F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第135回:最後のオランダGPはマクラーレンのノリス選手が優勝! そして「Welcome back, 角田裕毅!!」

 オランダGP。ザントフォールトでの開催は今年で最後。

 このサーキットの歴史は古くて最初のF1イベントは1948年、世界選手権としての初開催は1952年でフェラーリのアルベルト・アスカリ選手が優勝しています。

 近年の開催は2021年からでした。フェルスタッペン選手のための開催と言っても全く誰も文句を言わないようなサーキット内の雰囲気。

 6回目の開催で最後というのは残念至極です……。なぜならば、ここで写真を撮るのが大好きだから。

 古いサーキットなので、走るマシンまでの距離が近く、アップダウンもあるし、おまけにバンクが2か所もある。海辺だからなのか、天候がコロコロ変化して空の表情も素晴らしい。

 モナコと同じくらい好きなサーキット。

 毎年満員のお客さんが来ていても、続けることができないという仕組みが理解不能であります。

 今年は涼しくて、日本から来ると少し肌寒く感じるほどでした。

 日本から出る前に、最後のザントフォールトを気合いで撮らなきゃって気合いを入れていたら、なんと角田選手が走るというニュース。

 アジャー選手の手首の負傷で、レッドブルにローソン選手が乗り、RBに角田選手ということ。

 そんなときのためのリザーブドライバーですから、順当なことなんですけれど、日本人レースドライバー不在の中でやっぱり嬉しいですよね。

 もちろん、多くの角田選手ファンの皆さんは盛り上がりましたよね。日本では盛り上がってるよって伝えたら、「それは本当によかったです」って。

 角田選手にとってみれば、RBというチームはよく知っているものの、今年のマシンは初めて乗ることになったわけですが、FP1が17位。スプリント予選が12位。スプリントレースが13位。予選が12位という結果。コースもよく知っているとはいえ、よく頑張ったと思います。

 レースは11位。コースアウトしてしまったのが残念でした。

 終始表情が明るくて、本人のコメントにあるように楽しんでレースできたのが何よりよかったと思います。

 次のモンツァで、また乗れるのかどうかはアジャー選手のケガの回復の状態によるのですが、僕個人的には、慣れたRBのマシンでもう1戦くらい乗ってほしいなあと思います。

 レッドブルのローソン選手。

 ローソン選手にとってレッドブルのマシンというのはいい思い出はないと思うのですが、上のチームのマシンに乗るチャンスがあればもちろん乗るという選択は当然。

 でも、また2025年のときのような事態になったら今後の選手生命に影響は必至の状況です。ですから、そのプレッシャーは角田選手よりも全然大きかったのではないでしょうか。

 FP1、14位。スプリント予選、11位。スプリントレース、11位。予選、8位(フェルスタッペン選手7位)レース、7位。

 予選でタイムを出し、レースでしっかりとポイントを持ち帰るという結果を出しました。これは、本当に素晴らしいと思います。自信にもつながったし、今後にもよい影響をもたらしたと思います。

 体調がわるかったというフェルスタッペン選手。

 この写真は、日曜日のグリッドに向かう前のガレージの中で、雨が降り始めたことをエンジニアのランビアーゼさんと話しているところ。

 マシンの状態がイマイチという中で雨というのは、フェルスタッペン選手にとってみれば恵みの雨、チャンスが来たという表情だったのかもしれないと思いました。

 スタートして最初のラップを最終コーナーの丘の上から撮影していました。このとき、ドンという大きな音が聞こえました。

 わかりにくいですけど、観客席に大きな部品が飛んでいます。2個。見えましたか??

