日下部保雄の悠悠閑閑

北海道の不思議なポール そしてムク

夏だとなんだか分からない標識

 毎年冬の北海道には縁があり、いろんな経験をした。

 もうだいぶ前、20世紀の話だがリアバンパーに高いポールを付けて先端に赤い布を付けているクルマを見かけた。ちょうどバギーレース車のような感じだがクルマは普通の乗用車だ。

 ずーっと不思議だったがある日、その理由が分かった。

 左右に遮蔽物のない雪原を走っていた時に突風に見舞われ、雪で周囲が何も見えなくなった。地吹雪によるホワイトアウトだ。

 恐ろしいことにその直前にルームミラーにダンプカーが写っていた。運転席の高いダンプからは少し先は見えそうだが、直前の自分のクルマは地吹雪に埋もれて見えないはずだ。今思いだしてもぞっとする体験だった。

 走るのは怖いが止まるのは怖い。幸いダンプは減速し、自分もそろそろと動いていたので、短い地吹雪がやんで危機を脱した。その時確信した。あのポールはこんな時のため、他車に知らせるツールだったのだ。北海道のクルマ生活の知恵である。

 この光景は2~3年続いていたと思うが、次第に廃れてすっかり姿を消した。普段はあまり格好のいいものではないし、駐車場によっては畳むのが面倒くさそうだ。なくなった理由はいろいろあると思うが、地吹雪が起こりそうな場所には防風壁が作られ、これに合わせて例のポールもパタリと見なくなったように思う。

 道路の幅を示すのが道両サイドに設置されている矢印付きの逆U字型ポール。夏に行くと謎の標識でしかないが、雪が降るとそのありがたみが分かる。積雪時に道路と路肩の境目を示している標識だ。およその道幅がつかめ、理解していれば走りやすい。そのうち場所によっては見やすいLEDランプになるかもしれないが、必要が生みだした効果的な標識だ。

路肩と道路の境界線を示しているので、降雪量が多いと路肩が判然としなくなった時に助けられてます

 そんな雪国への出張から帰宅すると、ムクがゴロゴロ鳴いて迎えてくれた。どこかよそよそしいのは犬と違うところだけど、他のネコに比べムクは表情に出やすい。口から上が笑っているようにも見える。多分気のせいだろうけど……。

 久しぶりにしばらく遊んでやる。いや、遊んでもらう。そのうち本気で噛んだり引っ掻いたりし始めるので、閉口して逃げ出すと、ひとり遊びを始め、飛び跳ね、走り回ったところで安心したのか寝てしまった。ソファーの隙間が好きでぐっすりお休みです。

ムク、ひとしきり遊んだ後、定位置につき、毛づくろいを始めます
だんだん良い気持ちになり。まぶたが重くなってきた
おやすみなさい

 大抵はソファーや箱で丸くなっているが、大胆にあおむけになっていることもある。その中でも不思議なカットを送ります。

箱に入って無防備にあおむけになって、足だけ出して寝ています。どうしてこんなことになるのか?
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。