日下部保雄の悠悠閑閑

伊東の花火とシャボテン公園

伊東の花火

 2019年も恒例になっている伊東の花火に行ってきた。伊東の花火は徳川家康の外交顧問だったウィリアム・アダムス、日本名:三浦按針の功績をたたえて開催される按針祭の華だ。

 実は子供のころの数年間、伊東に住んでいたので按針祭はなじみがあり、花火は旅館の上の階からよく見えた。まわりに高い建物がなかったのどかな時代である。

 今は縁もなくなってしまった伊東だが、それでも毎年花火を見に行くのはいくらかの郷愁もある。

 三浦按針は関ヶ原の戦いがあった1600年に豊後に漂着したイギリス人。船乗りとして油の乗ったころに漂着してしまったが、誠実な人柄が徳川家康に気に入られて旗本になったとされる。なぜ伊東で按針祭かといえば、家康の依頼でアダムスが伊東の砂浜に日本初の造船ドックを作り、洋式帆船を完成させたことを出典としている。

 今年で73回目を迎える按針祭の花火大会は幸いに天候がよく、オレンジビーチ(昔はこんなしゃれた名前はついていなかった)の観覧席からは大きな花火が打ち上がるのを見上げることができた。

 ちなみに海岸はすべて観客席。沖には大型客船の飛鳥IIも停泊して洋上からの花火見物を楽しんでいる。羨ましいゾ。

 すぐそばの埠頭から頭上高く打ち上がる花火は大きく迫力満点! ドーンという大きな音と共に大玉が次々と上がる光景は「ナツー!」という感じだ。花火が開くたびにどよめきが上がり、花火の合間には拍手も起こる。結構家族的な雰囲気で花火大会は進行する。

 20時から始まった花火は21時ピッタリに終了。ずっと頭上を見上げていたので首が痛くなった。今年は特に大きくきれいな伊東の花火を満喫することができた。

 ところで、最近の花火は煙があまり出ないのだろうか。微風があったとはいえ、煙に邪魔されることなく、キレイに花火を見ることができた。

 宿泊した陽気館から夜店でごった返す道をユックリ歩いて往復約2時間。それでも夏の花火で一瞬の涼を得ることができた。もちろん、宿に戻ってから温泉に直行しましたけどね。

東海館は伊東温泉を象徴する松川にたたずむ旅館で、見学はできるけれども宿泊はできない

 翌日のプランは例のごとくナニも考えていなかったので、行き当たりばったりで城ケ崎とシャボテン公園に行くことに。何しろ帰りの電車の時間が決まっているので特急で回らなければならない。

 城ケ崎海岸は約4000年前に大室山の火山噴火で流れ出した溶岩が海岸線まで到達し、その後に海の浸食作用で荒々しい地形になったと言われる。

 この日は台風の影響で強い波が押し寄せて、海岸線は白く泡立って昨夜の花火に負けず劣らず迫力満点。名所の門脇吊橋から見る景色も、いつも以上に海の激しさを感じさせる。

荒々しい城ケ崎海岸

 随分前に来た時はもっと頼りない吊り橋で、風でも吹こうものなら立ちすくむほど怖かったが、現在の門脇吊橋はがっしりとしたロープで安定している。それでも時折大きな周期で揺れるとなんとなく居心地がわるい。海面までの高さは23mとされているが、もっと高く感じるので早々に渡り切る。

名所の門脇吊橋

 約20分の滞在時間で城ケ崎海岸を後にして、伊豆シャボテン公園に向かう。

 ここでは温泉に入るカピバラがお目当てだが、それだけでなくいろんな動物を近くで見ることができるので、何回来ても飽きない。柵で囲まれた中ではカピバラが自由に歩きまわり、餌も貰えるので人に懐いている。もともとおとなしいうえに、撫でるとさらに体を伸ばす奴もいるほどだ。

なでなでされるカピバラ

 肝心の温泉には1匹しか入っていなかった。考えてみればこの暑いさなかに温泉に入るカピバラも相当変わった奴なんだろう。人間みたいにひと汗かいてスッキリともいかないだろうし……。でも、気持ちよさそうに目をつぶり、演技力は一流である。

温泉に入るカピバラ

 人間も避難するつもりで冷房のある棟に入ってみたら、いるじゃありませんか、旭川でも会ったレッサーパンダが。ここでは2匹が活発に動きまわっており、やはり人懐っこい。1匹は出張で来ているとかで、動物たちもいろいろと忙しい。

人気者のレッサーパンダ

 片隅では小さな生き物がプラスチックケースの中で動き回っていた。わが家にも居候しているヒョウモントカゲモドキである。トカゲモドキというから本当は何だろうと思ったが、ヤモリの仲間だそうな。ただヤモリと違って壁などを這うことができないので、地表を歩いているだけ。きれいな模様でいつも笑ったような顔をしており人懐っこい。わが家のヒョウモントカゲモドキは着々と家族を増やしている。この先どうなることやらちょっと心配。

ヒョウモントカゲモドキとあいさつする孫娘

 シャボテン公園も滞在時間1時間半で早々に後にして、伊東駅からの踊り子号に間に合いました。

 昨年に続けての伊東の花火とシャボテン公園へのショートトリップは瞬く間に終了。まだまだ続くぞ、夏休み!

日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/16~17年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。