日下部保雄の悠悠閑閑
4輪駆動の新時代
2023年2月27日 00:00
そろそろ今シーズンの雪道ドライブも終わりに近づく。北海道に集中している自動車、タイヤ、部品などの各メーカーのテストコースもウィンターシーズンの撤収に入っている頃ではないだろうか。
さて今シーズンは雪道を走る機会が多く、進化する4輪駆動も体験できた。
生活4駆と呼ばれる安価でシンプルな4輪駆動は雪国では必須になった。一方でプロの領域だった本格的なクロカン4駆は、クロカンビギナーにも操作が簡単になった。技術、特に電子デバイスの進化によるところも大きい。
さらにモーター駆動車が増えると、駆動力を緻密に制御でき、4WDではさらに今までできなかったことが可能になった。これまであまり活躍してこなかった後輪モーターの出力を上げることで4WDの価値が高まった。
例えば直結4駆は多少の運転のしにくさはあるものの、その癖を掴めば4輪の駆動力を活かす運転に専念できる。その癖を飲み込むまでが時間がかかるのだが……。
現代の4WDは前後トルク配分を可変にして、自然に曲がるように近づけられ、さらにスタビリティコントロールを活用したブレーキ制御と組み合わせて積極的に曲がる能力も手にした。とにかく賢い。
もっとも、ドライバーの操作に対応して初めて制御がかかるのは変わりがなく、わずかに時間差が生じるのは仕方がない。しかしそのわずかな感覚的なズレはクルマの挙動変化としては大きく感じられるので、ドライバーは先読みして操作をしている。
モーターによる電子制御4WDを乗る機会も増えたが、モーターは圧倒的にパワーの出し入れが早く、それだけ制御の幅が広い。同時に内輪にブレーキをかけることで旋回力を作り出せるタイミングも早い。
今シーズンの雪道で感じたのは路面からの大きな影響を受けることなく、いつも同じリズムで運転できることでクルマがドライバーに合わせていることだった。何でも制御ができるわけではないが、駆動力技術はモーターの登場で急速に進んだようだ。
振り返ってホンダ・レジェンドやNSXに使われていた3モーターハイブリッドによる姿勢制御はなんと贅沢なことだったかと思う。
で、さらにインホイールモーターが実用化されて4輪独立駆動が可能となると自由自在に姿勢を変えられる。これに後輪操舵が加わると無敵だけどこれはもう惑星探査車ですね。
今シーズンの雪道ドライブを思い出しぼんやりしていたら猫さん達に「4駆で振り回したいだけでしょ?」と問われた気がする。ま、確かに……。