日下部保雄の悠悠閑閑

JCCA筑波1時間耐久レース

筑波のパドックで。我らが90号車は総社オート制作になります。隣の青い510はいつもベレットでお世話になっている岡山のチェック制作の510です

 久しぶりのレースだった。いつもベレットGTRで耐久に乗せてもらっている倉敷在住のベレットGTR乗り、日下総一郎君の長男、恭一郎君が筑波での耐久レースに誘ってくれた。お父さんの血を受け継いで旧車大好きの彼は岡山の総社オートで510やSR311などでのレース活動をしておりなかなか速い。

 今回乗せてもらう510は総社オートの片岡拓也さんが作ったレーシング510で排気量は2.0リッター。詳しいスペックは知らないけど総社オートは旧車レースの実戦慣れしているし、仕上がりを見ればキチンと作られていることが分かる。それに恭一郎君が実績を残しているので安心だ。

 とはいうものの、見るのも乗るのも日曜日が初めて。しかも雨。20分の予選で4周ぐらい乗せてもらったが特に癖はなさそうだ。

90号車のコクピット。整然として制作者の心意気が伝わります。スイッチがたくさんあるようですが、分かってしまえば簡単。レース中はほとんど使いません

 1時間の耐久レースはボクと三好正巳さんと古茶重さんの3人で乗る。三好さんは例の香港北京ラリーでの相棒、古茶さんはロータスレーシングエランで旧車レースを楽しむ元三菱ワークスドライバーだ。

 予選では2番手だったが、1位だった510がトラブルで棄権したので前には誰もいなくなった(その510のドライバーの一人に桑島正美とあったのを後で知った。あの桑島さんかしら、黒い稲妻の……)。

 スタートドライバーはワタシ。ローリングスタートに慣れているからとの理由だけど、まだクルマにも慣れてないんですけど……。

 午後には雨はやむはずだった。しかしスタートラインについても相変わらずフロントガラスに雨粒が張り付く。

 1分前のボードが出てエンジン始動、L型エンジンは一発で掛かる。快調だ。ローリング開始! この路面だとタイヤも暖まりようがない。

 ペースカーが消えて前には誰もいなくなってしまった。慣れない光景でちょっと寂しい。ホントです。レッドランプが消えた。消えたままだ……。あれグリーンが付くんじゃなかったっけ?

 慌ててアクセルを踏み込む。2速で高回転を維持していたのでかぶることなく(なんたってキャブ車です)勢いよく加速、すぐに3速に。最初の1周、特に第1コーナーは用心用心。リアはしっかりグリップするようだ。薄い川が流れるS字から第1ヘアピンへ。思うようにフロントが入らないけど妙な挙動は起こさない。右直角のダンロップコーナーの先は一面光ってあまりラインは選べそうもなく後ろも1列でついてくる。バックストレートは4速。8000回転まで回していいと言われたけど、このレースでは7500回転までをキープすることにした。最終コーナーも3速ハーフスロットル。ブレーキの感覚が分かりにくいのが気になるけど、きっとドライだったらもっともっと面白いのに……。

スタート直後の1コーナーからのショット。カメラマンはフォード・アングリアに乗る奥村さんです。さすがプロは違います

 後ろを落ち着いて確認しようと久しぶりのフェンダーミラーを見るが距離感が分からないし、そもそも雨でよく見えない。室内のワイドミラーが頼りになるが青い510が右に左に踊っている。どうやら青い510と白い510、それにZ432がいるみたい。皆、ウェットレースで用心してなかなか差を詰められないでいる。よし、このまま行こう!

 ズーッと雨は降り続き淡々とレースを消化していく。青い510が付かず離れずついてくる。

 持ち時間の終盤で少し差を広げておこうと1コーナーのブレーキをほんの少し遅らせた。ロックしたみたい……。嫌な静寂の時間が流れて我が510はドライバーの意思に反して滑っていく。ハンドルをわずかに切ったり、ブレーキをそーっと離したり、バタバタしてたらL型の元気のいい音が聞こえてきた。性懲りもなく同じことをもう一度やってみたら同じ結果だった。そこから守りに入ったのは言うまでもない。要はビビったのです。

 何とか青い510の追撃をかわして自分のパートを終了。トップのままバトンタッチ出来てよかった。ブレーキの件を古茶さんと三好さんに伝えて本日の業務終了。

 久しぶりの筑波、久ぶりのレース。やっぱり最高だ!

ヘアピンでの510同士の接戦。レース終了後にドライバーが謝りに来たけど、ヘアピンで接触したみたいで左リアフェンダーに跡がありました。気づかなかった自分が悪いんです。こちらこそすみません

 この日、12周のスプリントレースに同じ510で出場した恭一郎君はポール・ツウ・ウィンで歓喜の優勝!

 で、我が耐久510はどうだったか? 古茶さんから引き継いだアンカーの三好さん、ピットインの間に逆転されていた順位を回復すべく激走に次ぐ激走、4位からトップを走るZ432を捉えたかと思った最後の最後、最終コーナーで華と散りました。チャンチャン。

 今年はなかなか最後まで走れないけど、恭一郎君と総社オートの拓也さんに大感謝の1日でした。

レース終了後。なぜか泥だらけの90号車をバックに。皆にこやかです。向かって左から古茶さん、三好さん、私、片岡拓也さん、日下恭一郎君。幸いクルマは無事でした。三好さん、よく止めた
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。