日下部保雄の悠悠閑閑
ネコたちとの生活
2018年4月9日 12:00
今の住所に住むようになってからずーっとネコが一緒にいる。もちろん、この地に住んでもう長いので代替わりしているけれど、どのネコたちともいい関係を築けていたと思う。もともと子供の時からネコやイヌがそばにいて、ちょっかい出しては顔に引っかき傷をもらって泣きべそばかりかいていたが、それでもいなくなった時はずーっと泣いていたらしい。
で、ウチのネコたちは伝統的に野菜や果物の名前を持っていた。多くのニャンコがいた時の寝床はまるで“野菜籠”のようだった。
さらに、以前は柴犬の「トマト」とウサギの「ナッツ」もいた時があって、さながら小動物園だ。ネコの「キャロット」とトマトは仲よく昼寝をしており、ウサギのナッツは時折わが家から脱走して、近所の八百屋さんで葉っぱを食べて逮捕されていた。八百屋のおじさんが「またお宅のウサギが来ているよ」とニコニコしながらキャベツではなくウサギを届けてくれるのだ。
話が逸れてしまったが、今のわが家には老いたニャンコが1匹だけになったが、今も現役でネズミをよく捕まえてくる。ところが連れ合いは、大抵の動物は大好きだがネズミだけはダメ。最初のころは「そら取ってきたよ」と目の前にポンと置かれるたびに修羅場になり、多い時には1晩に2匹も3匹も捕まえてくるので、悲鳴がわが家に響き渡るのであった。
そんな中で育ったせいで、成人した子供たちも大のネコ好きで、引っ越してきて同居する娘たちにも白と黒ぶちの2匹の兄弟ネコがいる。当然、彼らとも一緒に住むようになったが、一応仕切られていてニャンコの往来はできないようになっている。各ネコで性格が違って面白い。恥ずかしがりのやつもいるし、好奇心の塊みたいなのもいる。うちの先輩ネコはやたら偉そうな割には臆病で、すぐに1人になりたがる。なかなか3人、いや3匹を見ているだけで面白いのである。
そんな毎日に、次男のところの「ウメ」と「モモ」という姉妹ネコを10日間ほど預かることになった。引っ越しのためである。ひとつ屋根の下にほぼ初対面のニャンコが5匹も同居するのである。ひと騒動だ。喧嘩こそしなかったけれど、抱きつくやつ、逃げ回るやつ、クローゼットの上に避難するやつ、おしっこするやつ、呆然とするやつ……。それぞれのニャンコを眺めているだけで癒されるが、兄弟ネコ、姉妹ネコと先輩ネコの3角関係を微妙に調整する能力が問われることになった。まるで人事のようだ。
余談ながら、自分としてはその昔、母猫のお産、子育てにわが子の子育てを随分勉強させてもらったように思うが、この年になって社会勉強までさせてもらうとは。何から何までニャンコには恩がある。お世話になります。
この3角関係の調整が終わるころになると居候のウメとモモはすっかり懐き、帰宅するやジャンピングしながらゴロゴロとすり寄ってくるのである。ほんとに癒される瞬間である。わが家の先輩ネコはそんな光景をわれ関せずと無視しているが、気にはしているのだ。だって耳はこちらを向いているもん。
しばしウメモモと遊んでから、彼女らのいる部屋からサヨナラをすると名残惜しそうに窓辺でこちらを見ている。再びキュンとするのである。
そんなウメモモも次男の引っ越しが落ち着いて、新居に帰っていった。いつもの窓辺にウメとモモの姿は見えない。今、ウメモモロスに悩まされている……。