日下部保雄の悠悠閑閑

東京の雪

テストコースでiceGUARD 7を履いたスープラ。豪快でした

 東京に雪が降った。

 昨年予約していた横浜ゴムの「iceGUARD 7」。タイヤガーデンの都合で履き替えが年明けとなった。その前日からは東京に降雪予報が出て、ちょっと心配だったが午前中ギリギリでスタッドレスへの交換作業は終了。クルマに装着したシルエットだけ見ればセミスリックのようにスクエアだ。スタッドレスの接地幅は広いので四隅にタイヤが張り出す感じになる。

 iceGUARD 7の顔は左右非対称でイン側はアイス、アウト側は雪という分担があるものの、それぞれが補完し合って氷雪に強くなっている。iceGUARD 6の発展型で力強い面構えだ。

iceGUARD 7。左側がアウト側です。力強くて好ましい顔つきです

 お店を出たらちょうどパラパラと雪が舞いだしていた。まだドライ路面の東京での第一印象はこれまで履いていた夏タイヤのADVAN dBに比べて路面からのあたりが強めだった。強いと言っても鋭角的なガツンとした衝撃ではなく、丸く路面を捉えるといった感じだろうか。

 スタッドレスのコンパウンドは夏タイヤより柔らかいものの骨格はしっかりしており、また接地幅も広いので路面からのアタリが強めに感じる。先代のiceGUARD 6に比べても強めだが、路面形状などのフィードバックはきちんと伝わってくる。

 履いたタイヤサイズが235/45R18で幅が広く、緩いレーンチェンジのようなハンドル切り始めのホンの最初のところでわずかに反応遅れがあるが、他メーカーでも同じ傾向にありまず気にならないレベルだ。

 これからドライの高速道路を走るチャンスも沢山あり、しばらくお世話になる。

降雪にはなくてはならい雪かき用グッズ。冬になるとクルマに常備するようにしてます

 iceGUARD 7は真冬の北海道で試乗したが、一番のポイントは氷でのグリップと雪道での走りやすさだ。特に圧巻だったのは山岳路の新雪や圧雪路面で、しっかりと路面を捉えてブレーキ+コーナー+加速といった一連の流れが雪道でもリズムよく走れたことだ。誤解されると困るが、舗装をドライブしているようにリラックスして走れ、雪道を走る高揚感を存分に体感できた。

 またiceGUARDが得意としている溶けかけた雪と氷が混在しているシャーベット路面でも雪掃けがよく姿勢の乱れは小さい。

 もう1つ。最新のスタッドレスは氷上のブレーキ性能を追求しているが、iceGUARD 7も同様にブラックアイスが顔を見せる夜明けの交差点でも減速Gが高く、5km/h以下の最後まででグッと止まってくれる。

FFのC3も雪によく映えました

 その北海道の光景を思い出し、窓の外を見ると日が暮れた東京は真っ白だった。幹線道路は何とか雪がはけているが、いったん裏道に入ると雪が結構残っており、路肩に行くほど積もっている。

 歩行者が通行できる歩道幅も狭くなっており、車道にもはみ出して歩かざるをえない。まして子供は雪が大好き。用心用心。クルマは急に止まれない。

 交通量の少ない道路では緩い上り坂でもノーマルタイヤではスタックしそうだ。警報が早めに出ていたので交通量が少なくカオスにはならなかったのは幸いだ。いつもより元気がよいのはスタッドレスを履いた4WD。気持ちは分かるけど、飛び出しもあるので気を付けましょう。

 ビックリしたのはこんな雪の中でもバイクや自転車が結構走っていたことだ。走れるものなのか予想もしていなかったが、タイヤ面圧が高いとはいえ滑るんじゃなかろうか。

日が当たらない駐車場は二晩たってもこんな状態。バリバリで怖い

 最後にタイヤ交換にはオチがあった。ADVAN dBのリアタイヤ・ショルダーに画鋲が刺さっており空気がシュルシュルと抜けているではないか。画鋲と言ってもトップがプラスチックで針の長いやつだ。

 ショルダーはタイヤでもっとも弱い部分。トレッドなら修理をできるが、サイドカット同様、ショルダーは基本的に修理ができない。ADVAN dBは気に入っていただけに残念。

 ちなみに、ムクは4輪駆動、スパイク付きだが雪は苦手。ベランダに出したらソソクサと帰ってきてベッドの上で丸くなっていた。

元気よく飛び出していったけど、勢いがなくなり、スゴスゴと帰ってくるムクです。やはりネコでした
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。