日下部保雄の悠悠閑閑
初めてのウィーンフィル
2023年4月17日 00:00
長いマスク生活からそろそろ解放され、コンサートもコロナ前に戻ってきたようだ。生活にさまざまな刺激や癒やしを与えてくれるコンサートはワクワクする。
トヨタ自動車は社会貢献活動の一環で、コンサートをはじめとした芸術活動、若い人たちに向けた人材育成イベントなど多くの社会活動をしており、ウィーンフィルの招致もその1つだ。2000年からほぼ毎年続いたウィーンフィル日本公演は、20回目の記念公演を前に、コロナ禍で3年間日本での開催が中止され、やっと今年再開された。
偶然にもウクライナ支援のクラシックコンサートを予約した直後のお誘い。こんなこともあるんだと、喜んでカレンダーに予定を入れたのは言うまでもありません。
クラシックに詳しいわけでは全くなく、クラシックコンサートに行くのも数年に1回くらいのペースでしかない。しかし、多彩な楽器が一体になって壮大な音楽を作り上げるクラシックはやはり心が浄化されるような気がする。
東京オペラシティの満席のホールで相方とプログラムを見ながら話していると、それとなく開始の雰囲気となりウィーン・フィルハーモニーのメンバーが舞台に登場して位置に着く。指揮者が次に入ってくるのを待っていたら、コンサートマスターのヴァイオリンの合図でいきなり始まった。ウィーンフィルは指揮者がいない楽団と聞いたことがあるが、まさに選りすぐりのメンバーだからこそだと感じた。
プログラムはどの楽曲もどこかで聞いたことがあるという絶妙な選曲で、次々と進んでいく。ヴァイオリンとヴィオラの区別もついていないほど音痴だけど、オペラホールに響く弦楽器の重奏や、フルート、クラリネット、ホルンなどの管楽器とのハーモニーもすべてが素晴らしい。太い筒型の楽器がファゴットだよと教えてくれたのは相方だった。奥の深い長い低音が魅力的で、オーケストラの接着材のような感じだったのが印象的だ。
楽曲によって登場するソプラノ歌手はヘドウィグ・リッターさん。これからさらに活躍が期待されるとパンフレットにあったが、まさにその高く澄んだ歌声はこれからのオペラを背負っていくのにふさわしい声量だ。全身を使った何音階もあるソプラノはオペラハウスを包み込みビックリだ。
最終曲「美しく青きドナウ」の後には2択の中から1曲を観客のリクエストで演奏するという20回の特別プログラムもあって、最後まで飽きさせない。2時間は夢のように過ぎていった。
ホールで出会ったル・マンの優勝者、関谷正徳さんも初めてのオーケストラに圧倒されたと言われていたが、コンサートで実際に聴くのは人を感動させる。そう、クルマも運転してみるのが一番です。