日下部保雄の悠悠閑閑

レクサス「ES」での小旅行

レクサス「ES」

 レクサス「ES」の試乗会に行ってきた。通常の試乗会は60分から90分ぐらいの時間で行なわれることが多く、その時間で撮影やら試乗などを慌ただしく行なうので結構忙しい。レクサスの試乗会はロングドライブなのが特徴で、今回も山口宇部から秋吉台、日本海側の角島を経由して、福岡まで足を伸ばすという350kmに及ぶものだ。

 山口宇部空港でまずは初対面のESと挨拶となる。なかなか伸びやかで押し出し感がありレクサスらしい。ひとまず秋吉台までドライブし、秋吉台の中にある国際芸術村を起点として「F SPORT」と「version L」を乗り換えてドライブする。

 宇部山口空港で最初に乗ったのはversion L。235/45 R18タイヤを履き、滑らかな路面を流れるように走り、田舎道からやがて秋吉台に入った。インテリアの造詣もレクサスらしい新しさが感じられ、華やかだ。

 秋吉台は山口県東部に広がるカルスト台地。石灰岩などが雨などの浸食によってできた石灰岩柱が台地にニョキニョキと生えている奇観は、ずーっと見ていても飽ない。

秋吉台。石灰岩柱がニョキニョキ生えている

 400にも上ると言われる鍾乳洞も有名だが、閉所恐怖症の自分にとっては縁のない場所だ。以前、別の鍾乳洞に何気なく入って、冷や汗をかいたことがある。酸素マスクを被るスキューバダイビングも全く駄目で、海に入った瞬間に溺れるかと思った。

 それはともかく、秋吉台で乗った235/40 R19を履いたF SPORTは、外観上も車高が低く見え、スポーツセダンらしい雰囲気を出している。乗り心地は多少ざらついた感じはあるが、ハンドルに伝わるグリップ感も高い。特にドライブモードをSPORT+にするとショックアブソーバーもハード側に振られるのでグイグイと曲がっていく。ただしハンドルの戻し側の力が弱かった。

 大径タイヤだが乗り心地に大きな影響を及ぼさず、小さな凹凸に対しても収束よく走り抜ける。ただ、version Lでも感じた対角線方向の段差に対してのバタンとした軽いショックはもう少し落ち着かせたいところだ。

 秋吉台は丘陵地帯だけあって、適度なアップダウンとワインディングロードが続き、ハンドリングを味わうにはなかなか楽しいコースだ。その昔、マツダのFC型「サバンナRX-7」でこのコースを駆け抜けたのが懐かしく思い出された。

 カムリから始まった新しいダイナミックフォースエンジンも、低速からトルクを出しているのでハイブリッドとの相性もよく、滑らかな加速を楽しめる。ハイブリッド特有のラバーバンドフィールも、全開にしなければそれほど感じることもなく、軽いアップダウンを気持ちよく走れた。

 秋吉台から日本海側の角島に進む。ここはエメラルドグリーンの海に浮かぶ角島にかかる角島大橋からの景観が素晴らしく、TVCMなどでも使われているので目にした方も多いのではないだろうか。しかし、今日の大橋は片側交互通行の工事中。曇り空だったのでエメラルドグリーンの海の魅力も半減だったが、その魅力の片鱗を知ることができただけでも幸せだ。海岸線も整理されており、岩に群れる海鵜が心を和ませる。

エメラルドグリーンの海が綺麗な角島。この日は曇り空ではあったが、魅力の片鱗を感じられた

 ところで、世界初となるデジタルアウターミラー。最初は違和感があったが、慣れるに従って気に入った。左右の目線移動が最小で、ミラーによる死角も少なくてスッキリとした視界が予想以上に見やすかったのだ。アウターミラーはモニターに映るものを判断しているので詳細は分からなくてもよいからかもしれない。デジタルの特徴でウインカーを出すとワイドになるのも見やすい。

世界初搭載のデジタルアウターミラー。目線の移動が少なくて済むので、慣れると見やすい

 一方、すでに普及を始めているデジタルインナーミラーは遠近感がよく分からない。ところが、同乗した佐藤篤さんから「モニターとしてみればそれほど気になりませんよ」と言われミラーを傾けてみたら(カメラなのでどこを向けても映像は一緒だ)、なるほど、以前ほどの違和感はなくなった。人の感覚は対象物をどう認識するかによって左右されやすいものだと感じた。

 今後、ドラレコとの連携など発展しそうなデジタルミラー、新しいもの好きとしてはかなり魅力的だ。ちなみにアウターミラーが21万6000円、インナーミラーが10万8000円のオプション価格がついている。

 角島からは一路南下して中国自動車道を目指す。美祢では今はマツダの試験場になっている美祢サーキットの傍らを通った。相変わらずロールの少ないハンドリングは疲労感が少ない。周囲は徐々に薄暗くなってきたが、山口特有の黄色いガードレールがやけに目立つ。あまり好きではないが……。

 美祢サーキットはボクがグループAの全日本選手権で初めてBMW「M3」のハンドルを握ったコースだ。美祢は「ゴルフ」などのレースで何回か走っていたが、この時はスリックタイヤのあまりのハンドルの重さに壊れたかと思ったほどだ。こんなモンでほんとにレースできるのか? と真剣に驚いた。

 中国道の壇之浦PA(パーキングエリア)から後席に乗せてもらった。後席のヘッドクリアランスや肩まわり、そして足下も広くて居住空間は十分だ。ただ、幅広のアームレストは少しじゃま。後席を優先するカンパニーカーとしての使用なら、路面からの微振動がより少ないversion Lに分があるように感じた。

関門橋と記念撮影

 関門橋を渡り九州に入る。純正で機能的な大きなナビ画面に導かれて目的地のアゴーラ福岡山の上ホテルに到着。夜道も現在のLEDライトはワイドに照射して、マジ明るい。昔のラリー車は電気も食ったし、これほど明るくなかったなぁと改めて感じ入った次第である。

日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/16~17年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。