日下部保雄の悠悠閑閑

初めてのウィーンフィル

ウィーンフィルのプログラム。トヨタ自動車の社会貢献活動の一環で、2000年からウィーンフィルの日本公演をサポートしています。コロナ禍で4年ぶりの開催。20回目の記念すべきイベントでした

 長いマスク生活からそろそろ解放され、コンサートもコロナ前に戻ってきたようだ。生活にさまざまな刺激や癒やしを与えてくれるコンサートはワクワクする。

 トヨタ自動車は社会貢献活動の一環で、コンサートをはじめとした芸術活動、若い人たちに向けた人材育成イベントなど多くの社会活動をしており、ウィーンフィルの招致もその1つだ。2000年からほぼ毎年続いたウィーンフィル日本公演は、20回目の記念公演を前に、コロナ禍で3年間日本での開催が中止され、やっと今年再開された。

 偶然にもウクライナ支援のクラシックコンサートを予約した直後のお誘い。こんなこともあるんだと、喜んでカレンダーに予定を入れたのは言うまでもありません。

 クラシックに詳しいわけでは全くなく、クラシックコンサートに行くのも数年に1回くらいのペースでしかない。しかし、多彩な楽器が一体になって壮大な音楽を作り上げるクラシックはやはり心が浄化されるような気がする。

 東京オペラシティの満席のホールで相方とプログラムを見ながら話していると、それとなく開始の雰囲気となりウィーン・フィルハーモニーのメンバーが舞台に登場して位置に着く。指揮者が次に入ってくるのを待っていたら、コンサートマスターのヴァイオリンの合図でいきなり始まった。ウィーンフィルは指揮者がいない楽団と聞いたことがあるが、まさに選りすぐりのメンバーだからこそだと感じた。

 プログラムはどの楽曲もどこかで聞いたことがあるという絶妙な選曲で、次々と進んでいく。ヴァイオリンとヴィオラの区別もついていないほど音痴だけど、オペラホールに響く弦楽器の重奏や、フルート、クラリネット、ホルンなどの管楽器とのハーモニーもすべてが素晴らしい。太い筒型の楽器がファゴットだよと教えてくれたのは相方だった。奥の深い長い低音が魅力的で、オーケストラの接着材のような感じだったのが印象的だ。

プログラム。20分の休憩を挟んであっという間の2時間でした

 楽曲によって登場するソプラノ歌手はヘドウィグ・リッターさん。これからさらに活躍が期待されるとパンフレットにあったが、まさにその高く澄んだ歌声はこれからのオペラを背負っていくのにふさわしい声量だ。全身を使った何音階もあるソプラノはオペラハウスを包み込みビックリだ。

 最終曲「美しく青きドナウ」の後には2択の中から1曲を観客のリクエストで演奏するという20回の特別プログラムもあって、最後まで飽きさせない。2時間は夢のように過ぎていった。

 ホールで出会ったル・マンの優勝者、関谷正徳さんも初めてのオーケストラに圧倒されたと言われていたが、コンサートで実際に聴くのは人を感動させる。そう、クルマも運転してみるのが一番です。

メルセデス・ベンツ GLC。コンサートと同じで、クルマも実際に動かしてみるといろいろな感動が伝わってきます
こちらはアクアの運転席。初代からのドライバーズカーの片鱗がうかがえます
タイガーは臆病でも実は寂しがり屋。静かになるころにやってきてはゴロゴロしてます
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。