日下部保雄の悠悠閑閑
注目の新人と東京オートサロン、2019年1発目のレース
2019年1月21日 09:56
年が改まって、恒例になった自工会などの賀詞交歓会に出席した。最初に主催者側のスピーチがあり(例えば自工会の豊田章男会長)、業界トップの話は興味を引くし、話題も豊富で面白い。
また、モータースポーツ関係者の賀詞交歓会となる日本モータースポーツ記者会が主宰するJMSモータースポーツナイトにも出席。ここではモータースポーツ業界の新人からレジェンドまで多くの方が列席して、にぎやかなことこの上ない。
2019年のJMS注目の新人として、スーパーFJの日本一決定戦で優勝した三宅敦詞選手と、2019年からDTMのサポートレースとして開催される女性だけのフォーミュラレース「Wシリーズ」に参戦する小山美姫選手がアワードに選出された。以前このアワードを獲得した坪井翔選手の大活躍を見るまでもなく、このアワードは注目だ。2人のスピーチからはモータースポーツに無我夢中になっているのが痛いほど分かった。この2人の若者の将来に期待したい。まっすぐに進めよ!
さて、1月の大きなイベントには「東京オートサロン」がある。スタートは改造車の祭典だったが、メーカー系の出展が増えることでその規模は年々大きくなり、スポーツ車両をこの場で発表することも多くなってきた。イベント数も増えて盛りだくさんだ。
プレスデーと一般公開日の2日間に渡って行ってきたが、プレスデーから凄い人で人酔いしてしまった。
トヨタ自動車は「スープラ」のGTカーコンセプトを発表した。 GAZOO Racing Companyの友山社長のプレゼンで始まったプレスカンファレンスでは、2020年からのSUPER GTの参戦車両は現行のレクサス「LC」からスープラに変更すると発表された。
SUPER GTでは各車とも共通のモノコックを使用し、2.0リッターターボ直4エンジンの規定もあるので、直6スープラを見ることはできないが、シルエットは紛れもなく新型スープラ。またSUPER GTは華やかになるだろう。
驚いたのはダイハツ工業「コペン」がTOYOTA GAZOO Racingブースにあったことで、GR車両としてGAZOOカンパニーでも扱うことになったのは感慨深い。詳細は明らかにされていなかったが、トヨタの凄腕の手によるコペンは、どんなスポーツカーになるのだろう。
コペンでもう1つの話題は、ダイハツブースにクーペモデルが展示されていたことだ。こちらはCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)製のファストバックトップで、ガラスハッチが開閉できる。マイクロスポーツにとって悩みだったラゲッジスペースも確保できている。オープントップの軽快感はないが、どこかホワンとしたフランス車のような雰囲気を漂わせておりユニークだ。このクーペは実は以前のオートサロンでも展示されたことがあるが、いよいよ発売される。
本田技研工業のマイクロスポーツ「S660」はホンダアクセスから「Modulo Neo Classic Racer」が展示された。ホンダアクセスの「Neo Classic」をベースにしてファストバックとしているが、ワイド化されたリアフェンダーからすると大きなエンジンを搭載しているように見える。コペンのホワンとした雰囲気からするとこちらは“Racer”でホンダらしくレーシング魂満載だ。こちらは具体化されるかは未定だ。
いずれもファストバッククーペとしているところがこれからの流れを予感させているようで面白い。
あちらのブース、こちらのブースで旧交を暖めてから岡山に飛ぶ。年に何回か参加させてもらっている横浜ゴムの「ADVAN A050」を履いた「ベレット GTR」による旧車レースだ。今回は岡山国際サーキット。いつもの中山サーキットより大きな舞台でスピードレンジも高くなる。なかなか面白いコースだ。
しかし、今日のベレットは機嫌がわるい。エンジンも少しオイルが上がっているようでキレイに回らないし、鬼門のシフトがさらに入りにくくなっている。以前にも記載したがベレットのトランスミッションは4速が5速の位置にある。つまり3速にシフトダウンするにはU字型にシフトしないといけないのだが、今日はことさら機嫌がわるく、3速に入らない。心を込めてソーっとシフトすると入るのだが、それもやってみないと分からないというのは悩ましい。
レースで酷使してリンケージがおかしくなっているようだ。それでも予選までは何とか入っていた。
ボクの出たスプリントレースの予選では、2台の速いMINIと「ロータス エラン」に前に行かれて4番手だった。決勝レースのスタートで前に出ればチャンスはあるかもと思っていたが、またしてもスタートでしくじって出遅れ、3速で旋回するアトウッドカーブではシフトダウンできないでもたもたしているうちにインに押し込まれてしまい、後続グループに飲み込まれてしまった。
少しでもポジションを上げようと努力をするが、結局トップグループとは直線1本分開いてフィニッシュとなった。しかし、トランスミッションはとうとう3速に入ったまま抜けなくなってしまったので、ゴールできただけでも幸いだったかもしれない。
今回の岡山には美しいアルピーヌも走った。小排気量ながら高速の伸びなどは空力に優れたボディの賜物だと感じた。
そして、旧知の元三菱ワークスの古茶さんが持ち込んだロータス エランは相変わらずの仕上がりで、エンジンもよく回っている。FRPの軽量ボディにフロントミッドシップのレイアウトなど、ライトウェイトスポーツカーの見本だ。ただしサービス性はまったくわるそうだ。
今回は年明けの業界のごあいさつと、年初1発目のレースでした。