日下部保雄の悠悠閑閑
ラリー・ジャパンが見たい!
2021年9月13日 00:00
次々と開催取りやめとなったモータースポーツのビッグイベント。とうとうラリー・ジャパンも中止が発表となってしまった。行く気満々だったのに残念!! すべてコロナ禍の影響である。
今年のラリー・ジャパンは現行の車両規則で開催される最後のWRCになるはずで、ヤリスWRCを実戦で見る最後のチャンスだったのだが……。
7月にはWECの中止が決まり、日本で初めて走るハイパーカーも見ることはできなくなってしまったし、夏の風物詩になりつつあるGTカーによる鈴鹿10時間耐久も中止、ホンダ最後のF1となる日本GPも中止となって、ラリー・ジャパンも危うかったが現実のものとなってしまった。欧州ではWRCやF1が開催されているのを考えると複雑な心境だが、コロナ禍では海外から多くの人が往来するモータースポーツは日本では難しい。
WRカーのスピードは圧倒的だ。一昨年のセントラルで見せた勝田貴元選手のヤリスWRCがR5のマシンを予想以上の速さで引き離してしまったことは衝撃的だった。そのR5も全日本でのJN1マシンに比べると格段の速さなので、世界の腕利きの手になるファクトリーチームのWRカーの強さはどれだけのものだったか。
今シーズン、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)最大のライバル、ヒュンダイが自滅気味に星を落としてしまったのでTGRは優位にポイントを重ねている。12日に終了するアクロポリス、続いて1000湖(ラリー・フィンランドだけど1000湖の方が馴染みがあるのでつい使ってしまう)、スペインと3戦残っているのでまだ予断を許さないがTGRとエース、オジェの強さは変わりなさそうだ。
ところで今年WECのマシンがハイパーカーになったようにWRCも2022年から競技車両のルールが変わる。1997年から続いていたWRカーからラリー1になるのだ。ラリー1は簡単に言うとFIAのチューブラースペースフレームに量産車のボディ(正確には似せた)を被せて、決められたハイブリッドシステム(3.9kWhのバッテリー+100kW/180Nmのモーター)を搭載する4WDラリーカーになる予定だ。エンジンは1.6リッターターボで現在使われているエンジンを使用するが、年間使える数は1台につき2基と厳しい。目的は厳しい制限を設けることで年間経費の大幅な削減を目指すとされる。予定と言っても2022年開幕戦のモンテカルロまであと4か月しかないので、マニュファクチャーでは急ピッチで仕上げに入っているだろう。
ラリー情報はなかなか入ってこないが河野亜希子さんが主宰するサンクから出版され、三栄書房から販売されている「RALLY+」や「RALLY CAR」に詳しく紹介されている。見ているだけでも楽しく、駆け出し時代のオートテクニックを思い出し、僕の愛読書でもある。
さて、トップカテゴリーのラリーカーは現実の量産車とはどんどん乖離してしまったが、もはやラリー車ベースになる安価でコンパクトなハイパワー+4WDを作れるメーカーは限られており、自動車の変革期という現実を見ると時代の趨勢を感じる。
多彩なメーカーのラリーカーが走っていた夢多き時代は過去のものになってしまったが、ラリー1もラリー2も日本で走らせるにはまだまだハードルが高い。この先ラリーにはどんな世界が待っているんだろう。