日下部保雄の悠悠閑閑

久しぶりの新型車、三菱自動車のミッドサイズSUV「エクリプス クロス」

 この季節、どうしても雪や氷の話題が多くなる。前回に続いて今回も雪の話。場所は旭川から千歳に移動する。三菱自動車のミッドサイズSUV、「エクリプス クロス」にクローズドの雪上コースで乗るチャンスがあった。この4年、苦節の中で新型車を出せていなかった三菱が久々投入する渾身の一作だ。私にとって三菱車はラリードライバー時代の基礎を作ってくれた。

 プライベート時代、初代のギャランでドライビングに閃きのようなものを感じさせてくれたし、ランサーターボではターボカーのドライビングを、コルディア(知ってます?)で4WDってどんなだろうと、雪から舗装まで実戦参加でデータを収集した。といっても今のようにデータロガーなど積んでいない時代だから、官能評価が中心だったけど、それはそれでよい時代だった。というわけでエクリプス クロスに話を戻そう。

 エクリプス クロスは新開発の250Nmを発揮する1.5リッターの直噴ターボで、2WD(FF)と4WD(三菱の場合なんとなくヨンクと呼びたくなるけど)があり、雪上で乗ったのはもちろんヨンク。三菱がこだわり抜いて作ってきた4輪をコントロールする技術、S-AWDを進化させたものだ。AUTO/SNOW/GRAVELモードを備え、前後のトルク配分と前輪にかけるブレーキAYCで路面への適合性がより分かりやすく、制御も明確になったのが特徴だ。

 雪上、一部アイスバーンでどのモードも試したがAUTOは前後のトルク配分のレスポンスがゆったりしており、姿勢の挙動が穏やかだ。ま、オールマイティね。SNOWは路面に応じてレスポンスがシャープになって、路面に適合させる技術が格段に上がっている。これで雪道はだいぶ走りやすい。

 ただ、本音を言うとGRAVELモードでASCを切って走ると頭のスイッチがカチリと入る。普通に走るとややこしいのだが、前後のトルク配分が50:50でLOCKに近くなるので、最初に曲げるきっかけさえつければ、トラクションがかけやすくドライビングスタイルを一定にできる。正直、遊んでるだけなんだけど……。そんなことも許してくれそうなのがエクリプス クロスだった。三菱にとって久しぶりの新型。がんばれ!

 と言いながら、ルノー/日産/三菱連合はいつの間にか2017年世界第2位のメーカーになっていました。分からんもんですな……。

日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/16~17年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。