日下部保雄の悠悠閑閑

試乗会雑感

エンジン大試乗会での朝一番、寒いです……

 この時期、大規模試乗会あり、大磯プリンスホテルにでかけることになった。新潮社のエンジン誌が主催する毎年恒例の大試乗会と日本自動車輸入組合(JAIA)の試乗会。いずれも大磯プリンスホテルを起点に絶品の輸入車を乗るチャンスだ。車両は割り当てられるので何に乗れるか分からないが、いずれにしてもちょっとワクワクする。

 エンジン誌では2021年のCOTY以来のコルベットに乗った。エンジン誌のプレミアム会員さんとの同乗だ。ペアを組んだのは大学生の好青年。クルマの話はもちろんだが、たわいのない世間話からコロナ禍での学生生活なんかを聞きながら、こちらが楽しませてもらった。聞けばコロナ禍で思い切って大学を休学して、安い航空券で欧州を回ってきたという。素晴らしい決断と時間の過ごし方だと思う。オンラインで誰とでも繋がれる時代だがやはり実際の空気感は大切だ。話を聞いているだけでこちらがワクワクしてくるほどコロナ禍を有意義に過ごされたと思う。きっと一生忘れられない時間になったのではないだろうか。

久しぶりのコルベット。ミッドシップになってもコルベットはコルベット。日常使いのできるスーパーカーです。同乗した好青年との世間話が楽しかったです。しっかり者です

 BMWのi7はビクビクするほどのサイズと威厳。ロールスロイスを想起させるような2トーンカラーは明らかにリムジンを想定している。電気自動車のリムジンは航続距離の問題を別にすれば振動のない静かな移動空間で最高の時間を持てるだろう。

電気自動車にもとうとうリムジンが、BMW i7、とろけるようなクルマでありました

 グラチェロもアメリカンSUVらしいおおらかな持ち味と、アルファ ロメオと基本ベースを共用する融合が最近のアメ車を知る機会になったし、いつの間にか大きくなったプジョー 308SWはゴルフとは違った華やかさがあり新鮮だった。

アルファ ロメオ・ステルヴィオのコクピット。SUVでもやはりアルファだな

 JAIAにはCar Watchチームと同行。こちらは山田弘樹さんと一緒。自分の担当は久々のアルファ ロメオのステルヴィオにBMWの740iだ。後者は3.0リッター直列6気筒ターボのガソリンモデルでi7と共通の車体だがBMWらしい内燃機の鼓動を感じながらのドライブだった。後席にも乗せてもらったがこりゃ毒だね。降りられなくなる。まして巨大なスクリーンを降ろしてシアターモードにしたらインプレどころじゃなさそうだ。

 午後に乗った718 ケイマン GT4 RSはガチガチに固められたソリッドなボディにポルシェならではの水平対向エンジンのレスポンスのよさ。その実力の何十分の1かを楽しませてもらった。

ソリッドとはこういうことを言うんだと訴えているような718 ケイマン GT4 RS。公道も走れるレーシングカーだった

 最後はルノー アルカナ R.S.LINEのマイルドハイブリッド。アルカナといえばドッグクラッチを使った欧州流のストロングハイブリッドが嚆矢だが、マイルドハイブリッドがあるとは知らなかった。1.3リッターターボはなかなか元気がよく、ルノーらしくよく回る。しかもコースティング機能が面白い。さすがルノー、マイルドハイブリッドだけではないところが素晴らしい。

アルカナ R.S.LINE マイルドハイブリッド。フランスらしいアイデアがやっぱりなと思わせます。しかしSUVクーペというのが消化できない自分がいる。きっと旧世代なんだろうな

 と言うわけでCar Watch編はそのうち掲載されます。気長に待ってくださいませ。

 ところで昼食時に山田弘樹さんがこの業界にやってきた当時の話を持ちだした。レブスピード時代と言うからもう四半世紀以上前の頃。私と取材で同行した時、この業界でやっていけるのかと思ったというから一体何があったんだろう? でも山田さん、立派なドライバーでジャーナリストになっているので、きっとボクはよいことをしたに違いない。覚えてないけど……。

日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。