日下部保雄の悠悠閑閑
ゴルフ8
2021年8月23日 00:00
フォルクスワーゲン・ゴルフはいつもCセグメントハッチバックのベンチマークだ。このセグメントの乗用車を開発するときに開発チームから必ず名前が上がる。それほど手堅くソツなく、そして一歩前に出たクルマを送り出してくるフォルクスワーゲンはやっぱりすごいメーカーだと思う。ゴルフは王道を行くモデルチェンジでベンチマークとして外せない循環が続いている。
今年モデルチェンジしたゴルフ8もそんな意味で興味津々だった。これは乗っておかねば! そしてやっぱり盤石の安定感だった……。
衝撃的だったのは1.0リッター3気筒ターボ+フォルクスワーゲン初の48Vマイルドハイブリッドの組み合わせ。マイルドハイブリッドはどんどん進化していた。クルマを受けとってソロリと走りだしたときには、期待した(?)3気筒特有の音や振動がなかったのはちょっと拍子抜けだった。電気は思った以上に守備範囲が広がっていた。少し走ってエンジンが始動したときもベルト駆動スタータージェネレーターはいつの間にかエンジン始動をするのでそれと気づかない。そのエンジンは81kW/200Nmの出力を持ち、1310kgの重量に対しては過不足ない加速を示す。200Nmは力強い。
シフトレバーは完全にバイ・ワイヤとなってセンターコンソールに小さなスイッチがついているだけ。気になっていた7速DCTの変速も滑らかでギクシャクすることはなかった。乗り心地も悪くないし、ハンドリングもゴルフらしくソツなくまとめられている。
脚は少し固めだがボディとの一体感もあり好ましく、タイヤは205/55R16が標準でグッドイヤータイヤはなかなかしなやかでゴルフとの相性が良い。
アナログ世代にとってデジタルコクピットはちょっと難物。主要スイッチをすべてディスプレイに納めてしまったので必要なスイッチを探し出すまで手ごわい。最近左利きの人がうらやましい。
ちょっと感動したゴルフ8、スペックを見るとWLTCモードの燃費は18.6km/Lとなっている。実用燃費がどれくらいをマークするのか後日ユックリ借り出してみようと思う。
話は飛ぶけど、まったくアプローチが異なるストロングハイブリットのアクアは35.8km/Lを表示しているがほんとに凄い数字だと改めて思った。
ハッチバックの試乗から約1か月後、ヴァリアント、つまりステーションワゴンの試乗会で改めて1.0リッターと1.5リッターのハンドルを握った。やはりパワートレーンは素晴らしい。ホイールベースはハッチバックよりも50mm伸びた2670mm。回頭性など動きが鈍くなったがその分、後席のレッグルームに充てられており、ワゴンらしい余裕の広さになった。
試乗会で一緒になった竹岡圭ちゃんは1.5リッターがお気に入りだと言っていたが、こちらはリアサスが4リンクの独立になって滑らかに路面を掴む。少しバタバタするところもある1.0リッターとは一味違うので納得だ。あえて言えばハッチバックは1.0リッターのアクティブ。後席にも乗る機会の多くなるヴァリアントは1.5リッターのスタイルがベターかもしれない。