日下部保雄の悠悠閑閑
浜松エアフェスタとシトロエン「C5 X」
2022年10月31日 00:00
3年ぶりの開催となる浜松エアフェスタに行ってきた。ブルーインパルスの妙技はもちろんのこと、T-400救難基本操縦練習機とのコンビネーションによるUH-60J救難ヘリコプターの救難訓練を見ることができた。また、大きなC-2輸送機のほかにも、後継機が何かと話題になっているF-2戦闘機やF-15戦闘機、E-2C早期警戒機、ブルーインパルスが使用しているT-4練習機が展示されていた。これらの機体が空を飛ぶのかと思うと不思議な気がする。
ブルーインパルスは現在は宮城県にある松島基地をベースとしているが、以前は浜松基地を本拠地として活動し、浜松市民との交流も深かったと聞く。たまたま乗ったタクシーの運転手さんも、親近感のこもった口ぶりでブルーインパルスの話をしてくれた。
ブルーインパルスは2020年の新型コロナの流行時に激務を続ける医療従事者を励ますため東京の空を飛んだのは記憶に新しい。わが家のベランダから見たブルーインパルスは、自分も含めてささくれだった心を癒やしてくれた。
今回、3年ぶりに開催される浜松エアフェスタは、間近にダイナミックなアクロバット飛行が繰り広げられるはずで、ワクワクしながら浜松へ向かった。
当日の浜松上空は好天に恵まれ、遠方から飛んでくるブルーインパルスの編隊がくっきりと見え、瞬く間に上空に現れ、再び密集編隊のまま基地上空を航過する。さらに背面飛行や花のように開くアクロバットなど、青空に繰り広げられるエアショーに、どの見学者も開放された笑顔を浮かべていた。
上空で反転するT-4のキャノピーがキラリと光り、生きものの輝きのように感じられた。見事に編隊のまま激しく機動して降下と上昇と繰り返すがそれ自体が意思のあるもののようで美しい。アクロバット飛行は基地上空で行なわれるものの、広い大空を縦横無尽に飛び回るので基地の周辺ならどこでも見える。観客は浜松市全体と言った方がいいかもしれない。
いつまでも見ていたいが次の予定があったのと、帰りの混雑を恐れて、ブルーインパルスに心を残しながら浜松を後にした。
今回の往復には乗ってみたかったシトロエンのC5 Xを選んだ。これがびっくりだ。4805×1865×1490mmのDセグメント車だが、1.6リッターターボの直4エンジンはまるでふくよかな大排気量V6のような味わいで、シトロエンらしいゆったりとした余裕を感じさせる。
そしてさらにかつてのシトロエンそのものだったのはサスペンション。フロントはストラット、リアはトーションビームというなんの変哲もない形式だが、走り出すとまるでハイドロサスが蘇ったかのような柔らかい乗り心地! プログレッシブ・ハイドローリック・クッションというダンパー・イン・ダンパーの採用でまるで路面の凹凸を包み込むような味わいがある。エンジンと言い、サスペンションと言いこんな豊かな乗り心地はシトロエンの真骨頂だ。
大海原を巡航するクルーザーのようで、すべてがゆっくり動いているように感じられた。最近、重いクルマばかり乗っているので1520kgという車両重量も新鮮だった。運動は重量に制約されるのを改めて思い出させてくれた。タイヤは205/55R19という大径で細いタイヤのコンビネーションも素晴らしい。
おかげで東京と浜松の往復はとてもリラックスでき、ブルーインパルスの余韻に浸れました。
後日借り出したDS 4も走行モードを「コンフォート」にすると、C5 Xに似たシトロエンの乗り味があり、個性豊かなシトロエン一族が帰ってきたようでうれしい。