日下部保雄の悠悠閑閑
ノート オーラ e-POWER 4WDの舗装路での素顔
2023年3月27日 00:00
エクストレイルに続いて同じe-POWERの「ノート オーラ」を借り出した。女神湖で乗った4WDのオーラでe-POWERの4WDを再認識した。後輪モーターの出力も大きく、4輪で駆動する力強さは格別だった。
そして今回はノート オーラ4WDは超ドリドリの氷上とは違って舗装路オンリーのオーラの素顔に改めて接した。
モニターを見ていると後輪モーターが休んでいることはほとんどなく、ほぼ常に前後輪で駆動している。ハンドルを握っていると駆動方式を意識することはないが、どっしりしたところは4WDらしい。
自分は自動車の動力源に関してそれほどこだわりはなく、クルマ単体で言えば電気のよさも、内燃機のよさもそれぞれだと思っている。そして内燃機の進化は止まらない。夢と思われていた可変圧縮比は日産が実用化し、40%が限界と言われていた熱効率はかなり前にその壁を突破し、実験段階では50を超えている。まだまだ進化し続けているのが内燃機だ。一方の電気の可能性は始まったばかりだ。メリット/デメリットが明確になりつつあり、バッテリのイノベーションも兆しが見えつつある。
話が脱線してしまった。その両方を使ったe-POWER、シリーズハイブリッドは発電機であるエンジンがバッテリからの要求でいつでもかかるのはご承知のとおり。走行中ならそれほど気にならないエンジン振動とノイズだが、低速で突然始動するとちょっとびっくりする。ドライバーの意思とは関係ないからだ。もうちょっと音と制振性が高いとグンとポイントが上がるのだが……。VCRエンジンがほしいとは言わないけどね。
一方ドッシリした安定感は前後にモーターを持つ4WDの強み。FFの軽快さとは違って後輪荷重も大きいひとクラス上の落ち着きがあった。高速直進時のハンドルのスワリやフロア振動はもう少し向上させたいけど妥当なところ。
ノート オーラのデザインは曲面の使い方が巧みで、シンプルでありながら他にない秀逸さがあると思う。インテリアの加飾も質感の見せ方が上手でインパネは視点があちこち動かないのが好ましい。
ただ、ディスプレイは必要なものを呼び出して動かすまでにちょっと手間がかかる。レーンキープも警報音が煩わしくて切ってしまった。またADAS系では車間距離の認識がエクストレイルに比べると少し甘いようだ。これも近い将来きっとよくなるに違いない。
気になるクルマほどマイナス点をほじくるのが自分のわるい癖だが、基本性能の高さで満足度は大きく、市街地から長距離まで意外なほど疲れ知らず。期待値以上に楽しいコンパクトカーだった。
600km以上走り回って通算燃費は15.8km/L。市街地や渋滞が多かったせいでエクストレイルとほぼ同じだった。THSほどの燃費は出せないが、それでもコンパクトカーの中でも独特のサイズ感や質感などオーラは独自のポジションを築いている。
家人も「これなら運転しやすそうだわ」と好感触を抱いたところで「トランクが小さいのね」と一言。そりゃ広大な荷室を誇るボルボ・V60 に比べればでしょ?そんなすべては両立しないのですよ。