日下部保雄の悠悠閑閑
ネコについての考察
2018年7月23日 00:00
以前にこのコラムで次男一家の居候ネコ「ウメ」と「モモ」の話をしたが、その後、約1週間の滞在を経て引っ越しした新居に引き取られていった。悠々と日向ぼっこをしながら、のびのびと過ごしているようだ。また会いに行かねば……。
今日登場するネコはわが家の老ハンター「サスケ」と、同居する娘たちのネコ「タイガー」と「トバ」である。
実は、サスケは娘が小学生の時に救ってきたネコで、炎天下に悲惨な状況で捨てられていた。その後、成猫するに従って一晩に何匹もネズミを捕ってくるハンターに成長して、そのたびに家人が悲鳴を上げるという修羅場を作ってきた。最近はさすがに寄る年波には勝てず、丸くなって寝ていることが多いが、それでも時折思い出したように出撃して、成果を上げてくる。
タイガーとトバも、生まれたばかりの子猫の時に娘が救助した。カラスにいじめられていたのを助け出してきたのだ。今やすっかり大人になって子猫時代の愛らしさはすっかり影を潜めたが、やることはあいかわらず家人を飽きさせない。
そして、タイガーとトバはサスケと違って完全な家猫で外には出ない。というか出してもらえない。いつもは娘たちとゴロゴロしているが、時々私たちのリビングに誘うと嬉々として、そしてイソイソとやってくる。ベランダに出してもらえて、外の空気に触れられるのが嬉しいらしい。
いつもベランダから外の景色を眺めているし、ベランダで寝転んで遊ぶのも大好きだ。特に白黒のブチ猫「タイガー」はゴロンゴロンとまるでモップのように体をこすりつける。おかげでベランダの床はいつもきれいに磨かれている。タイガーとは勇ましい名前だが、こやつは名前とは裏腹に極端に臆病で、来客があるといつの間にか消えてしまう。ほんとに気配を消してしまうので、どこに行ったかまるで分らない。探しまくると家具に隠れて擬態をしていたり、たんすの奥に入ったりしている。あたりが静かになるとようやく顔を見せるというありさまだ。まったく、サスケ先輩の雄々しさを見習ってほしいものだ。
一方、白ネコの「トバ」は好奇心旺盛。誰が来ても鼻を突きだして挨拶しようとする。ネコは好奇心旺盛な動物だが、トバは尋常ではない。自分の知らないものがあると、徹底的に知ろうとする。きっと外に出したら面白すぎて、当分帰ってこないんじゃないかと思う。そして2階のベランダでは手すりの外に座って飽きずに外を眺めている。ネコは高いところが平気だというが、足の幅しかない手すりの外で遊びまわっているので、こちらはヒヤヒヤだ。そのまま飛び降りてしまいそうである。
ある日、わが家で仕事をしていると、何か視線を感じた。ふと外を見ると、トバがいつものように手すりの外からこちらを見ていた。床を見たらタイガーがモップ作業にいそしんでいる。こんな時は下手に追いかけると逃げ回るので、そっとしておくことにしている。
何をするんだろうと見ていると「トバ」のやつは屋根を見上げている。オイオイ、いくら君でもその幅からジャンプして屋根に上るのは無理だぞ。それでもジャンピングポイントを変えれば飛び乗れるかもしれないと考えたのか、端から端まで移動しながら見上げている。「屋根に上れば別の世界が待ってるかもしれない」。はたまた「高い所に上ると世界を牛耳れる」と考えているのだろうか。
しばらく迷った末、ついに諦めたのか、遠い目で外の景色をぼんやり眺める。夕焼けに染まった姿は哀愁漂う。「おい、君の未来は大きいぞ」と声をかけたが、多分聞いていない……。
こいつには不思議なことがある。夜、静かになるとトバの耳の付近から「ピー」と音が聞こえてくるという。やはりこいつは宇宙人なのか……? 屋根に上りたがっているのは宇宙との交信のためか……? そして、娘によるとピー音が止まるとその日の営業は終了らしい。ホントか!?
いろいろ面白いことしてくれるわが家のネコたちである。