日下部保雄の悠悠閑閑

ゴルフ8

ゴルフ ヴァリアント eTSI Activeと富士山。これほどクリアに見えたのは久しぶりです

 フォルクスワーゲン・ゴルフはいつもCセグメントハッチバックのベンチマークだ。このセグメントの乗用車を開発するときに開発チームから必ず名前が上がる。それほど手堅くソツなく、そして一歩前に出たクルマを送り出してくるフォルクスワーゲンはやっぱりすごいメーカーだと思う。ゴルフは王道を行くモデルチェンジでベンチマークとして外せない循環が続いている。

 今年モデルチェンジしたゴルフ8もそんな意味で興味津々だった。これは乗っておかねば! そしてやっぱり盤石の安定感だった……。

 衝撃的だったのは1.0リッター3気筒ターボ+フォルクスワーゲン初の48Vマイルドハイブリッドの組み合わせ。マイルドハイブリッドはどんどん進化していた。クルマを受けとってソロリと走りだしたときには、期待した(?)3気筒特有の音や振動がなかったのはちょっと拍子抜けだった。電気は思った以上に守備範囲が広がっていた。少し走ってエンジンが始動したときもベルト駆動スタータージェネレーターはいつの間にかエンジン始動をするのでそれと気づかない。そのエンジンは81kW/200Nmの出力を持ち、1310kgの重量に対しては過不足ない加速を示す。200Nmは力強い。

 シフトレバーは完全にバイ・ワイヤとなってセンターコンソールに小さなスイッチがついているだけ。気になっていた7速DCTの変速も滑らかでギクシャクすることはなかった。乗り心地も悪くないし、ハンドリングもゴルフらしくソツなくまとめられている。

 脚は少し固めだがボディとの一体感もあり好ましく、タイヤは205/55R16が標準でグッドイヤータイヤはなかなかしなやかでゴルフとの相性が良い。

 アナログ世代にとってデジタルコクピットはちょっと難物。主要スイッチをすべてディスプレイに納めてしまったので必要なスイッチを探し出すまで手ごわい。最近左利きの人がうらやましい。

 ちょっと感動したゴルフ8、スペックを見るとWLTCモードの燃費は18.6km/Lとなっている。実用燃費がどれくらいをマークするのか後日ユックリ借り出してみようと思う。

 話は飛ぶけど、まったくアプローチが異なるストロングハイブリットのアクアは35.8km/Lを表示しているがほんとに凄い数字だと改めて思った。

 ハッチバックの試乗から約1か月後、ヴァリアント、つまりステーションワゴンの試乗会で改めて1.0リッターと1.5リッターのハンドルを握った。やはりパワートレーンは素晴らしい。ホイールベースはハッチバックよりも50mm伸びた2670mm。回頭性など動きが鈍くなったがその分、後席のレッグルームに充てられており、ワゴンらしい余裕の広さになった。

圭ちゃん、相変わらず元気です。ゆるーいトークバラエティYouTube「圭Tube」に出演しました

 試乗会で一緒になった竹岡圭ちゃんは1.5リッターがお気に入りだと言っていたが、こちらはリアサスが4リンクの独立になって滑らかに路面を掴む。少しバタバタするところもある1.0リッターとは一味違うので納得だ。あえて言えばハッチバックは1.0リッターのアクティブ。後席にも乗る機会の多くなるヴァリアントは1.5リッターのスタイルがベターかもしれない。

必死に原稿作業している後ろでぐっすり眠るムクです
「やあ久しぶり! 元気だよ!」相変わらず人見知りなタイガーです。その姿を見た者はいない……
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。