はスプリントが9位、レースが14位でポイントならず。

 角田選手、今年のこれまでの流れとは全く違う展開になりました。

 スプリント予選が19位、スプリントが16位、予選が19位、レースがリタイア。グリッドでの表情もこれまでとは全然違いました。

 クルマの動きが定まりません。年間を通して好調を維持するということの難しさがみえました。

 見ていても、徐々に順位を下げていく展開。

 後ろからきたリカルド選手に防戦するもヘアピンでクロスされて抜かれてしまいます。

 ハースのマグヌッセン選手と接触、ホイールが割れてパンクしてリタイアとなりました。レース後にマグヌッセン選手に10秒加算ペナルティーが出ました。

 残念ですね……でもこういうこともあり得るのがレースです。

 マグヌッセン選手に非があるという裁定があったのですが、レース中のアクシデントですからね。それ以上でも以下でもない。

 ネットで騒がれているようですが、選手やチームへの行き過ぎた非難はどうかと思います。

 どでかいグランドスタンドに日本国旗。角田選手の応援。

 リカルド選手のマシンに新しいシャーシが入りました。その影響なのか出だしは好調でした。

 角田選手の不調とは逆にいい流れをつかんだかに見えたんですが、レースでストロール選手に追突されてリタイアとなりました。

 チームとしても2台リタイアという残念な結果となってしまいました。次戦以降の巻き返しに期待したいところです。

 周冠宇選手の次に人気なのがハミルトン選手。

 ドラパレが中止になった代わりに、ホームストレートでインタビューセッションがありました。流石の人気者です。

 メルセデスにとって、ハミルトン選手というチャンピオンが居ることでスポンサーが付いていたこともあるわけですから、来期以降がちょっと心配です。

 ヒュルケンベルグ選手が10位入賞! 素晴らしい!

 展開によっては、もっと上位も狙えたのかな?

 小松代表、今回は話ができませんでしたが、アップデートをしてポイントも獲得できたしよかったのかな。

 予選からのマグヌッセン選手のペースが今ひとつだったことが、ちょっと心配だけど……。

 選手権は7位のまま6位のRBに2ポイント差。

 シューマッハ選手のカラーリングにそっくりなカラーリングのヘルメット。ジョージって書いてあるのかな?

 右がアストンマーティンの羽下デザイナー、お久しぶりです!

 左がご存知、元ホンダ広報で現在レッドブルマーケティング担当の鈴木さん、おふたりともイギリス在住です。

 話題に上がっていた路面。確かに塗った感じに見えますけど、結果的に大きな問題にはならなかった。

 これはスプリントレース中です。なんとマーシャルさんがコースに出て、しかも寝て、しかもスマホで写真を撮っているという珍事。こんなことは長い取材の中で見たのは初めてです。

 これは、完璧にNG!

 中国GPが始まったときには各ポストにヨーロッパからマーシャルさんが来てマーシャルの仕事を伝授していたのですが、5年の空白があったためなのか分かりませんが、自由過ぎる雰囲気になってました。危険とかいう以前の問題、非常に残念です!

 ビックリいたしました。

 ヤオ・ミンさん、元NBAで大活躍したバスケットボール選手です。身長229cmだそうです。

 なんと言っても、今回は周冠宇選手のグランプリでした。お客さんからの圧倒的な声援の大きさが非常に印象に残りました。

 次戦はマイアミGP。僕はお休みします。

 なぜならば、むっちゃ航空券代が高い、円安……どうしようもありません。個人事業主として太刀打ちできないからです。

 テレビ観戦します。よいレースになりますように!

 では、次回はエミリア・ロマーニャGPで!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。