日下部保雄の悠悠閑閑
ステップワゴン・スパーダ e:HEV
2022年11月14日 00:00
ホンダのミニバン、ステップワゴン e:HEVに少し長く付き合った。試乗会では地道な進化に好感を持てたので、さらに足を伸ばしたくなったのだ。連れ出したのはスパーダのe:HEV。弾力のあるシートに座ると明るい視界が広がる。概して国産車は斜め前方の視界がよいが、ホンダ車はAピラーが後方に下がっているので特にそう感じられる。電車のようにボクシーなデザインでサイドウィンドウも低く、2列目シートも明るい。同乗者は家内と娘、それにチャイルドシートの孫で3代の家族だ。ま、運転手は自分だけなのはいつもこと。「運転代わるからね!」と自信満々に言ってた娘はまんまと免許証を忘れるという技に出た。
運転席はひと昔前のホンダ車と違いクッションストロークがあって予想以上に長距離で快適。2列目はキャプテンシート仕様だったが、そこに陣取った娘も疲れ知らずで、しばらく孫と遊んでいたと思ったらスヤスヤと寝てしまった。孫もおとなしい。どっしりとした乗り心地でバネ上の動きが少ないためかもしれない。
前のステップワゴンはリアが固くて閉口したが隔世の感だ。乗り心地は足がよく動いている感じでドンとした突き上げがない。レーンチェンジでのロールも少なく収束は適度な早さ。
e:HEVは電気を積極的に使うようになってスタートではモーターで速度に乗せ、やがてエンジンが始動する。そのエンジンも滑らかな回転フィールで以前ほどの唸りを感じず、煩わしさは少なくなった。助手席で珍しく目を開けている家内に「静かでしょ?」と聞いたら「たまにウンウン言っているね」と突っ込まれた。確かに遠くから一生懸命発電しているエンジンノイズがラバーバンドフィールのを思い出させるように速度と関係なく唸っているのが耳ざとく聞こえたのだろう。
むしろ騒音源は風切り音とロードノイズで、静かになったエンジンの代わりに耳につく。これらの音はもう少し抑え込まれてほしい。ただ後席は遮音がしっかりしているので音源のピークが高いような騒がしさはない。
動力性能は中間加速のレスポンスが優れており運転にも余裕ができた。ACCは前車との間隔を維持し、これなくしては高速道路での疲労感はだいぶ違うと思う。ただ前車が減速を開始するタイミングを把握するのが遅れることがある。ドライバーは常に監視している必要がある。レベル2はそういうものだと分かっているが、できれば前車の減速の兆候がもう少し早いと利便性はさらに高くなる。
家族にとっては初のステップワゴンは好評で、広い室内や快適な乗り心地に長い渋滞に捕まったときも文句が出なかった。チャイルドシートの孫にも聞いてみたが「アー、ブー」と言ってご機嫌だったので、彼女にとって初の旅行は成功だったようだ。
今回は3列目を畳んで広いラゲッジルームを作ったが、ステップワゴンの3列目は簡単にホールドダウンして床下に収納できるので、跳ね上げ式よりも容積が広く取れる。
運転手を拝命した自分はと言えば、とっても楽なロングドライブで、市街地ではワイパーレバー先端のカメラスイッチは左右の広角カメラで狭い道から顔を出すときも重宝した。ただ大きな跳ね上げ式のバックドアは長すぎて開閉場所が限られる。先代にあったわくわくゲートが懐かしいぞ。