 そして、僕はとっさにレンズを下に振りました。連続写真でどうぞ。

 ファインダーの中で横切っていくのは、まさか、この日の主役のフェルスタッペン選手でした。最終コーナーの縁石、濡れているところを走ってしまったのが原因。

 外れた左後輪タイヤの動きに注目して、もう一度見てください。皆さんよく避けています。

 後から知ったのですが、ボルトレート選手もスピンしていたんですね。僕はこのときは知らなかったです。ヒュルケンベルグ選手が避けている映像を見ましたが、危なかったです。結果、ぶつからなくてよかった。

 フェルスタッペン選手のこのクラッシュも、ケガがなくて本当によかった。多くのフェルスタッペンファンにとっては、残念なレースとなってしまいました。

 優勝は、ノリス選手。マクラーレンは、このサーキットで速いんですよね。

 ピアストリ選手のスピードが最近見れないのが心配。

 アロンソ選手がなんと1ストップで9位入賞。2ポイント獲得。さすがです。

 車体もPUもアップデートした結果がポイントにつながりました。

 ホンダの折原さん。2ポイントゲットの2。

折原さん:PUの出力というところではトップチームに負けているので、PUでポイントを取ったと素直にガッツポーズできるような状況ではないですが、ハンガリーから車体のアップデートが効いてポイントが取れたと思っています。ホンダとしてドライバビリティの問題があるので引き続き改善していきたいと思います。

熱田:ドライバビリティの問題というのは、具体的にどういうことなのでしょうか?

折原さん:ドライバーがアクセルを踏んでこのくらいのトルクを出したいと思ったときに、その通りにトルクを出せれば気持ちよく操縦できるのですが、ドライバーがアクセルを一定に保ってコーナーを曲がっているときに突然ポコんとトルクが出てしまうと、ドライバーが意図してない動きになるのでコーナーで外にラインがズレてしまいます。そういう事象が毎回同じところで出ればドライバーは対応できるのですが、ラップによって違ってくると、マージンを持って走らざるを得なくなるということが起こっているんです。

熱田:その事象を改善するには、そんなに難しいのでしょうか?

折原さん:そのトルクを実現するのに、MGU-Kの回生をエンジンの出力がどれくらい補完するのか、その割合が常に変化するんです。エンジンとMGU-Kの協調制御になるのですが、燃焼のキャラクターがまだ制御できていないということです。マッピングの1つの課題です。

熱田:今回スペック2を入れて2ポイント獲得できたわけですが、率直な感想はいかがですか?

折原さん:スペック2を入れてやらなければいけない課題の大きさはわかっていますので、それを考えるとホッとしたという感じではないですが、一方でポイントが取れた結果がついてきたという嬉しさはあります。

 次のモンツァは出力重視のサーキットなので厳しそうですが、着実に前を向いて進んでいるホンダ。少しずつよくなっていきます。応援していきたいです。

 ハース。今回は2台ともリタイアとなりました。次戦のイタリアでアップデートが入ります! どうなりますか楽しみです。

 リンドブラッド選手がペナルティでドライブスルーに入ります。

 そして、角田選手の追い上げをアシストするために走る。初めて走ったサーキットでチームのために仕事をしました。

 速さもあるし、これからが楽しみなリンドブラッド選手でした!

 ヒュルケンベルグ選手、予選13位から8位入賞。これはまた素晴らしいレースでした。さすがです。

 今回のレンタカーはルノー・クリオ。ハイブリッドです。電池が頑張って走るクルマです。充電のためのエンジンが回るときの振動と安っぽい音が気になって仕方ない。エンジンだけのクルマのほうがいいかなって感じ。もったいない。

 角田選手のお知り合いかな?

 ヤン・ラマースさんのF1開催最後に向けたリリースが日曜日の朝に配られました。素晴らしい景色をありがとうございました!

 土曜日、コース脇を歩いていたら、「熱田さ~ん!」って声をかけていただきました。

 このマックスマントは、僕のトークショーのじゃんけん大会でゲットしたものらしいです! ありがとうございました!

 日曜日の夜は最後ではありませんでした。メディセンターでお世話になった方とあいさつを交わして、サーキットを後にしました。

 しばらくの開催がないと思うと残念でなりません。

 次戦はイタリアGP。角田選手の出番はあるのか?

 パスタとピザを楽しみに向かいたいと思います。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。