F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第136回:メルセデスのアントネッリ選手が19番グリッドから追い上げて優勝! 角田選手も奮闘してポイントを獲得したイタリアGP

 イタリアGP。モンツァサーキット。連日とても暑かった。

 そんな暑さをぶっ飛ばすほどのレースを見せてくれたのが、アントネッリ選手でした。

 PU(パワーユニット)交換で19番グリッドからスタートして優勝! しかも地元GP、20歳になったばかりでF1参戦2年目です。

 フェラーリ応援で来ていたティフォシの皆さんの心は、全てアントネッリ選手へと移っていったと思います。表彰式のときの雰囲気は最高でした。

 上の写真は、終盤にアントネッリ選手が首位のラッセル選手を捉えようとする場面です。1コーナーに向けてアプローチして、ブレーキングする少し前。

 モンツァサーキットには4本の長い直線があり、今年のレギュレーションのマシンだとバッテリの充電切れで加速していかなくなってしまうという状況だと思います。

 ちなみにどのくらいラップタイムが遅くなったのかというと、昨年のポールポジションがフェルスタッペン選手の1:18.792。今年はガスリー選手の1:21.786です。ほぼ3秒遅くなりました。

 ドライバーからすると、アクセルを踏んでも加速が止まってしまうので、マシンの速いラップタイムを得るためには、ブレーキを早めに踏んだり、コーナーでゆっくりアクセルを踏んだりする必要があります。これまでのブレーキをなるべく我慢したり、なるべく早くアクセルを踏んだりすることとは全く違うドライビングをしなければなりません。だからドライバーからするとものすごくフラストレーションがたまるわけです。

 コーナーの手前、立ち上がりで抜きつ抜かれつの状態は、ギリギリの攻防ではなく、マシンのエネルギーが残っているかいないかで決まっているという状況なんですね。

 でも、そのおかげで、見る方にとっては追い抜きがたくさん見られて、その様子を見て盛り上がれるし、面白かったということになるわけです。

 実際、コース脇で見ていても、そのスピードが遅くなってつまらないということは感じられず、速いF1であることは変わりないんですね。

 これまで、F1の追い抜きの場面が少ないからつまらないということを改善しようと、いろいろとレギュレーションが変わってきました。DRSもそうですよね。

 見にきているお客さん、テレビを見ている人に向けては、大成功のレギュレーション。でも走っているドライバーからすればなんじゃそりゃ……超つまらねえじゃねーか! となっているわけです。

 でも、そんなマシンでも、速いマシンは速いし、うまいドライバーは速く走れるということは変わりません。

 角田選手、今回を含め、オランダ、イタリア、スペインと、3戦RBから出れることになりました。

 リザーブドライバーという立場でいることは、耐えることです。ほとんどのリザーブドライバーというのは、サーキットに来て、セッション中モニターを見つめ、無線を聴き、イベントでトークして、スポンサーの接待をするという時間を過ごすわけです。何かない限りそうやって1年が過ぎていくわけです。

 その地位を得るために多額の資金をチームに払っているドライバーも多いわけです。

 少なくともそういう意味で、今回の角田選手の出走は本当にラッキーですよね。アジャー選手には申し訳ないけれど、このラッキーを存分に生かして次につなげてほしいし、われわれメディアも伝えなければいけないし、ファンの皆さんも存分に楽しんでほしいと思います。

 予選は17位。レースはミディアムタイヤをうまく使って10位入賞、1ポイントを得ることができました。

 2回目のスタート時にグリッドを間違えてしまって、再スタートの原因を作ってしまったのですが、おとがめなしということになり、これもラッキーではないでしょうか?

