日下部保雄の悠悠閑閑
レクサス「NX」
2021年10月18日 00:00
2014年に発表されたレクサス「NX」。北米でのポジションに倣ってコンパクトSUVと言われていたが、「UX」の投入により名実ともにミドルクラスのSUVとして存在感が増している。
その新型NX発表会に行ってきた。いずれ試乗するチャンスもあると思うが、先代NXのCE(チーフエンジニア)でもある加藤武明さんにお会いするのも楽しみだった。
新しいNXはレクサス初のPHEVがラインアップに加わった重要なモデルになる。
プラットフォームはGK-A型。RAV4と同じだが、このプラットフォームは当初より質量の大きなNXに対応できるように開発されてきたという。
RAV4、NXともにトヨタSUV群の中では中床サイズに属し、大きなボリュームゾーンになっている。
さらにNXは下山のテストコースでサスペンションだけでなくボディ、エンジン、トランスミッションなどの各部隊が合宿で走り込みを続けて、気になる点を洗い出して作り上げられたという。ちなみに加藤さんも走るの大好き人間なので、きっとこの走り込みも楽しく実の多いものだったに違いない。
その結果、ステアリング支持剛性を上げ、アンダーボディにブレスが入り、溶接点も改善してボディ剛性は大幅に上がっており、欧州SUVに引けを取らないハンドリングと微振動のない乗り心地に自信があると語ってくれた。
ボディサイズは少し大きくなり、特に全幅は1845mmから1865mmへと拡大された。これに対してトレッドはフロントで30mm、リアは55mm広げられたので、ボディいっぱいにタイヤが配置されて、見た目にも安定感が増している。
デザインは一見してNXと分かるキープコンセプトだが、世界中で支持されているNXは大きく変えるよりもブラッシュアップさせた方が進化を感じられると判断したようだ。トップポイントをCピラーの上に持ってくるなど前傾姿勢で躍動感がある。
また空力の進化も著しい。トヨタのみならず各メーカーは空力の改善に力を注いでいるが、NXでは例えばフロントの小さなカナードでも効果が大きく、「空気抵抗だけ考えたら損なんですけど、コーナーでの安定性を取りました」とのこと。
PHEVのユニットはRAV4 PHEVと同じだが、リアモーターの使い方はNXに合わせたチューニングで、補器バッテリーも重量配分調整のために移動されている。実は2.5リッターエンジン出力はRAV4ではレギュラーガソリンのために221kW。NXはハイオク仕様で228kWに上げられている。
ガソリンの350は新開発の2.4リッターターボでフルタイムAWD。このAWDシステムにはスバルとのアライアンスで培われた技術が活かされており、GRヤリスのカップリングを使うなどトヨタの幅の広さを感じさせる。GRヤリスではトルク配分を80:20まで移動させているが、NXでは基本50:50。ターンインでは75:25まで配分が変わり、さらにプリロードをかけることでレスポンス遅れに考慮しているという。このためプッシュアンダーはほとんど感じないとのこと。
まだまだナビゲーション連動の通信機能やADASなど、面白い話はたくさん聞けたが試乗会まで取っておこう。
また試乗するのが楽しみなクルマが増えたナ……。