日下部保雄の悠悠閑閑
小浜島に行ってきた
2018年7月16日 00:00
春に見たクジラが忘れられなくてまた沖縄に行ってきた。前回の沖縄から帰ってすぐにツアーを手配し、「この日はいません!」オーラを最大限発し、その後入ってきた仕事もすべてなかったことにしての休暇で、意気込みも違う!
今度はもっと南に行こう、そして何もしないでノンビリしよう、と決意して選んだのは、石垣島からさらにフェリーで30分の小浜島である。この近海には小島が多数浮かんでいるが、東京から直行便があるのは石垣島だけ。そこからフェリーで西表島や今回訪れた小浜島、竹冨島などに行くことになる。
実はのんびりしようという気持ちだけで、事前のリサーチはまるで欠けていた。フェリーの予約までは取ってあったが、肝心の小浜島がどこにあるのか直前まで知らなかったのだ。なんたることか。
調べてみると、小浜島は八重山列島に属し、石垣島のすぐ西にある竹冨島のさらに西にある小さな島だ。近くには無人島が群在する。
折から発生した台風は石垣島をかすめて過ぎていったが、石垣島の人に聞くと、意外と台風は逸れていくことが多いそうだ。羽田では欠航便が相次ぐ中、石垣島には条件付きながらほぼ定時運行ができ、しかも機材は787。安定感のある飛行が気に入っている。
湧き上がる雲の合間を縫うように飛ぶANA便は揺れもなく快適なフライトで南ぬ島 石垣空港に着陸した。
空港からはタクシーでサトウキビ畑の中を抜けながら石垣港に向かい、台風の余波の残る海を小さなフェリーで小浜島へ向かう。約30分の航海で小浜港に着き、迎えのバスに乗る。小浜島は人口600名ほどの小さな島。島内を走る路線バスもタクシーも信号も、ついでに言えばコンビニもないが、ノンビリしているのが魅力だ。
雨上がりの小浜島では素晴らしく大きな虹がかかり、感激だった。さらに、夕闇が迫ると何とも言えない夕焼けが素晴らしい。周囲がだんだん闇に包まれていくのも、時間の流れを感じられて愛おしくさえある。
翌日はノンビリとした朝を過ごしてからビーチに行ってみる。小浜島への観光客は若い人がほとんどだが、家族連れも多い。カップルは八重山列島の小島にアドベンチャークルーズに出かけるようで、ビーチには比較的、人が少ない。折からの台風の余波からか海は少し濁っているが、紫外線が強く日に焼ける。ぼんやりと海辺でまどろみながら過ごしてから、オープンカフェでビールを飲む。うーん、最高だ!
滞在2日目には小浜島を自転車で回ってみる。周囲約16kmの島だから自転車でもさほど時間はかからない。しかも電動アシスト自転車だゾ。
小浜島は朝の連続TVドラマで国仲涼子さんが主演した「ちゅらさん」のロケ地になったところで、小浜集落はシュガーロードというまっすぐな道の先にあり、ほぼ島の真ん中だ。舞台となった民宿「こはぐら荘」はロケ後は空き家になっていたが、最近は再び民家として使われている。度々私たちのような観光客が来るらしく、私有地だから入らないようにとの看板があった。
島で一番高い山は大岳という海抜99mの山。島のどこからでも見え、島の象徴的存在なので麓まで行ってみる。すぐそこが頂上なので登れそうな気がしたが、先を急ぎマングローブの森が迫る石長田海岸まで一気に降りる、と言っても距離はいくらもない。潮風に吹かれると汗も引いて気持ちがいいし、初めて見る海に生えるマングローブの森は新鮮だった。
さらに島の最西端にある細崎漁港まで長い道(と思った)をエッチラオッチラとペダルを漕いで行ってみた。右手に広がるマングローブの森が目に優しく、本州の海岸とはまるで風景が違う。向こうの山までもうすぐだと思ったら、なんとその山は西表島。泳ぎの達者な人ならザブンと飛び込んで行けそうなくらい近い。港の食堂で遅い昼食を注文したが、そのボリュームと価格に圧倒された。ここの魚フライはお勧め!
往路は道草を食ったので時間がかかったが、ホテルまでの復路は意外と近く、右手に海を見ながらペダルを漕いでいたらすぐに着いてしまった。湿った空気だが、それほど暑くなく気持ちがいい。
島は意外とアップダウンがあって、電気のアシストがなければ結構大変だったかもしれない。ハイブリッドを自分で実践しているようなものだ。しかし、クルマではなかなか味わえない空気や匂いを楽しみながらの自転車巡りもなかなか楽しかった。
夜は満天の星空に南十字星が見えた……はずだったが、曇り空でさすがにそれは適わない。しかし、スマートフォンの星座アプリでかすかに見えるさそり座のアンタレスを見つけて、その下にあるはずの南十字星を探してみる。にわかプラネタリウムはなかなか楽しい。
3日間の旅は意外なほど呆気なく終わってしまった。しかしわが家には寂しがりやのネコが首を長くして待っている。きっと夜になるとミャーミャー鳴いて探しまわったに違いない。旅の思い出はこの辺にして、ネコたちの待つウチに帰ろう。
ちなみに、帰りは777-200という機体で、幸いに復路も大して揺れずに羽田に着陸した。最後まで飛行機が好きだな……。