日下部保雄の悠悠閑閑

エクストレイルで東武ワールドスクウェアへ

エクストレイル。今回も快適な旅でした

 週末、エクストレイルで鬼怒川まで旅をした。年末の青森からのロングドライブ、1月の女神湖での氷上と走り回り、e-4ORCEとVCRエンジンに魅入られた。今回は都市部の狭い道やストップ&ゴー、そして高速道路の渋滞とグンと現実的なシーンだ。

 世田谷の狭い道ではすれ違いも大変。1840mmの全幅は対向車が来ると電柱に隠れるようにやり過ごすが、アイポイントが高くて壁ぎりぎりまで寄せやすいのは再発見。大嫌いな狭い場所にあるコインパーキングでもキチンとバックで止められた。そういえば360度アラウンドモニターを最初に出したのは日産でした。当時は必要かと思っていたが今ではその信奉者になってしまった。

 発電用のVCRターボは振動が小さく高速道路での疲労が少ないのは実証済。バッテリが半分以下になるとVCRエンジンが始動する。市街地で改めて聞くと3気筒ターボはそれなりに賑やかだが、それでもかなり抑えられているのが分かる。それにモーターの滑らかな加速はやっぱりいい。

高速道路が多かったとはいえ、渋滞路も郊外路もあり平均燃費15km/L台は立派です

 高速道路で「プロパイロット」を入れれば渋滞で停車してからも自動発進する。考えていた以上に便利な機能だった。便利なものにどんどん慣れていく……。

 鬼怒川温泉の手前にある東武ワールドスクウェアに寄り道した。ご存じかもしれないが、世界の遺跡と建築を25分の1に縮小した施設で、日本にいながら世界旅行ができる。

 で、行ってビックリ、見てビックリ。25分の1とはいえ建築物なので大きい。それに、丁寧で精巧。敷地もかなり広い。

 その精緻な建造物のそばには25分の1の人形が14万体以上もいて、こちらも臨場感に溢れウィットに富んでいる。見事な脇役だ。

 入門ゲートで双眼鏡のレンタルがあったがその理由の1つは建物や人形達を見るためだった。残念ながら後の祭り。ガイドツアーもあって、さらにじっくり世界旅行を堪能できるようだ。

 最初はスカイツリーに圧倒された現代日本ゾーン。東京タワーやボーイング747が動き回る懐かしい成田の第2ターミナルも再現されている。もうなくなったエアラインもここでは元気だ。国会議事堂や迎賓館など、上から俯瞰して見るとこうなってたんだ、と改めて感心した。

ゲートから迎賓館を覗く。威厳のある建物だけど親しみもあります。もちろん見学者も25分の1です
少し前の東京駅。建物も素晴らしいけど、1人ひとりの動きにも好奇心がかき立てられます。きっとひょうきんなことしてる奴がいるに違いない

 アメリカゾーンの摩天楼では今は見ることができないワールドトレードセンターやエンパイアステートビル、そして美しさでは随一とされるクライスラービルの谷間にはウェストサイドストーリーの登場人物を発見した。

エンパイアステートビルほど有名ではないけれど、建築美ではクライスラービルということだそうです。確かにバランスのとれたビルだと思いました

 近代建築の後はエジプトゾーン。巨大はクフ王のピラミッドやスフィンクスで紀元前の世界に入る。ミニチュアの観光客もいろんな人種がいろんなポーズで再現され、それだけでも楽しい。

スフィンクス。こんなレイアウトだったんだと知りました。観光客もいかにもそれらしい人々です

 ヨーロッパはさすがに広く、教会や神殿、宮殿などが適度な空間で配置されている。サグラダ・ファミリアやグエルパーク、ミラノ大聖堂など、見たはずなのに改めてすごい建造物だったんだと感じた次第。

 しかも建設に200~300年もかけて作られたというから、地震がない国らしい息の長さだ。贅を尽くした庭園建築に見とれてしまう。

バッキンガム宮殿の近衛兵の行進。壮観でした。実際に行進します
ヴェルサイユ宮殿。ルイ14世の時代に建てられた宮殿。像はどなたなんでしょう。観光客、市民が集う公共の場になっています
グエルパーク。スペインの鬼才、ガウディの作品。ポップで楽しい公園。実際、上の広場から見たときもウキウキする空間だったのを思い出しました

 アジアゾーンで万里の長城を旅する三蔵法師一行に会い、故宮ではひれ伏す人々がいた。映画「ラストエンペラー」のエキストラとか。端っこの方からカメラを回しているクルーがいた。そういえばコロッセオには名画「ローマの休日」のオードリー・ヘップバーンやグレゴリー・ペックもいたな。

故宮。大勢の役人が皇帝の前にひれ伏しています。撮影中のラストエンペラーの1カットを切り取った風景。ミニチュアさんもエキストラ?
コロッセオでは撮影部隊が「ローマの休日」の有名なシーンを撮っていました

 日本ゾーンに入ると、すっとしたたたずまいの銀閣寺や唐招提寺など、帰ってきたんだと感じさせる。日本建築のこじんまりとしているがスッキリとした造形にホッとさせられる。

 燃えてしまった首里城もここなら見ることができ、改めて琉球は大陸文化から大きな影響を受けていたことが分かる。

 急ぎ足で約2時間ちょっとで世界観光旅行ができた。もっとじっくり見たかったが、小さい子供連れではそうもいかないのは残念。昼食の地元産ソバをすすりながらまた来ようと思った。

 もっともっと紹介したかったが、膨大な量になるのでこの辺で。まだ訪れたことない方はぜひ一度見学してみてください。面白いから。

 ところでエクストレイルは先代からスクラッチシールドがコーティングされている。大きな傷は無理だが荷物などで擦ったような傷なら自己修復が可能。実はサービスエリアでやられてガッカリしたが、暖かくなるとかなり修復したのは驚いた。細かい傷が少しでも減るのは嬉しい。

【お詫びと訂正】記事初出時「プロパイロット2.0」と記載しておりましたが、「プロパイロット」の誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。

日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。