日下部保雄の悠悠閑閑
北海道の不思議なポール そしてムク
2022年2月14日 00:00
毎年冬の北海道には縁があり、いろんな経験をした。
もうだいぶ前、20世紀の話だがリアバンパーに高いポールを付けて先端に赤い布を付けているクルマを見かけた。ちょうどバギーレース車のような感じだがクルマは普通の乗用車だ。
ずーっと不思議だったがある日、その理由が分かった。
左右に遮蔽物のない雪原を走っていた時に突風に見舞われ、雪で周囲が何も見えなくなった。地吹雪によるホワイトアウトだ。
恐ろしいことにその直前にルームミラーにダンプカーが写っていた。運転席の高いダンプからは少し先は見えそうだが、直前の自分のクルマは地吹雪に埋もれて見えないはずだ。今思いだしてもぞっとする体験だった。
走るのは怖いが止まるのは怖い。幸いダンプは減速し、自分もそろそろと動いていたので、短い地吹雪がやんで危機を脱した。その時確信した。あのポールはこんな時のため、他車に知らせるツールだったのだ。北海道のクルマ生活の知恵である。
この光景は2~3年続いていたと思うが、次第に廃れてすっかり姿を消した。普段はあまり格好のいいものではないし、駐車場によっては畳むのが面倒くさそうだ。なくなった理由はいろいろあると思うが、地吹雪が起こりそうな場所には防風壁が作られ、これに合わせて例のポールもパタリと見なくなったように思う。
道路の幅を示すのが道両サイドに設置されている矢印付きの逆U字型ポール。夏に行くと謎の標識でしかないが、雪が降るとそのありがたみが分かる。積雪時に道路と路肩の境目を示している標識だ。およその道幅がつかめ、理解していれば走りやすい。そのうち場所によっては見やすいLEDランプになるかもしれないが、必要が生みだした効果的な標識だ。
そんな雪国への出張から帰宅すると、ムクがゴロゴロ鳴いて迎えてくれた。どこかよそよそしいのは犬と違うところだけど、他のネコに比べムクは表情に出やすい。口から上が笑っているようにも見える。多分気のせいだろうけど……。
久しぶりにしばらく遊んでやる。いや、遊んでもらう。そのうち本気で噛んだり引っ掻いたりし始めるので、閉口して逃げ出すと、ひとり遊びを始め、飛び跳ね、走り回ったところで安心したのか寝てしまった。ソファーの隙間が好きでぐっすりお休みです。
大抵はソファーや箱で丸くなっているが、大胆にあおむけになっていることもある。その中でも不思議なカットを送ります。