日下部保雄の悠悠閑閑
2022-2023年COTY
2022年11月28日 00:00
今年も日本カー・オブ・ザ・イヤーの季節がやってきた。今年の年男を決めるようなお祭りだが、今年デビューした数多くのクルマの中から1台を選ぶのはなかなかしんどい作業だ。投票方法は2021年11月~2022年10月の1年間の新型車で、各メーカー、インポーターからエントリーされたクルマの中から選考員の投票で10台に絞り込む。
さらに、その10台に持ち点25点の中から10点を入れるのは想像以上にしんどい作業だ。持ち点のうち15点は4台のクルマに配分しなければならない。また同率10点を2位のクルマにつけることもできない。長年かかってCOTYの実行委員会がたどり着いた絶妙の配点方式だと思っている。
その最終選考会は、11月24日に袖ヶ浦フォレストレースウェイで行なわれた「10ベスト試乗会」を経て3日間にわたって投票が行なわれる。
今年の10ベスト(実は同率のクルマがあったので11台が選考された)はクラウン、サクラ/ek クロス EV、フェアレディZ、エクストレイル、ルノー・アルカナ、シビック、アルト、ヒョンデ・アイオニック5、 BMW・iX、CX-60,レンジローバーの11台だ。
昨年までレーストラック内だけでなく外試乗も認められていたので、乗れなくなることもあったが、いずれにしてもここまでくる間にほぼすべてのクルマを乗っているので確認の意味での試乗だ。
ところが人間は迷うもの。迷った挙げ句に袖ヶ浦で判断しようという選考委員が少なくない。そこに選考考員、メーカー、インポーターさまざまな人間模様が交錯する。
実は自分もその1人。どうしたものかなとパドックをノコノコ歩いていると、通りかかったアルカナの窓が開いて賑やかに声をかける2人。竹岡圭ちゃんと藤島知子ちゃんだった。「乗ってかない?」って客引きかよ、と思ったのはホンの一瞬、ありがたくお誘いに応じることにした。3人乗車だと運転席、助手席、後席に座れ、お互い情報交換できるメリットが多い。
アルカナの欧州発の本格的なハイブリッドは、低速で感じた初期モデルのギクシャクするところはなくなっていた。乗り心地もルノーらしく柔らかい。
袖ヶ浦のコースはショートカットされていてすぐに終わるが、時間が読めるのがありがたい。ダイハツのムーブ キャンパスの広さとかゆいところに手の届く装備に改めて日本の軽の底力を知り、トヨタのブースでは新生クラウンの快適な乗り心地とパワー型と燃費型の2種類の性格の違うハイブリッドを確認。改めて乗るとやはりクラウンは穏やかでした。
CX-60ではマツダの内燃機のイノベーター、人見さんにあいさつ。マツダの意欲作、大排気量/省燃費のパワートレーンに感銘を受ける。デザイン力も国産車での最右翼だ。
レンジローバーの新型はすべてを一新し、美しいデザインはプレミアムSUVの白眉だ。3.0リッター直6ターボディーゼルとマイルドハイブリッドの静粛性は重質な空間にさらに磨きをかける。
シビックはタイプR、あの2.0リッターターボの硬質な回転フィールと磨き込まれたドライブフィールは速さ以上に人の手の暖かみを感じる。
アルトは軽の潔さと装備の充実度、それに低価格は軽の原点を見る。
ヒョンデ・アイオニック5はEVならではのパッケージの美しさと先進的なキャビンに改めて感心した。
日産ブースでは一気にエクストレイルとサクラに乗る。エクストレイルは夢のエンジン、VCRターボの精密さとe-4ORCEのコンビネーションに、サクラ/三菱eK クロス EVはどこにもなかった実用的なスモールカーの理想形を見た。
Zは横眼で見てBMW・iXに乗る。まるで宇宙船だ。これまでのBMWとは全く異なるバッテリEVだった。ドイツ勢のEVはこの後どのように展開していくのだろう。
途中で軽食をごちそうになって14時過ぎにはほぼ乗り切り、コメントを収録してこの日は終了。圭ちゃんとフジトモも三々五々解散、それぞれの配点は私は知りません。今年も悩ましい1日はあわただしく過ぎていきました。
発表は12月8日。今年のイヤーカーはどのクルマに!