日下部保雄の悠悠閑閑
スポーツの秋
2019年10月14日 00:00
毎年恒例の旧車レース、DAD'S CIRCUIT MEETING “SCENE IN THE 60’s”。倉敷に住む日下総一郎君所有のおなじみ「ベレット GTR」での参加だ。今回の開催コースは岡山の中山サーキットとなる。2019年1月の岡山国際サーキットでのレースは晴天だったが、特異なシフトパターンのギヤが入らなくなり苦戦した。今回は日下君から「エンジンもトランスミッションもオーバーホールして好調!」と声を弾ませての連絡があった。4年ほど開けていなかったベレットのエンジンはライフ終盤でも元気に回っていたものの、メタルはペラペラになっていたらしい。
レース当日は台風の影響もあって本降り。ベレットにとって雨は苦手なのである。なぜならサスペンションは完全にドライセットになっており、前後とも極端なネガティブキャンバーがついている。バネもショックアブソーバーもドライ仕様だ。おまけに中山サーキットの舗装はウェットになると特によく滑る。
ウェットでは荷重がかかってロールする前に滑ってしまうので、タイヤも内側しか接地しない。そして荷重が乗ってロールし始めるとフロントの接地形状が正常になってグリップし、相対的にリアが滑り出す。雨ではとってもナーバスなベレットであった。
レースは1時間の耐久戦で2名ないし3名のドライバーで走ることになるが、スタートとフィニッシュは私、途中を日下君が受け持つことになった。
スタートグリッドに着いた後、あまり拭けないワイパーの調整をお願いする。日下君はしばらくガチャガチャやっていたが、やおら助手席側のワイパーを外してピットに帰ってしまった。こちらは唖然とするばかり。雨は時折強くなり、おまけにドライバー側のワイパーは拭き残しが多いのだ。仕方なしにコーナーではサイドウィンドウから先を見て走ったが、雨足も遅くなって意外と走れるものだ。こんな時は淡々とラップを重ねることに徹する。途中、日下君にたすきをつなぎ、結局2位でフィニッシュすることができた。
こうして今年のベレット GTRでのレースは終了。やはりモータースポーツは面白い!
さらに9月はラグビーワールドカップ2019の開会式&日本対ロシア戦を観戦する好機を得た。開会式での平原綾香さんの国家独唱に圧倒され、国際大会特有の雰囲気に気持ちが高揚する。
正直、ラグビーのルールはよく分かっていない。簡単なルールブックを見て、元ラガーマンからオフサイドラインとは何かなど、半ば呆れられながらもレクチャーを受けたが、やはり本番を見ないとピンとこない。
しかし、始まってしまうとその迫力に圧倒された。細かい所を観るならTVの方がいいだろうが、実戦はまた格別だ。ナイター照明に映し出される総勢30名の男たちの迫力あるプレイは1人1人が浮き上がるように見え、なんだか幻想的ですらある。
自分の席は下階の中段という好席だったので、ピッチで戦うラガーマンの体と体がぶつかる音が聞こえてきたのには驚いた。ラグビー選手たちはがっちりした大男がほとんどだが、彼らが激しい肉弾戦を抜け出し、走り、そしてまた走る姿は思わず大声で応援したくなる。
日本は試合開始直後はロシアの速い攻撃に押されるケースが多く、明らかに硬くなって体が反応していなかったが、次第に動きが滑らかになっていくのが素人目にも分かった。そして、後半戦はトライの醍醐味を味わわせてくれた。
試合は日本が快勝し、さらに1週間後の強豪アイルランド戦にも勝利したのはご存知の通り。ラグビーって想像以上に面白い!
ところで、会場に入るには厳しいセキュリティがあり、飲食物も持ち込みは禁止されていた。その結果、売店には長い列ができ、給水所はあるものの次戦の運営に教訓を残した。トイレも長蛇の列ができるので、試合中に抜け出していくほかはない。
オリンピックを前にした国際大会のシミュレーションには格好の舞台だが、来年にはさらにスムーズにスタートが切れるように期待したい。
旧車でのレースにラグビーワールドカップ。9月はスポーツの秋の始まりを告げる月でした。