 まあ、他のチームからすれば、「おいおい」となるのは当然ですけどね。

 スペインのコースはまた違った展開になるでしょうから、そこにどのように挑むのか、頑張っていただきたいと思います。

 ポールポジションはガスリー選手でした。素晴らしいですね。

 チームもこのコースに合ったクルマを用意できたと思います。ブリアトーレさんの手腕という考え方もできますよね。

 木曜日、アルピーヌのクルマの横に立ってポーズをとるガスリー選手。このときにはポールを取れるなんて誰も思ってなかったと思います。

 このモンツァサーキットは、コースの特性上、ときどき予想もしないマシンが速かったりするのが過去にもありました。だからこそ、楽しい!

 1回目のスタート。

 2回目のスタート。

 フェラーリは今回シューマッハ選手の加入30周年記念で、マシンのカラーリングを1996年のマシンに合わせてきました。まあ、そんなに変わった印象もなかったかな。

 1回目のスタートで、同志討ち。ハミルトン選手が遅れてしまいました。あとでいろいろ言いたくもなりますが、いつものことです。

 ルクレール選手はパラボリカでクラッシュ。その後が心配です。

 アストンマーティンホンダ。事前の予想通り、遅かったですね。

 スペック2になったホンダPUも、このサーキットではその能力は全く足りなかった。

 ホンダの皆さんは苦しいでしょうね。ホンダが好きな皆さんもガッカリでしょうね。

 でも、この高速サーキットでこれが、現状のホンダPUの実力です。ドライバーと車体のスピードをタイヤに伝える力が他のメーカーに比べて少なかった。

 ストロール選手は1コーナーで油圧の問題で止めました。アロンソ選手はマシンの状況がわるくガレージに戻りました。

 車体のパフォーマンスは中段勢くらいの位置にいるのではないでしょうか。あとは、ホンダ次第ということになるのです。

 今後も、まあまあいけるサーキットとダメなサーキットが出てくると思われます。辛抱強く待つしかありません。

 ハース。待ちに待った車体のアップデート。一定の効果は確認できたのではないでしょうか。

 予選でベアマン選手が12位、オコン選手が16位。レースではポイント取れず。

 岩佐選手がFP1でフェルスタッペン選手のマシンに乗りました。

 F2宮田選手が日曜日のレースで5位入賞でした!

 F3は加藤選手大活躍でした。土曜日のレースで優勝!

 日曜日のレースでも3位表彰台獲得。しばらくうまくいかないレースが続いていたので、よかったです!

 ベッテルさんが、シューマッハ選手のF2002でデモラン。やっぱりいい音していました!

 F3の日曜日のレース、ランキングトップのスレーター選手のマシンからタイヤが取れて、それを受け止めたマーシャルさんが素晴らしい。

 でも、ケガしないようにしてほしいです。お客さんから大きな拍手が送られていました。

 小松さんが、イギリスに引き続き古いF1で走りました。今回はアローズA11でした。まだ話が聞けていないので、後ほど聞いてアップしますね。

 オランダGPの後、僕は日本に帰らずイタリアミラノに飛んで、アパートにずっと引きこもり、データの整理とか洗濯をして過ごしました。

 この時期の航空券が高いので、現地にいた方が安く済むからです。

 1週間滞在したアパート。キッチン付きです。

 一番近いスーパーが歩いて40分という若干過酷な状況でした。

 やっぱり、イタリアのスーパーのパスタの量は半端ないです。この倍以上の面積がパスタ売り場。

 やっぱり、バリラですかね。一箱173円。安いね。

 自炊生活。貴重なたぬきそばがおいしかった!

 普通のスーパーに売っているモッツアレラチーズとかトマトがおいしかった。

 レンタカーはルノー・キャプチャー、6速マニュアル。

 いいクルマに違いないと思って走り始めると、極低速のクラッチをつなぎ始めるときのトルクがなくて、すごくもどかしい。

 モード切り替えもあっていろいろ試したけど、そのつなぎ始めのトルクがないのはどれも一緒。とても残念でした。

 大好きな撮影場所のパラボリカ(アルボレート)。その場所のマーシャルさんたち。

 今年もコーヒーをいただいたり、お世話になりました! また来年!

 次戦は、初開催のマドリード、マドリンクです。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。